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ニコ動も再生できちゃう1万円切りHulu再生機『光BOX+』が猛烈ヨカッタ

2012年04月09日 06時00分更新

 テレビにHDMIケーブルなどでつないで、有料映像の視聴ができたり、機能を拡張したりできる箱こと、セットトップボックス(STB)。日本ではケーブルテレビ文化が北米ほどは根付いていなかったり、そもそもテレビ放送波を見ている世帯が(視聴率が下がってるとはいえ)まだかなりの数ですし、まだしばらくは並べて比較するレベルにはならないでしょう。むしろ、日本でのSTBに近い使い方が定着しそうなのは、PS3やXbox360といったゲーム機からかもしれません。

 そんななか、先日NTT西日本が発売開始した『光BOX+』が、使い勝手、価格ともに想像以上に良いデキの機器だったので紹介しておきます。数万円のSTBでこの記事のようなことができても、「価格がそれなりに高いからね」と思うだけですけど、本機は8800円(税込み9240円)、というところに大きなアドバンテージがあります。

光BOX+(ヒカリボックス)
光BOX+
↑幅122ミリ×タテ100ミリの小さなボディー。CPUは1GHzのCortex A8を採用、ストレージ4GBと特定用途向けAndroid機としては十分なスペック。WiFiはIEEE802.11b/g/n対応。
光BOX+
↑向かって左側面にはSDカードスロットを搭載。PCなどで保存しておいた写真や音楽などを再生できる。
光BOX+
↑背面端子はシンプル。無線LAN接続する場合は、HDMIケーブルと電源を接続するだけ。小型・軽量なので、AVラックの適当なスキマに紛れ込ませておいてもOK。

 まず最初に特徴を説明しておくと、光BOX+を接続すると、主に以下の機能がテレビで楽しめるようになります。

  • 動画配信サイト『hulu』の視聴
  • 対応するYouTube公式チャンネルの再生が可能
  • YouTubeの検索・再生にも対応
  • ニュースフィード自動表示(livedoorとmsn)
  • オンラインラジオ配信サービス『radiko』の再生
  • 動画・写真の再生
  • ブラウザー内蔵(重要。後述)
  • 対応アプリによる機能拡張

 大きさはAppleTVのようなサイズ感。中身はAndroid 2.3が動いてますが、わざとソレっぽい画面を出そうとしない限りは、スカパーチューナーなどの映像家電のような操作性。普通に使っていて、Androidを意識することはほぼありません。

 初期設定は、HDMIでテレビと接続して、無線LANか有線LANでネットにつなぐだけ。PS3やXbox360なんかの設定ができる人なら、なんら悩むところはないでしょう。

光BOX+
↑初期セットアップが完了したところ。“光アプリ市場”アイコンを選ぶと、追加アプリのダウンロードが可能。メール送受信などもできる。
光BOX+
↑アプリ追加の際のみ、Androidっぽい画面が出てくる。それ以外はAndroidを意識する複雑な挙動などはなし。家族に触らせても安心。
光BOX+
↑見た目より多機能なリモコン。リモコンにジャイロセンサーが入っていて、Wiiのようにスムーズなマウスポインタとしても使える。

●huluの操作性は文句なし

 さて、光BOX+のイイところその1。特にhuluについては、操作性の良さ。これに尽きます。多いときは週末で10話近く見てしまう比較的ヘビーなhuluユーザーとしては、

1)動画再生、停止、早送りのレスポンス
2)海外ドラマを“シーズン”で探しやすいか
3)検索性の良さ

 あたりはチェックしておきたいポイントです。
 最初の1)レスポンスですが、1万円切りの激安級STBだしな〜、と過剰な期待をせずに使ってみると、かなりのサクサクぶりで目から鱗。あれ、これよくできてるじゃん!
 早送りの頭出しが十字キー左右でサムネイルを見ながら確認できたり、メニューの移動・表示も速かったりと、正直、操作感はいつも使ってるXbox360版のhuluより速いほど。触り初めから、むむむ、これかなり真剣につくってある製品だな、という印象です。

光BOX+
↑視聴中に十字キー左右を押すとこの画面に。押し続けると早送り/巻き戻しが加速していく。サムネイル表示があるので、頭出しは非常に使いやすい。

 次に2)ですが、huluで海外ドラマを見る場合、ランキングや自分の視聴履歴から目的の作品を探すことが多いわけですね。
 そのとき重要なのが、1話見終わったそのあと。次のエピソードを呼び出すまでに2〜3のステップが必要な場合が多く(←iPadアプリですら)、操作性とレスポンス次第で快適性が相当に変わります。

 光BOX+の場合、見終わってメニュー画面に戻ってから、“下矢印キー→シーズン→見たいエピソードを選択”で次のエピソードが選べ、しかもレスポンスは読み込みほぼなしのサクサク。欲を言えば、“次のエピソードを自動再生”ができればベストですが、これはPCブラウザー版にしかない機能ですからね。
 ちなみに細かいコトを言うと、Xbox360版では、次のエピソードが自動的にサムネイル表示されます。このあたりはさすがhuluのお膝元、本家北米ゆずりというところではあります。

光BOX+
↑“ろ”と入力すると、右ペインにそのキーワードを持つ番組が絞り込まれて表示。ひらがな、カタカナは問わないが、“ROYAL”のように英字で番組名が登録されていると引っかからない。

 最後の3)については、上の写真のようにインクリメンタルサーチに対応していました。キーワードの一部を入力するだけで、作品名をどんどん絞り込んで表示してくれます。リモコン操作なのでどうしたって文字入力は苦手なわけですが、それを補う機能がちゃんと入ってるわけですね(もっとも、僕はよっぽどのことがないと文字入力はしませんけど)。

