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21世紀の産業革命Makerムーブメントを体感できるMaker Faire Tokyo 2012

2012年12月03日 18時00分更新

Maker

 12月1日と2日の2日間、東京お台場の日本科学未来館にて『Maker Faire Tokyo 2012』が開かれた。Maker Faire(メイカーフェア)とは、アメリカの技術系DIY工作専門紙『MAKE』が主催する最先端DIYの祭典。アメリカを中心に、アジアやヨーロッパで毎年開かれている。日本でも、日本語版MAKEが2008年からMake Meeting Tokyoという名称で開催してきたが、今年からMaker Faireという“フルスペック”のイベントとして開催されるようになった

 早い話が、自分で物を作るのが大好きという人のお祭りだ。母体が技術系のDIY雑誌ということもあって、最新テクノロジーを駆使した工作が主だが、手作りアクセサリー、自転車、模型飛行機、編み物、楽器、アート、ライブパフォーマンスなどなど、なんでもあり。

 こうした手作り品を展示販売するイベントは昔から各地で開かれているが、Maker Faireには特別な熱気がある。それというのも、Maker Faire は、アメリカを中心に全世界を覆い尽くす、21世紀の産業革命“Makerムーブメント”を体感できる場所だからだ。

 個人の物作りの環境は、レーザーカッター、3D プリンターといったパーソナル製造機器の普及、インターネットによる横の繋がりの強化などにより、ここ数年、急速に充実してきた。そのため、大きな工場でしか製造できなかったような、複雑で高精度なデバイスも、自宅で作れる時代になったのだ。作ろうと思えばなんでも作れる。突飛なアイデアも比較的簡単に実現できる。作った物を簡単に発表したり販売できる環境もインターネット上に整った。そうして、物作りは大変に勢いを増している。その勢いがMaker Faireにはあるのだ。

 出展者も来場者も若者が中心だが、男女の比率はほぼ半々で、来場者には子供連れが多く見かけられた。LEDをハンダ付けして光るバッジなどを作るワークショップなどは大盛況。小さな子供たちやお母さんたちもハンダごてを握っていた。Maker Faire を訪れた人の中には、自分も何か作りたくなったと語る人も多かった。なんでもいいから自分も何か「作りたい!」という気持ちにさせられる興奮のイベントだった。

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 産業廃棄物をリサイクルして販売するモノ:ファクトリー。何に使うのかわからないが、なんだか欲しくなる部品が山のように売られていた。

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 羽ばたき飛行機製作工房のラジコン”フラップター”。もちろんホントに飛ぶ。今後は3Dプリンターを利用して部品の精度を高めていくという。

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 誰でも自由に作って販売できるデスクトップ3Dプリンターの設計を普及させるためのコミュニティープロジェクトRepRap。RepRapのプリンターは、熱溶解積層法により、プラスティック製品を1ミリの精度で“プリント”できる。自分で部品を買い集めて作れば5万円程度で製作できる。

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“かうよりもりようか” の海岸で拾ったもので作ったボタン。素朴な味わいのある作品だが、いずれは LED を仕込んで光るアクセサリーにも挑戦したいという。

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 子供向けプログラミング言語“スクラッチ”を教える子供教室OtOMOの巨大な段ボールのキリン。尻尾のレバーを動かすと首が動く。このキリン本体も、制御プログラムも、すべて基本的に子供たちが作った。

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 既存の部品を組み合わせて新しい機械を効率よく作ろうという工業職人のアイデア集団フジヤマメイカーが作った、手で漕いで足でハンドルを切る自転車。学校用の車椅子リフトなども、熟練の技とアイデアで安価に生み出している。 

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 マーブルマシン職人ハラダナオキさんの作品。木材を彫刻刀で彫り、針金を手で曲げて作っている。手の平サイズの精巧なマーブルマシンだ。どうにも採算が合わず値段付けができないので、販売はしないという。

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 刺繍作家“刺繍する犬”さんのNeXTのマザーボードの刺繍。なぜか基板が好きで刺繍しているという。配線も正確に刺繍されている。

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「プラレールの衝突事故撲滅」を目指すお父さんが開発した絶対にぶつからないプラレールシステム。お父さんは国産の汎用マイコンボードSAKURAボードのユーザー会のメンバーだ。最近では「あれ買って」ではなく「あれ作って」と子供にせがまれるそうな。

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 ペーパークラフト作家、林たけおさんの精細な切り絵風ペーパークラフト。以前は手で切っていたが、「やればやるほど貧乏になる」のでレーザーカッターを利用して量産化。やっと商売になったという。

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 テクノ京都の電子回路を組み込んだフェルトマスコット。鳴いたり光ったりする。まだ販売の段階には至らないが、メンバーの男性3人が、チクチクとフェルト動物を作りながら電子回路を作っている。

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 東京工業大学大学院生の門脇廉さんが製作したフーリエ級数合成機。アナログ入力をアナログ出力するアナログコンピューター。大学院の専攻とは異なる分野のもので、まったくの趣味として作った。

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 水玉模様のようで、よく見るとご飯粒柄で、さらによく見ると、ところどころプラスティックで作ったご飯粒が付いているというふざけた生地を使った衣類を売るTANUKI。

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 ハンダ付けをして光るバッジを作るワークショップは大人気。ハンダ付けは初めてという人が多く、小さな子供たちも真剣に取り組んでいた。

Maker Faire Tokyo 2012(公式サイト)

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