2012年04月26日15時00分

宇宙に行けなかったスペースシャトル・エンタープライズ号が米国の空を飛ぶ日

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 2011年7月に退役したスペースシャトル。そのうちの2機が終の棲家に向けて再びアメリカの空を舞っている。

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(C)NASA/Jim Grossmann

 17日にケネディ宇宙センターを発ち、首都ワシントンDCに到着したのは、39回のミッションをこなして引退した、スペースシャトル・ディスカバリー号だ。スミソニアン航空宇宙博物館に展示されるため、ボーイング747を改装したシャトル輸送機に乗せられたディスカバリー号は、ワシントン・ダレス空港に到着する前、首都上空を数回に渡り低空で旋回し、詰めかけたメディアや市民、観光客などにその最後の勇姿を見せつけた。

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(C)NASA/R.D. Lee

 一方、一部の人々にちょっとした悲哀を感じさせることになったのが、スペースシャトル・エンタープライズ号だ。エンタープライズ号はもともとスミソニアン航空宇宙博物館に展示されていたもののだが、今回、ディスカバリー号にその座を譲り、ニューヨーク・ハドソン川に浮かぶ、元空母を改造したイントレピッド海上航空宇宙博物館に移動・展示されることになったのである。

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(C)NASA/Smithsonian Institution/Carolyn Russo

 4月19日には歴代の宇宙飛行士など多くの関係者やファンが見守るなか、ディスカバリー号とエンタープライズ号が文字通り顔を合わせるカタチで博物館の引き渡し式が盛大に執り行われた。2度の事故や打ち上げコストの上昇など、さまざまな問題があって終了したスペースシャトルだが、アメリカのNASAが威信をかけて行なってきたことを十分に示すイベントとなったといえる。

 さて、話を戻そう。数日後に移動を予定しているエンタープライズ号は、スペースシャトルの栄えある1号機だ。

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↑1975年5月1日、初登場したエンタープライズ号。
(C)NASA

 もともとNASAの慣例に従い“コンスティテューション”号と名付けられるはずだったが、SFテレビシリーズ『スタートレック』シリーズの大ファンである通称トレッキーたちが、熱心な命名キャンペーンを展開。惑星連邦宇宙艦の“エンタープライズ”にしようと呼びかけたのだ。その熱意に賛同し、当時のフォード大統領が名称を“エンタープライズ”に決めた。これに世界中のトレッキーたちは歓喜し、完成式典にはスタートレックの主要キャストも招待されたほどだ。

 しかし、皆の期待を一心に受けた1号機は、実際宇宙に行くためではなく、大気圏内での飛行をテストする滑空実験機としてのみ扱われた。“実在する宇宙船エンタープライズ号”として、今日まで一度も宇宙に行くことはなかったのである。

 さらに今回、世界的に有名な“スミソニアン航空宇宙博物館での展示”という由緒ある座まで譲ることとなったのだから、一抹の哀しさを感じさせる。

 悲劇は続く。4月23日、スペースシャトル輸送機で自由の女神やマンハッタンの周囲を低空飛行する予定だった飛行計画は悪天候によって2度も延期になってしまった。米国時間の25日現在、27日朝に飛行し、自由の女神やマンハッタンの周囲を飛ぶ予定と発表されたものの、盛り上がりはディスカバリー号ほどではなく、最後まで悲運さを印象づけているかのようだ。

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↑イントレピッド海上航空宇宙博物館。これはこれでカッコイイですけど。
(C)NASA/Bill Ingalls

 さまざまなストーリーを感じさせる今回の2機の飛行だが、今後はそれぞれ人気展示として多くの観光客を引きつけるのは確実。米国に旅する機会があれば、アメリカ宇宙開発史を支えた両機を、是非一度、その目で見てほしい。

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↑エンタープライズ号はワシントン・ダレス国際空港で4月20日、輸送機の上に固定され、フライトを待っている状態だ。
(C)NASA/Bill Ingalls
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(C)NASA (C)NASA

■関連サイト
NASA
↑飛行のリリースや地図などを確認できる。
The Shuttle Program~A Tribute in Pictures Mission By Mission~(PDF)
↑スペースシャトルの歴史をまとめた資料。素晴らしい写真ばかりで必見。
World's Greatest Piggyback Ride
↑シャトル輸送機がどのように準備されたか解説されているムービー。

スミソニアン航空宇宙博物館(英語)
イントレピッド海上航空宇宙博物館(英語)

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