2012年05月01日21時00分

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(12)

人間よりも計算時間のかかる電卓

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 ある週、私の自宅には海外から2個の小包が届いていた。1つは、'70年代にオムロンが発売した「12SR」という電卓で、オランダのクラシファイドアド・サイトに出ていた。クラシファイドアド・サイトというのは、新聞の「三行広告」のようなサービスである。実は、この電卓、特殊なユーザーインターフェイスを持つ。それもあってか、オランダ人は、どうやらこの種のエレクトロニクス製品のマニアのようである。

 私は、オランダ語の翻訳サイトを駆使して苦労して会員登録をしたりして手に入れたはずなのに、オランダから「何で買ったの?」という英語の留守電が入っていたからだ。オムロンが、1970年代に発売していた「12SR」という電卓は、米国やソ連を中心に、RPN方式という(レジに似た)操作法を採用した、おそらく日本メーカーではこれ1機種しかない電卓なのだ。

 RPN電卓については、ASCII.jpのトピックの原稿を参照のこと(http://ascii.jp/elem/000/000/086/86320/)。で、そのオムロン製の「12SR」という電卓が来てから、私のふだんの計算はこれを使うようになった。「そんなに計算することないでしょう?」と、I編集長に言われたのだが、私の場合、原稿の中でよくテキトーな計算をやる。

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(12) 人間よりも計算時間のかかる電卓

※私のRPN電卓くんたち。

 「神保町の<いもや>は、2人連れで行っても順番に空いた席に座らされるが、並んで座ることになる確率は?」というような計算である。で、12SRの何がいいのかというと液晶よりも蛍光表示管の表示がちょっと優しげな感じがする。そして、実に、計算をしているという実感を味わえるのだ。たとえば、2の3乗は「Y^X」という関数キーでやるのだが、なんとこれを求めるのに約3秒もかかってしまう……。実に、人間が「ニニンがシ、シニがハチ」とやるよりも時間がかかってしまう。

※動画:12SRで2の3乗を計算しているところ。


 ちなみに、私が、初めて買った関数電卓は1974年製のシャープの「EL-8103」で、こいつも関数などの計算にやたらと時間がかかった。そこで、1975年製のHP-29Cや1983年生の旧ソ連製のMK-52といったプログラム電卓勢も加えて、日米ソの関数計算競争というのをやってみることにした。

  sin 30 sin^-1 0.5 ln 123 e^4
EL-8103(1974年製) 1.0" 1.7" 0.7" 1.2"
HP-29C(1975年製) 1.0" 1.0" 0.5" 0.5"
12SR(1977年製) 2.5" 2.0" 1.3" 1.7"
MK-52(1983年製) 1.7" 1,5" 1.5" 1.6"

 

 この結果を見ると、12SRは、1977年製としてもシャープやHPのそれ以前のモデルよりも計算時間がかかっている。ちなみに、計算中に表示管がシャカシャカと演算途中のデータ(?)を表示する点は、カシオの関数電卓であるfx-1以来の伝統だった(私が、fx-10ではなくEL-8103を買ったのはその途中経過表示で電池が減ると思ったからだ)。ちなみに、旧ソ連のMK-52は、外部I/O端子も持つ超多機能電卓でソユーズに乗って宇宙まで行ったそうだが、計算時間は、1977年製の12SRとそれほど変わらなかった。

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(12) 人間よりも計算時間のかかる電卓

※私が、初めて買った電卓の「EL-8103」とつい先日手に入れた「12SR」。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
アスキー総合研究所所長。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。2012年4月よりTOKYO MXの「チェックタイム」(朝7:00~8:00)で「東京ITニュース」のコメンテータをつとめている。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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