2012年10月10日12時30分

ソフトバンクモバイルはAXGPスマートフォンにどこまで注力する?

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 ソフトバンクモバイルは10月9日に新製品発表会を開催。音楽や動画が定額料金で見放題となるサービス『UULA』(ウーラ)や、スティックをテレビに挿すだけで高画質の映像サービスが楽しめる『SoftBank SMART TV』(スマテレ)など、ユニークで特徴のある製品やサービスが多数発表された。なかでも今後の同社の動向を見る上で特に注目すべき点はやはり、AXGPのAndroidスマートフォンにある。

 今回発表されたAndroidスマートフォンは、いずれも従来の3G回線だけではなく、ソフトバンク傘下のWireless City Planning(以下WCP)社が提供する、AXGP方式の通信サービスをMVNOとして提供する『SoftBank 4G』に対応し、下り最大76Mbpsの通信速度を実現している。他社がFDD方式のLTEでスマートフォンの通信速度の高速化を実現しつつあるなか、ソフトバンクモバイルはAndroidスマートフォンにおいて、他社と異なる通信方式の選択をしているのだ。

Softbank 4G
↑写真の冬春商戦向けAndroidスマートフォン6機種のほか、ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクの『DM014SH』が下り76Mbpsを実現する『SoftBank 4G』に対応。

 なぜソフトバンクモバイルはこのような選択をしたのだろうか? それはつい最近までの、同社の周波数帯域の使用状況にある。

 同社は現在、2.1GHz帯、1.5GHz帯、そして7月から新たに利用可能となった、“プラチナバンド”こと900MHz帯を携帯電話向けとして所有している。だがすでに2.1GHz帯は3Gと、LTEによる高速通信サービス『SoftBank 4G LTE』でフル活用しているし、1.5GHz帯は3Gで高速通信を実現する“DC-HSDPA”を導入するため、全帯域を割り当てている状況だ。加えて900MHz帯は、現時点で利用できるのは5MHz×2幅のみと狭く、高速通信に活用するのは難しい。

 このように、ソフトバンクモバイルは所有する帯域をすでにフル活用しており、高速通信のSoftBank 4G LTEに割ける帯域があまりないのだ。しかも、同社の主力製品であるiPhone 5がLTEに対応したことから、同じくiPhone 5を販売するauと対抗する上でも、SoftBank 4G LTEに用いる帯域を混雑させることは避けたかったようだ。

 そこで白羽の矢を立てたのがSoftBank 4Gだ。WCP社のAXGP方式による通信サービスは、昨年11月にサービスを開始しているが、現在に至るまでこの回線を用いて通信サービスを提供しているのはSoftBank 4Gのみで、対応端末もモバイルWi-Fiルーターなどに限られている。それゆえ30MHzと比較的広い帯域幅で高速通信を実現していながら、契約数は9月末時点で26万1400件と少なく、大幅な空きがあるのだ。こうしたことから、スマートフォンで他社に対抗できる高速通信を実現する上で、容量的にゆとりのあるSoftBank 4Gを用いるのがベストと判断したといえるだろう。

Softbank 4G
↑マイクロセルの活用などで高速通信を実現するWCP社のAXGPによる通信サービスは、契約者数が少なく大幅な空きがある状況だ。

 では今後、iPhone 5はSoftBank 4G LTE、Android端末はSoftBank 4Gと、端末に応じてインフラの棲み分けを図るのか? というと、そうではないようだ。ソフトバンクモバイル社長の孫正義氏も、Android端末にも今後、SoftBank 4G LTEが使えるようになる可能性を示唆しており、インフラを適材適所で使い分けていく方針を示している。

 その理由として考えられる要素のひとつは、SoftBank 4Gのエリアカバーの弱さにある。WCP社はもともと都市部の通信トラフィックを改善する目的でAXGP方式の環境整備を進めているため、全国をくまなくエリアカバーする予定はない。スマートフォンの利用が都市部に集中しているうちはよいが、将来的に見れば、特に地方での利用には不安があるといえよう。

Softbank 4G
↑発表会会場にて配布されていたWCP社のパンフレットより。今年度末までに全国政令指定都市の人口カバー率100%を目指すとする一方、人口の少ない地域のカバーには消極的だ。

 そしてもうひとつの理由は、周波数帯域のひっ迫に改善の兆しが見えていることだ。10月1日にソフトバンクはイー・アクセスを経営統合、これにより新たに、イー・アクセスが保有する1.7GHz帯を手に入れたのだ。加えて今後、900MHz帯の使用可能帯域が拡大し、イー・アクセスの700MHz帯も利用可能になれば、ソフトバンクグループはNTTドコモやau陣営と肩を並べる周波数帯域を保有することになる。

 こうした要素を考えると、同社を取り巻く環境は大幅に変化しており、今後はむしろSoftBank 4G LTEへの注力を進めていくと見ることができる。SoftBank 4Gへの注力は、周波数帯域に余裕ができるまでの、一時的なものといえるかもしれない。

Softbank 4G
↑ソフトバンクは10月1日にイー・アクセスと経営統合を発表。インフラ面でも順調に統合が進めば、周波数帯域の混雑緩和が進むと考えられる。

■関連サイト
ソフトバンクモバイル

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