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Windows情報局ななふぉ出張所

ドコモのWindows Phoneは“8”?

2012年05月23日 17時00分更新

 先週より始まった新連載『Windows Phone情報局ななふぉ出張所』ですが、第1回の記事を公開する直前、速報として“ドコモがWindows Phoneを冬モデルで検討”という情報を追加することができました。

 はたしてドコモのWindows Phoneは、どのような端末になるのでしょうか? 現時点で確実な情報がないため推測になってしまうものの、これまでの経緯を振り返り、海外の情報も踏まえつつ“ななふぉ”視点で予想してみたいと思います。

■ドコモもWindows Phoneを検討していた

 auが日本で最初にWindows Phoneを発表してから約1ヵ月後の2011年8月25日、世界初のWindows Phone 7.5端末として『IS12T』が発売されます。これには世界のWindows Phoneウォッチャーも騒然となりました。なぜなら、海外では早くても10月上旬程度になるだろうと予想されていたからです。

 同時期、日本のケータイ関係者の間では「ドコモがWindows Phoneに注目し始めた」という噂が飛び交っていました。実際に7月の決算発表において、ドコモの山田隆持社長はWindows Phoneを「来年夏以降で検討する」と発言しています。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑2012年の夏モデルを披露する山田隆持社長。

 結果的に2012年夏モデルの発表会にWindows Phoneは含まれなかったものの、「冬モデルで検討」という質疑応答での発言により、さらに発売への期待が高まったと言えるでしょう。

■ドコモのWindows Phoneは“8”?

 冬モデルと聞いて連想してしまうのは、やはり『Windows Phone 8』ではないでしょうか? 海外では今年の第4四半期、特に年末商戦の時期に向けてWindows Phone 8端末が投入されることが期待されています。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑Windows Phone 8のスペックはハイエンドのAndroid 4.0端末に近い?

 各社のWindows Phone 8端末はまだ謎に包まれていますが、断片的な情報を組み合わせて予想してみましょう。まずCPUはシングルコアだけでなく、『MSM8960』のようにデュアルコアやクアッドコアのプロセッサーに対応するようです。ディスプレーもHD解像度に対応することが予想されます。NFCは第3四半期にWindows Phone 7.5世代で対応予定であり、そのまま8にも引き継がれるはずです。

 現実的には、端末メーカーがすでに開発したAndroid 4.0端末を、Windows Phone 8に流用できるようなスペックで新たな“シャーシ”を規定する、といったあたりに落ち着くものと思われます。

 メーカーとしては、すでに複数のWindows Phone端末を投入しているノキアやサムスン、HTCはもちろん、これまでPCやタブレットが中心だったメーカーもスマートフォンに参入すると言われています。MWCでの取材では、富士通がWindows Phone 8世代に向けて積極的な発言をしていました。

 ところで、端末メーカーからの要求が特に大きいと言われているのが、マイクロSD対応です。Tango世代から登場したローエンド端末ではフラッシュメモリーが少なく、4GBモデルの空き容量は2.5GB程度しかありません。これは店頭で横に並ぶマイクロSD対応のAndroid端末と比べて大きく見劣りするという問題があります。

 もっとも、Windows PhoneがマイクロSDカードを交換可能なストレージとしてサポートしてこなかったのは、セキュリティー上の理由もあります。この点については、“音楽や動画ファイルなどメディアコンテンツのみ保存可能”といった折衷案を期待したいところです。

■タブレットと電話は違うもの

 ドコモが新しく発表したLGの『Optimus Vu L-06D』のように、最近はスマートフォンとタブレットの中間に位置するデバイスが増えつつあります。“小型のタブレット”と“大型のスマートフォン”がオーバーラップしつつあるわけです。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑スマートフォンとタブレットの境界が曖昧になりつつあるが……。

 この傾向は、Windows 8とWindows Phone 8の関係にも当てはまるのでしょうか? たとえばWindows Phone 8では、OSの基盤とも言えるカーネルの変更が噂されています。従来のWindows Phoneが利用していた“CEカーネル”に代わり、Windows 8と同じ、あるいは軽量化された“NTカーネル”が採用されるというのです。

 このことから、ARM版のWindows 8である『Windows RT』を搭載したタブレットと、NTカーネルを搭載したWindows Phone 8は非常に近いものになると考える人もいるでしょう。

 しかしカーネルの共通化は、端末の使い勝手が共通化されることを意味するわけではありません。たとえばWindows MobileとWindows PhoneはどちらもWindows CEカーネルを搭載していますが、まるで使用感の異なるスマートフォンです。

 この点について複数のマイクロソフト関係者と話した感触としては、Windows Phoneは今後も電話というカテゴリーに特化したデバイスであり続けるようです。Windows Phone 8により、機能的には向上したとしても、基本的なユーザー体験は変わらないのではないかと考えられます。

■ドコモ独自サービスへの対応は?

 ドコモのスマートフォンと言えば、日本向けの“ガラパゴス”機能をはじめ、同社独自のアプリやサービスが搭載されるのが一般的になりつつあります。

 まずはワンセグやおサイフケータイ、赤外線といったガラパゴス機能はどうでしょうか? たしかにこれらの機能を必要とするかどうかは個人差があるものの、Windows PhoneがAndroid端末の隣に並んで売られるのであれば、機能を比較されるのは必至であり、搭載せざるを得ないのではないかと思います。

 しかしこれらの機能によって端末が不安定になったり、バッテリーの保ちが悪くなってしまえば本末転倒です。贅沢を言えば“全部入り”端末とシンプルな端末の2種類がほしいところです。

 では、独自サービスはどうでしょうか? ドコモは購読型のサービスとして、音楽やアニメといったコンテンツを定額制で提供しています。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑5月16日の発表会で『アニメストア』が発表された。

 Windows Phoneにもコンテンツストアとして『Zune Marketplace』がありますが、日本ではビデオレンタルにしか対応しておらず、音楽の購入ができません。そのため、定額制の購読型サービス『Zune Music Pass』を前提としたおすすめ音楽の選曲機能『SmartDJ』やプレイリストの共有が利用できないという問題があります。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑1100万曲の音楽ライブラリー『Zune Marketplace』。日本では未対応。

 これは日本だけが遅れているのではなく、欧米以外の地域でのZune Marketplaceの展開が遅れているのが原因です。この点についてはすでに国内でサービスを運用しているという点で、ドコモの強みを生かせると言えます。

 ほかにも日本向けのWindows Phoneに足りない機能として、音声認識があります。以前に日本経済新聞紙上で、マイクロソフトのスティーブ・バルマー氏は「自然言語による操作がWindows Phoneの優位性である」と力説しました。しかしその後発売されたWindows Phone 7.5は、日本語による音声認識に対応していません。

 英語圏ではWindows Phoneを音声で操作したり、SMSメッセージを音声でタイピングできる機能が好評を得ています。自動車運転中や料理中など、手が離せない場面での操作に活用されているようです。

ドコモのWindows Phoneを予想
↑音声で端末を操作したり(左)、テキストメッセージを入力できる(右)。日本語には未対応。

 一方、ドコモのスマートフォンでは日本語に対応した『しゃべってコンシェル』アプリにより、音声による操作や情報検索、メールの作成が可能です。本来であればWindows Phone 8の標準機能として対応してほしいところですが、ドコモの独自技術にも大いに期待できると言えます。

 このように、Windows Phoneとしてまだ日本国内向けに追いついていない部分をドコモが補完することで、日本のユーザーにとってより親しみやすい端末になるのではないかと私は考えています。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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