2012年04月27日08時00分

引越し記念! よりぬき東京カレー日記(1)

マッカーサー元帥とコンピュータ(改訂)

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東京カレー日記ii by 遠藤諭

 神楽坂の上り口にある庄屋のハムカツが旨い。ということで、営業の30代男性3人と編集系3人で飲みかつ、食べていたら、社内軍事評論家の1人Yくんが、なにかのきっかけで「風船爆弾」の話をはじめた。

「風船爆弾」

 第二次世界大戦中、日本軍が米国に向けて飛ばした兵器。丈夫で知られている和紙を使い、コンニャク糊で貼り合わせて作った巨大な風船で、爆薬をぶら下げて太平洋を超えて米国を直接攻撃しようという作戦である。風船爆弾(ふ号)は、いろいろなところで語られていると思うし、Wikipediaにも詳しいかもしれない。

 いまどきのお子達は知らない人が多いかもしれないが、ある年齢から上の男子なら「あったんだよねー、そういうの」と90%くらいは知っている。数千個以上という凄い数の風船爆弾が作られた。そして、米国との間でインターネットを結ぶ海底ケーブルが地上にはい上がる千葉県の太平洋岸から米国に向けて飛ばされていたんですね。それで、Yくんの話がとても詳しいのだが意外なことを知らなかった。というのは、

<スポーツバルーニングの発祥は、戦後、ある人物が捕獲された風船爆弾で飛んだのが始まり>

だったのだ(その本によれば)。そしたら、どうもあまり納得していない。でも、ホラ、会社に戻って米国のサイトを探してみるとやっぱりありました。風船爆弾で飛んだ話が載っている(Freeflight - Balloon Life December 1999)。

 ということで、私も、たまたま本で読んで知っていたことをネットで説明できただけなのだが、1つ、これとはまったく別の意外なお話を耳にしてこのコラムを書きだしたのだった(2006年当時)。というのは、あるときタクシーに乗っていたら、運転手さんが、

「道路公団にはマッカーサーの関係でUNIVACが入ったんだよねぇ」

と言ったのだ。ちょうど、道路公団の民営化のニュースがラジオから流れたときだった。タクシーの運転手さんの口から「マッカーサー」と「UNIVAC」という意外な組み合わせの言葉が出てきて驚いた。

 マッカーサー元帥といえば、サングラスとコーンパイプで厚木基地に降り立とうとしているシーンが、思い浮かぶという人が多いはず。昭和天皇と並んで撮った写真が有名だが、連合国最高指令官として日本の占領政策を遂行、辞書には「権力者としてふるまった」とも書かれている。

 そのダグラス・マッカーサー元帥だが、朝鮮戦争では、「ガンガンやれ」という強硬案を主張。そのためにトルーマン大統領と対立、1951年に解任。退役後、何をやっていたのかというと、コンピュータメーカーのUNIVACをその一部門としてもつレミントン・ランドの会長に就任していたのだ。

 運転手さんの言っていたことを確認しようとして、ネットで道路公団の公式サイトを見ると、たしかに「UNIVAC III」という当時としては最新鋭のコンピュータが導入されたことが事実であることが分かった。UNIVAC IIIというのは、歴史上、最も早い時期にオペレーティングシステムを搭載したコンピュータだといわれている。

 アメリカに帰ってコンピュータメーカーの会長になったマッカーサーが、「えっ、日本のこと? 日本のことならワシにまかせてよ」なんて感じのことを妄想したくなるのだが。このお話、「情報処理学会誌」(47巻2号 平成18年2月号)の持ち回りの連載で触れたりもしたのだが、そういう事実はないという丁寧なお手紙をいただいたりして、本当のところは分からずじまい。

 ところで、「マッカーサー元帥とコンピュータ」というと意外な気もするのだが、当時は、まだコンピュータといえば軍事利用が大きかった。『ノイマンとコンピュータの起源』(ウィリアム・アスプレイ著、杉山滋郎・吉田晴代訳、産業図書)とかを読むと、ソ連による熱核爆弾(水爆)の開発が、米国ではコンピュータの開発を急がせたそうだ。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
アスキー総合研究所所長。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。2012年4月よりTOKYO MXの「チェックタイム」(朝7:00~8:00)で「東京ITニュース」のコメンテータをつとめている。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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