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失敗したCPUだけを集めた、世界に類のないCPU本

人気連載「忘れ去られたCPU黒歴史」の書籍が10日に発売!

2012年07月10日 10時30分更新

忘れ去られたCPU黒歴史

 大原雄介氏によるASCII.jpの連載記事「ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情」の人気コーナー「忘れ去られたCPU黒歴史 Intel/AMDが振り返りたくない失敗作たち」が、書籍化されて7月10日に発売されることとなりました!

 CPU黒歴史は2011年8月から、4ヵ月に渡って掲載されたコーナーで、インテルやAMDのプロセッサーの中から、「黒歴史」と呼ばれるのにふさわしい製品(あるいは製品化されなかったもの)をピックアップ。それはどのような背景の元に登場し、どういったコンセプトで開発され、そしてなぜ失敗したのかを解説した連載でした。「黒歴史といったらあのCPUだろう?」「なぜアレがない!」といった議論も交わされたようです。また連載の好評を受けて、グラフィックス編である「GPU黒歴史」も掲載しております。

 登場するプロセッサーは、80年代初期の「iAPX 432」から、2007年登場の「初代K10」まで、四半世紀にも及ぶ13編。

・チップセットのバグで商品化もされずに消えた「Timna」
・巨大で複雑すぎて低性能、20年早すぎた「iAPX 432」
・先進的な設計も消費電力が多すぎて性能上がらぬ「Prescott」
・巨大チップで歩留まり悪化、改善前に時代遅れになった「K6-III」
・高すぎる消費電力にバグが追い打ちした「初代Phenom」
・丸パクリ、買い手なし、会社が消滅、マイナー系CPUの悲哀

 書籍化に当たっては各部を改稿し、より平易で読みやすいように修正。また、連載掲載時には写真を用意できなかったマイナーCPUについても、写真を掲載しています。さらに、書籍限定の書き下ろしとして、次世代Macintoshに採用されなかった幻のモトローラ製CPU「MC88000」シリーズを掲載。今のMacはインテルCPUを採用しているが、それ以前の「Power Macintosh」が誕生する前、MC68000シリーズとPowerPCシリーズの狭間に消えたCPUの話が読めるのは本書だけです!(たぶん)

忘れ去られたCPU黒歴史

↑インテルにも使い物になる写真が残っていなかった「iAPX 432」も、海外のコレクターから写真提供を受けてなんとか掲載。

 本書は言うなればx86 CPU版の「失敗学」とでも言う本ですが、書籍化に当たって類書を探したものの、当然ながら一冊もない! コンピューター史を扱う書籍はいくつもあるけれど、コンピューターの中核たるCPUに焦点を絞り、しかも失敗作だけを集めた本なんてものはあるわけがない。ゆえに、世界でただひとつの「ダメCPU」を集めた本として、貴重な書であります。

 6月17日にベルサール秋葉原で開催された「夏のASCIIフェス2012」にて、大急ぎで作ったチラシを配ったところ、「失敗したCPU“だけ”を集めた本でございます」と説明すると、皆さん思わず苦笑されていました。「失敗作と言うとCyrix?」とか、「K6-IIIは使ってたな」といった具合に、ベテランPCユーザーの方には、いろいろと思い出深いものが詰まっております。

忘れ去られたCPU黒歴史

 発売日の10日には、秋葉原駅構内のデジタルサイネージにて、本書の広告が掲載される予定です。パソコンとの付き合いが長いベテランPCユーザーの方には、ぜひ手に取って御笑覧いただければと思います。電子書籍版も7月下旬には発売予定です。

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