●まったり楽しめる動画チャンネル機能

光BOX+
↑番組再生中に左右キーでチャンネルを切り替えていくのは、まさにテレビ感覚。小さなお子さんがいる家庭なら、公式のしまじろうチャンネルをとりあえず見せる、みたいな使い方も。

 huluは見たい作品を能動的に選んでいく楽しみ方ですが、「とにかくテレビをつけておきたい」「何かテキトーに見たい」という受動的な使い方は、YouTube公式チャンネルを表示する『動画チャンネル』機能がハマります。
 NTT西日本によれば、“コンセプトとして、テレビのチャンネル切り替えのようにザッピングして使うことを考えてある”とのこと。左右で各公式チャンネルの切り替え、上下でチャンネル内の番組の移動に対応してます。
 “YouTubeを検索して見させる”のではなく、“指定した公式チャンネルのみを表示”という割り切りは、実にテレビ向き。別アプリとして内蔵するYouTube機能を見てみるとわかりますが、リコメンドで表示される番組って、実はかなり偏っています。少なくとも、バラエティー豊かな内容にはなりません。

 公式チャンネルのザッピングにすることで、ニュース番組、スポーツ番組、アーティストのPV、一部のアニメコンテンツ(しまじろうチャンネルとか)といったように、テレビっぽく使うことできます。コンテンツ自体はYouTubeにあるものそのものですが、HDコンテンツならちゃんと高解像度再生されるところもポイントです。

●非公式ながらニコニコ動画再生○、バンダイチャンネルは△

 そして、結果的にAndroid搭載のメリットが発揮できていたのが、ブラウザー経由の動画コンテンツ再生。Androidマーケット改めGoogle playなどのマーケットプレイス機能はないため、最後に念のため……程度にチェックしてみたら、なかなか使えるんですよ、これが。

内蔵ブラウザーでニコニコ動画を表示
光BOX+
↑表示範囲は狭いですが、文字のジャギーなどはなくキレイ。PC版と同じようにIDを入力してログインします。
光BOX+
↑重い弾幕状態ではさすがにコマ落ちしますが、コメント表示も基本問題なし。なお、コンテンツ再生は無料会員でテストしています。

 まずニコニコ動画は、字幕・動画再生ともに問題なし。極めて普通に、標準機能かのようにあっさりと再生できてしまいました。UIはスマホ版の表示になっているようで、リモコンの十字キーでの操作が違和感なくハマります。

光BOX+
↑バンダイチャンネルの無料動画で再生確認。コマ数が少々間引かれているように見え、体感では15fps程度。とはいえSQモードまでなら十分楽しめるレベル。

 気をよくして、月額1000円見放題でおなじみのバンダイチャンネルも再生してみると、こちらもまずまずいけます。ただし、LQモード、SQモードまでは大丈夫なのだけど、HQモードだとキャッシュが追いつかないような挙動で、頻繁に止まってしまいます。YouTube HDの再生はできるので、ハード性能の問題ではなく、ソフトウェア的な問題でしょう。なお、UIはこちらもスマホ版表示となるため、リモコン操作は問題なしでした。

 もっとも、これらが再生できるのは、あくまで“たまたま”なんですけどね。サイト側の仕様変更で再生できなくなることもあるし、なによりマーケットプレイスがないので、今後もFlashPlayerなどのバージョンアップができるかは不明という点も注意する必要があります。

 とはいえ非公式でも大手動画配信サイトが楽しめるのは、光BOX+を評価する際の利点と決して無視できない追加ポイントになりますよね。

●改めて、直販価格9240円は安い。

 このほか、自動スクロールのニュースフィード(msnとlivedoorニュースのみ)を表示しながらradiko再生ができたり、DLNAクライアント機能(DTCP-IPには非対応)を使ってWindows Home Serverなどの共有フォルダーにアクセスして動画・音楽・写真の再生ができるなどの機能もあります。

ニュースフィードの表示機能

光BOX+
↑ニュースフィード表示モード。画面右端のradikoボタンで再生する放送局を選べる。取得できるフィードは最大20件まで。
光BOX+
↑気になったニュースを“OK”ボタンでクリックすると、ブラウザーで元記事を読みに行く仕様。

Windows Home Serverの共有フォルダーが見える

光BOX+
↑“メディア共有”機能を起動したところ。何も設定しなくても、同一LAN内にあるWindowsHomeServerが見えている。クリックすると……
光BOX+
↑こんな感じで共有フォルダが表示。通常はXbox360で再生している動画はだいたい再生できたものの、一部再生できないものも確認。

 以上のような機能を考えつつ、冒頭の“価格が9240円”ということを思い浮かべると、コストパフォーマンスの高さが際立って来ませんか? 僕は、2秒とはいいませんが2分くらいで欲しくなりました。

 特にオススメは、PS3やXbox360を持ってなくて、huluをテレビ画面で見たい人。この用途なら、現在最も安価に手に入るhulu再生機として、間違いなく満足度高い買い物になるハズ。

 ある日非対応になっても泣かないという前提なら、ニコニコ動画再生機として買ってみるのもアリだと思いますよ。

 なお販売チャネルですが、基本的に店頭売りはしていません。単品購入は、直販サイト『WEST-V』(関連リンク)のみでの取り扱いになるようです。ちなみに、NTT西日本取り扱い製品ではありますが、直販ですからエリア外の人でも入手は可能です。

 気になった人は、このレビューを信じてポチッと購入してみてください。hulu好き、ガジェット好きなら後悔しない製品と思いますよ。

●関連リンク
光BOX+製品ページ http://www.ntt-west.co.jp/kiki/hikaribox/
光BOX+販売ページ http://www.ntt-vshop.com/shop/goods/goods.asp?category=1103

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