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LTEチップ『MDM9225/9625』で進むクアルコムのLTE Advanced【石野純也氏 寄稿】

2012年12月01日 13時00分更新

 クアルコムが世界各国のメディアを集めて開催したイベント『Editors' Week』の2日目。マーケティング、シニアディレクターのピーター・カーソン氏が、LTEの現状や同社のモデムに対する取り組みを語った。

Qualcomm Editors' Week
↑LTEの現状と今後の展開を語ったピーター・カーソン氏。

 ピーター氏によると、LTEは世界中で次々と利用する周波数が追加され、「15~20近いバンドがあり、端末のデザインもチャレンジング」だという。たとえば、日本では2.1GHz帯、1.7GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯がLTEの帯域として使用されているが、グローバルで2.1GHz帯が主流だったころとは状況が様変わりしている。結果として、「帯域が細切れになってしまう」(ピーター氏)ため、十分な速度や容量を確保できないのが、世界共通の悩みだ。

 さらに「音声はCSフォールバックという技術で2Gや3Gに切り替えて行なう。通話にはGSM、CDMA、UMTS、TD-SCDMAがあり、LTEにもTDDとFDDの2つがある」(ピーター氏)ため、組み合わせは複雑だ。これに加えて、一部の国ではLTE上で音声通話を行なう“VoLTE”も開始されている。

 こうした状況の改善に一役買いそうなのが、クアルコムのLTEチップだ。同社の『MDM9225/9625』というモデムは、「データの機能が重要な第3世代のLTEチップで、『カテゴリー4』に対応している」(ピーター氏)。日本ではドコモが1.5GHz帯の15MHz幅を使い、下り最大100Mbpsのサービスを開始したが、カテゴリー4に対応したこのチップがあれば最大速度は112.5Mbpsまで上げることが可能。理論上は、20MHz幅があれば下り速度は最大150Mbpsになり、「あくまでピークレートだが、『カテゴリー3』に比べて50%以上ポテンシャルが上がる」(ピーター氏)のが魅力だ。

Qualcomm Editors' Week
↑モデムのロードマップ。キャリアアグリゲーションをサポートした『MDM9225/9625』は、現在サンプル出荷中。2013年に登場する製品に搭載される見込みだ。

 ただ、先に紹介したように、周波数が細切れになってしまうと、LTEでも十分な速度が出せない。そこで期待されているのが『MDM9225/9625』がサポートする、「キャリアアグリゲーション」だ。キャリアアグリゲーションとは別々の周波数をひとつにまとめて通信する技術のこと。たとえば、2.1GHzに5MHz幅、1.5GHz帯に5MHz幅の2つを持つキャリアがあると仮定すると、今まではそれぞれで37.5Mpbsの速度しか出せなかった。ここに対してキャリアアグリゲーションを導入すると、両方の5MHz幅を足して10MHz幅として運用でき、下りの速度は最大75Mbpsになる。

 このキャリアアグリゲーションを採用したLTEは“LTE Advanced”とも呼ばれ、日本のキャリアも導入には積極的だ。チップレベルでは2013年からの対応になり、その後、世界各国で順次導入されていくことになりそうだ。

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クアルコム

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