2012年10月22日16時30分

想いをつなぐ編集力

説得力のある文章を書く技術――説明文の方程式

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 前回は「世界を見つめる解像度」について書きました。前回も書いたように、たくさん書くことで世の中を見つめる「解像度」が上がっていくのですが、文章を書くには最低限の技術も必要です。そこで今回は、物事を説明するための文章の書き方を説明していきます。

 

報告書やメールの書き方

 まず、超シンプルですが、基本はこれです。

説得力のある文章を書く技術――説明文の方程式

 結論をまず書いて、それについて説明して、最後にもういちど結論をまとめます。報告書やメールなどはこのフォーマットが一番適していると思います。もちろん、メールでは、お礼や挨拶などがここにくっつきますので、お忘れなく。

 よくある失敗をふたつ上げておきましょう。


失敗1:「結論」と「説明」を逆順に書く

 まず長々と説明を書いて、その次に結論を書くという失敗です。おそらく、わかってほしいからこそ、延々と説明してしまうのだと思うのですが、結論がなかなか出てこない文章は読んでるほうはイライラして、読むのをやめてしまうときもあります。結果的に、わかってもらうことに失敗するのです。
 

失敗2:「まとめ」がない

 結論を最初に書いたから、最後にまで書かなくてもいいと思うのでしょうけど、まとめは大事です。数行のメールではなくてもいいのですが、数十行を超えてきたら必須だと思います。ひとの頭は、多くの物事を整理して覚えていられないからです。


 ということで、報告書やメールなら「結論、説明、まとめ」の三つでだいたい話がすみます(この文章、ここまでもこの構成になっているのに気づきましたか?)。

 

長めの文章では「ツッコミ」が大事

 ただ、もう少し長い文章を書こうと思ったら話は違ってきます。

 ぼくは編集者として、たくさんの著者のかたとお付き合いして、本をつくっています。その中に、ビジネス書というジャンルの本があります。ビジネス書というのは、著者が仕事上で得た経験や知識を説明してもらうというタイプの本です。

 そういう本の著者のみなさんは、さまざまなジャンルのビジネスのプロですが、本を書くプロばかりではありません。だから、そういう方々と本をつくるときには、説明文の書き方をくわしく説明しています。

 ビジネス書のように少し長めの説明文を書くときには、以下のような構成をおすすめしています。

説得力のある文章を書く技術――説明文の方程式

(1)結論

 最初の例と同じで、やはり「結論」からはじめるのがおすすめです。みんな忙しい時代ですから、前置きから書くよりも、伝えたいことはずばっと書いてしまうのがいいです。

 ただし、長めの文章では、結論はおもしろくしたいところです。いきなり読者を引き込まないと、続きを読んでもらいにくいためです。たとえば、これまで常識と思われていたことの反対だったりすると目を引きます。「スタバではグランデを買え!」は、とてもいい例です。スタバでは普通、コーヒーのサイズとしてショートかトールを買うひとが多いところに、グランデを買えというと「なぜだろう?」と思いますよね。

(2)説明

 次に、結論について「説明」します。なるべくシンプルに説明するのがいいと思います。よくある失敗に「説明しすぎ」というのがありますが、ひとの頭はシンプルであればあるほどよく物事を理解します。書き手はその分野にくわしいので、「単純に言いすぎじゃないの?」と思うくらいでちょうどいいのです。

 文字数に余裕があるときは、説明に具体例をくっつけるとさらに説得力が増します。とくに体験談などのリアルな実例は、読者が共感したり想像しやすくなって理解してもらいやすくなります。また、具体例の個数を調節することで、文字数を調節することもできます。

(3)ツッコミ

 ここが大事なのですが、上の説明に対して「ツッコミ」を入れます。(1)で極端な「結論」が来て、(2)でシンプルな「説明」がくると、読んでいる人は「そうはいっても世の中そんな単純じゃないでしょう」「~のような例外だってあるんじゃないの?」といった感想を抱くもの。

 それを自分で「ツッコミ」として書くのです。たとえば「ここまで読んで~と思う人もいるかもしれません」「とはいえ、~のときはどうなるの? と思う人もいるでしょう」といった感じです。

 そうすると、客観性も担保できて説得力が上がるし、読んでいるひとも、自分の思いが共有されて「自分ごと」として読むことができます。山田真哉さんや本田直之さんのようなビジネス書のプロは、このツッコミ力が非常に高いので、気をつけて読んでみると発見があると思います。

(4)説明

 ツッコミに対して説明をします。自分で自分にツッコミをいれているのですから、説明は簡単です。文字数に余裕があれば、ここにも具体例を入れるといいでしょう。さらに説得力が増します。

(5)まとめ

 冒頭の結論を簡単にまとめます。ここはそんなに凝る必要はありません。これまでに何の話をしていたのかを思い出してもらって、最初からここまでを復習してもらうのが目的です。

 というわけで、今回の連載のまとめです。

 説明文は結論から書くのが有効です。次に結論の説明をして、そこにツッコミを入れて、また説明をして、まとめます。

 この書き方は、だいたい1000文字を超える説明文に有効な書き方です。本のように長いものをつくるときは、これを繰り返してすすめることになります。理想を言うと、この構造が入れ子になっているのがいちばんいいのですが、その話はまた今度。

 もちろん、文章の書き方はひとつではありません。説明文にもいろんな書き方があって、これが唯一の正解というわけではありません。ただし、驚くほど多くのベストセラーで使われている書き方なので、気をつけて見てみると発見があると思います。ぜひ活用してみてください。

 ではでは、また次回。

【筆者近況】
加藤 貞顕(かとう・さだあき)
株式会社ピースオブケイクCEO。セミナーとか講演とかプレゼンで同じ話をしすぎて、落語家のような気分になってきました。起業家はみな通る道、ですよね!

■関連サイト
cakes(ケイクス) クリエイターと読者をつなぐサイト
cakes公式ツイッター:@cakes_PR
株式会社ピースオブケイク公式Facebookページ

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