2012年07月17日13時30分

Windows8やiPhoneで家を管理できる24h発電風車エコハウス誕生

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 7月14日、イデアホーム(益田建設)が立川の住宅展示場に風車と太陽光発電を設置したユニークなエコハウスをオープンした。前日に行なわれた発表会は、イデアホームと富士ソフト、日本マイクソフトというやや異色な3社の組み合わせ。その内容についてレポートしよう。

FSGreen EMS

「自然の素材を大事にし、木の色、木の香りを楽しめるようにした」という今回のモデルハウスは、外見も木材が使われ、部屋の中に入ると、確かに木の香りでいっぱいという気持ちのいい家。最大の特徴は、大きな白い風車が家の横に建っていることだ。

FSGreen EMS

 一般的に小型の風車というと、先頭にプロペラが付いた主翼のない飛行機のようなものが多いが、この風車は高さ13.6m、直径3.5mで、まわりに輪っかのようなダクトのついたユニークな形状。九州大学が開発し、ウィンドレンズという会社が発売する“風レンズ風車”というもので、プロペラのまわりのダクトによって風車の後方に強い渦を発生させ、その渦が風車の後方の圧力を低下させることにより、ダクトの内側の風速を1.4倍に増速。風が弱いときでも効率よく発電できる。

 現地ではそれほど風は吹いていなかったのだが、常に風車が回っており約300Wの発電をしていた。出力としてはそう大きくはないが、24時間発電し続けてくれるので、結構な発電量にはなる。また、風車というと、しばしば騒音が問題になるが、この風レンズ風車はほとんど音がしない。音が気にならないのは、住宅用として見た際、大きなポイントになるだろう。

FSGreen EMS

 さらに、太陽光発電システムも南面の屋根に設置されており、風力発電とハイブリッドでの住宅利用となっている。こちらは中国メーカー、サンテックの3.4kWのもの。

FSGreen EMS
↑風車で発電した電力を蓄電できる。

 このモデルハウスは風力と太陽光という自然エネルギーの活用だけにとどまらない。グローバルリンクという会社が開発した容量5kWh、出力1.5kWのリチウムイオン電池が玄関すぐの小さな納戸に設置されており、夜間発電した電気をためておき、昼間に必要な電力をまかなえるのだ。風力、太陽光発電による電力と合わせることで、昼間に必要な電力をすべて自前でまかなうことができる。ピーク電力が社会問題となっている夏場はもちろん、災害などでライフラインが止まってしまった場合でも、大きな威力を発揮するだろう。

  さて。なぜこのエコハウスの発表会に富士ソフトや日本マイクロソフトといった会社が同席しているのか。実はここに“環境情報の見える化”というものが関連している。

FSGreen EMS
↑左から益田建設企画設計部 次長 鈴木強氏、富士ソフト執行役員 小谷知哉氏、日本マイクロソフト業務執行役員 加治佐俊一氏。

 このエコハウスは、風力や太陽光で発電した電力がどのくらいか、使用電力がどの程度か、リチウムイオン電池の残量がどのくらいあるか、さらに温度、湿度、CO2排出量など、家中の情報を可視化する“FSGreen EMS”システムを搭載している。それらのシステム面を担っているのが富士ソフトと日本マイクロソフトだ。情報は現時点のものから1日の推移、過去1ヵ月の推移……といった形で視覚的に確認できる。

FSGreen EMS
↑Windows8をつかって自宅の発電状況をチェック。iPhoneやiPadにも対応。

 環境情報はクラウドを利用して、さまざまな端末で確認できるのが特徴。ウィンドウズ8を搭載したタブレットPCのほか、iPadやiPhoneでもチェックできる点がすばらしい。もちろん、パソコンからもチェックできるため、留守宅の状況を職場など外からストレスなく確認できる。

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↑Windows8のタブレットPCで見る取材当日の発電状況。
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 また、今回おもしろかったのは、これが単なる見える化ツールに留まらないという点。より能動的にエコハウスを活用できるように、タブレット端末などから家の中をリモートコンコントロール可能なのだ。デモで見せてくれたのはリモコンのオン・オフなどの操作。外出後、エアコンを消し忘れた……といった場合でも、外出先から遠隔でOFFにできるし、帰宅途中にエアコンのスイッチを入れておけば、家に着いたときには快適な温度になっている。

FSGreen EMS
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 もっとも、設置されていたのは、いわゆるHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)対応のエアコンというわけではなく、ごく一般のもの。FSGreen EMSに接続された汎用の赤外線リモコンが設置されているため、これを通してコントロールする。言いかければ、エアコンだけでなく照明でもテレビでも、赤外線リモコンでコントロール可能なものであれば、何でも使える。この辺もなかなかおもしろい試みといえるだろう。

 このように、エコハウスはとても先進的な住宅だったのだが、話を聞いていくと課題もあるように思えた。まずはやはり、価格面。

 今回のエコハウスのシンボルともなっている風力発電の風レンズ風車は450万円。また太陽電池は3.5kWもあると、150万円程度にはなる。さらにリチウムイオン電池のシステムは200万円だから、トータルで800万円となり、かなりの投資だ。また、通常太陽光発電を設置する場合、普通は電力会社への売電が前提となり、売電によって初期投資ぶんをかなり回収できる。しかし、このエコハウスでは風力と太陽光のハイブリッド発電で、バッテリーとも組み合わせた異例の形であるため、発電した電気は使い切るのが前提となっている(そのためにヒートポンプを用いた蓄熱システムも搭載されている)。こうしたシステムだからこそ、柔軟な運用ができる反面、投資ぶんを回収するという考え方はあまりなく、よほど資金に余裕がないと、こうした機器の設置は難しそうだ。

FSGreen EMS

 また、環境情報の見える化に関していうと、確かに温度や湿度情報までをチェックできたり、外からエアコンのコントロールまでできるというのはとてもおもしろいのだが、最近の太陽光発電システムであれば、単純に使用電力や発電量を見える化したサービスや、結果をメーカー側が監視して故障をチェックするサービスは標準的なものになってきているので、特別目新しいという印象はない。

 とはいえ、風力発電を交えたこうしたエコハウスへの取り組みは、まだ始まったばかり。

 発展していく可能性、低価格化していく可能性も十分にある。この形で売電できないというのも、あくまでも制度上の話なので、制度運用や法律の改正によって、推進していける余地は十分にあるのだ。ぜひ、今後もこうしたエコハウスがいろいろな形で登場してくれることを期待したい!!

■関連サイト
イデアホーム
富士ソフト
日本マイクロソフト

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