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インテルが考える近未来生活がわかる 『Research@Intel』開催

2012年06月27日 19時30分更新

 米Intelは、6月26日(現地時間)にサンフランシスコ市内にあるYerba Buena Center for the Artsで『Research@Intel』を開催した。これは例年この時期に、同社の研究開発部門にあたるIntel Labsを中心に開催されているイベント。ユーザーの手にはCPUやSSDといった形ある製品として提供されたり革新されたりするさまざまな技術は、いずれもこうした研究開発から生まれている。

 紹介される内容は、基礎研究をはじめハードウェア、ソフトウェア、ユーザーインターフェースまで幅広い。いずれも研究開発の途上にあったり、社会実験に近いようなものもあって明日にも手に入るという種類のものではないが、いずれは形を変えて我々の生活をより豊かにしてくれる可能性を秘めている内容だ。

 もちろん、多くの成果も生み出している。最近の例で言えば、Intel Labsが開発コード名“LightPeak”として研究開発し、Research@Intelで紹介された技術は、高速I/Oの“Thunderbolt”として2011年2月に製品化された。まずAppleのMac製品に搭載されたほか、2012年以降は各社のPC製品への搭載も進んでいる。今回はこの研究開発イベントの開催が10年目を迎えることもあって、今回はこの10年間で生まれた代表する10の技術を“Hall of Fame”(栄誉の殿堂)として振り返っている。

Research@Intel

 イベントではこのIntel Labsを率いるジャスティン・ラトナーCTO(Chief Technology Officer、最高技術責任者)による講演も行なわれた。講演ではIntel社内だけではなく、学術機関や他社との協業による研究開発などの方向性もあらためて示された。7つ目となるISTC(Intel Science and Technology Center)はカリフォルニア大学アーバイン校とともにソーシャルコンピューティングをテーマに創設され、人とテクノロジーの未来を考える最初のISTCになるとのこと。ITとソーシャルを中心としたデジタルメディアが生み出す文化的な現象を探求する。

Research@Intel
Research@Intel
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 産学の連携はよりグローバルに展開。学術機関をまたいで研究開発を進めていく。

Research@Intel

 7つめのISTCを担うカリフォルニア大学アーバイン校のポール・ドーリッシュ教授とIntel Fellowのジェネビーブ・ベル女史をまじえてのトークセッション。

Research@Intel
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 会場ロビーに設置された“Hall of Fame”(栄誉の殿堂)のディスプレー。10年目の開催にあわせてギリシャ数字で10を表す“X”のデザインのモニターに、代表される10の技術が映し出される。

 主な展示とデモンストレーションの内容は下記のとおり。

Interactive Surfaces

Research@Intel
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 家庭や職場の壁面を入力インターフェースにする研究。プロジェクターによる投影とマイクロソフトのKinectを使ったモーションセンサー技術を組み合わせて写真の配置を変えたり、大きさを変えたりする。壁自体は技術的要素のない普通の壁面だが、触れることができることも重要なポイントとしている。この展示をはじめ、低コストで深度センサーを含めたモーションセンサー技術が導入できることからKinectを用いたデモンストレーションは目立った。

Indoor Navigation Made Easy

Research@Intel
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 GPSを位置情報として利用できない屋内のナビゲーションシステムの研究。Wi-Fiの信号強度やスマートフォンの加速度センサーなどを元に位置を把握して誘導や案内を行なう。ハンディキャップのある人や博物館展示のガイドなどがターゲット。

Research@Intel
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 メニーコア技術をモバイル向けプロセッサーにも導入していく際に、省電力やアプリケーション動作の最適化などの研究。

Always-On-Always-Connected

Research@Intel
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 超低消費電力でネットワークからのプッシュ通知をUltrabookなどで受け取る仕組み。S3スタンバイ状態でもメール着信があったことなどを確認できる。スタンバイ時にはネットワーク機器側でパケットを選択して最低限のデータをUltrabookに送り、ソーシャルフィードなどのステータスを更新する。ネットワーク機器などハードウェアで実現しているところがポイントだ。

Virtual Dressing Room

Research@Intel
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 見てのとおりアバターを使った着替えのシミュレーション。ゲームにも利用されているHavokのクロスシミュレーションをKinectによるモーションセンサーに適用。

Immersive Shopping

Research@Intel
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 ロボットによる店舗内の在庫管理と店内状況の把握。

Avatar Video Chat

Research@Intel
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 帯域幅が必要なビデオチャットを、アバターを使うことでデータ転送量を大幅に減らす仕組み。最初にユーザーの顔を撮影して3Dモデルを作成。Faceトラッキング技術によってその3Dモデルを動かして表情をつける。顔の19点の動きを認識。例えば目の位置などは瞬きを頻繁にする位置から推測できるとのこと。このトラッキング情報だけをデータとすることで転送量を減らす仕組みだ、PC向けはKinectを使ってより複雑な認識を実現しているが、スマートフォン向けはもう少し単純化されているとのこと。

Seeing Through Rain

Research@Intel
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 車のヘッドライトをスマート化する試み。雨や粉雪など反射によって見にくい状況を軽減するため、雨粒の動きを予測。ヘッドライトを任意の間隔でブリンクさせることで反射を減らすという研究。

Life without keys

Research@Intel
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 顔認識、指紋認証による鍵の不要な生活を目指す研究。パネルに手をかざして認証する未来的な方法はスタートレックなどでもお馴染み。顔認識によってモニターに自動的に当日のスケジュールを表示するデモも行なわれた。

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