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ニコニコ超会議でブルートレインを復活させた男 向谷実氏に突撃インタビュー!!

2012年03月19日 22時30分更新

 4月28日、29日に千葉の幕張メッセで行なわれる“ニコニコ超会議”。それに併せて、プロデューサーにミュージシャンの向谷実氏を迎えた、大阪から上野まで参加者を運ぶ臨時列車や関東圏を走るミステリートレインが計画されている。今回は、向谷氏への直撃インタビューで、さらに明らかになった情報をお伝えする。

向谷実インタビュー

■復活のブルートレイン“ニコニコ超会議号”
 大阪から上野駅まで参加者を運ぶ“ニコニコ超会議号”に関する情報は以下のとおり。

・4月27日大阪駅を出発し、湖西線、北陸本線、信越本線、上越線、高崎線を経由して翌日の28日に上野駅に到着
・使用される車輌は青森車両センターの24系ブルートレイン客車5輛
・寝台はすべて開放寝台
・大阪駅からはEF81型電気機関車のローズピンクが牽引
・ヘッドマークは台座からつくる

向谷実インタビュー

■大阪駅を17時30分~18時頃出発。上野駅には9時~9時30分頃に到着
シバタ なぜ北陸本線経由で大阪発上野行きというルートにされたんでしょうか?

向谷 もともとこのルートで列車を走らせたい構想がありました。大阪から東京まで寝台特急を走らせるならば、今までなら寝台急行『銀河』('08年廃止)で使われた東海道線経由のルートが定番でしたが、“裏”銀河ともいうべき、この北陸本線ルートで上野まで走らせてみたかったんですよ。ちょうど、大阪方面の超会議参加者を運ぼうというお話を頂いて、それで「やれる」って言ってしまったんですよ。それからが大変でした。旅行会社やJR東日本さんとの調整や折衝に気を使いました。ですが、JR東日本さんや旅行会社にもこうした特殊な運用でもご理解頂いてご助力頂けるプロの方々が多くて、実現に向けて具体案を色々と考えてくださいました。また、各社に鉄道ファンの方がいて、その方々のご協力もあり実現することができました。今後は『銀河』と同じルートでもやってみたいんですが、JR東海さんは現在ブルートレイン(客車列車)の運用が難しいようです。ただ、今回盛り上がりをみせて、いわゆる“成功例”をつくればJR東海さんも動いてくれるのではないかと期待しています。

シバタ 今回のルートの見どころを教えてください。

向谷 大阪を発車して湖西線に入るんですが、琵琶湖の夜景が綺麗に見えるので、そこは見どころですね。あとは、北陸本線で海沿いに走る区間があるので、夜の日本海を列車から眺めるのは風情があります。

シバタ ブルートレインとはいえ、見どころが多くてなかなか寝られそうにないですね。

向谷氏 いやいや、ちゃんと寝てくださいね!

向谷実インタビュー

■長岡駅で方向転換と機関車交換がある
シバタ 牽引機関車は決まっているんでしょうか?

向谷 敦賀運転派出のEF81型電気機関車のローズピンク色が大阪から牽引します。そこから先はまだ決まってないんですけど、長岡駅で方向転換をしなければならないので、このときに機関車交換があると思います。オリジナルヘッドマークは3枚までつくれるので最大3輌、2回までは機関車交換できますよ。実はどの機関車を使ってほしいかも私は希望を出せます。どの機関車を使うかはお楽しみに!

※ライターシバタの補足
 これに関しては取材時には未だ調整中という段階であり、向谷氏が何らかのサプライズを仕掛けてくる可能性も高い。また、長岡駅と言えば、寝台特急『北陸』が金沢駅と上野駅を結んでいたが、長岡で方向転換と機関車交換を行なっていた。これは、金沢駅から長岡駅に到着する際に、信越本線からでは進行方向が新潟方面を向いているため、上野へ向かう上越線に入るためには進行方向を逆にしなければならないためだ。寝台特急『北陸』では、この長岡駅での停車の際にEF81型電気機関車からEF64型電気機関車へ機関車交換が行なわれていた。これは、上越線の水上駅~石打駅間の谷川岳付近の勾配のきつい難所を通るために、勾配区間専用に発電ブレーキを備えた機関車であるEF64型が必要となるためだ。今までの例で言うならば、超会議号もEF64が牽引する可能性があるが、まだ詳細は不明だ。

向谷実インタビュー

■編成と車両が判明
 ニコニコ超会議号は6輌編成。車輌はすべて青森にあるJR東日本の『青森車両センター』所属だ。編成は大阪側から“オハネフ+オハネ+オハネ+オハネ+オハネフ+カニ24”になるとのこと。オハネフとは車掌室がついた開放型B寝台車輌。オハネは車掌室がないタイプの開放型B寝台車輌。“カニ24”は、電源車と呼ばれ発電機を搭載して列車全体に電気を送る車輌。また、新聞などの荷物も載せることもできる。基本的に乗客は立ち入れない。24系客車は車輌によってブルーの車体に白や銀色、金色の帯が巻かれている。

シバタ 編成をすべて開放B寝台にした理由を教えてください。

向谷 開放B寝台はとても好きな車輌です。寝台も楽しめますし、通路にも補助席があってそこからの眺めは夜行列車独特の風情を感じられます。また、個室と違ってツアーの参加者どうしのコミュニケーションもとれるので今回の旅には最適です。私も参加者と車内でコミュニケーションしたいのですが、参加者どうしのコミュニケーションもしてほしいですね。

シバタ ところで、使用する24系の帯の色って決まっていたりするんですか?

向谷 今のところ、B寝台客車は白帯でそろえる予定です。ただ、カニ24だけ金帯になりそうです。

向谷実インタビュー

■車内は向谷氏がフルプロデュース
 ニコニコ超会議号には、向谷氏が同乗。なんと、車内アナウンスや切符の検札は向谷氏自ら行なうことに。さらに車内アナウンス時に流れる音楽“車内チャイム”も向谷氏がオリジナルの曲を制作すると発表。ちなみに、オリジナルの乗車記念グッズも乗客にはプレゼントされるとのこと。なお、今回の編成では、食堂車が連結されないものの、ツアー料金に食事のお弁当が含まれており、これもオリジナル駅弁をつくりたいと向谷氏が語っていた。向谷氏と言えば、JR九州所属のN700系新幹線の車内チャイムも制作した実績をもつ、いわば車内チャイムの“プロ中のプロ”だ。150名の乗客だけが聞けるオリジナルの“車内チャイム”は貴重な体験となるだろう。

■485系公開解体買付ショーに参加できる
 ツアー料金には『超会議有料ゾーン一日入場券』が含まれており、かなりお得だ。さらに乗客には特別に番号札が配られ、当日幕張メッセで開催される485系の公開解体買付ショーに参加できる権利がすでにあるとのこと。

■ミステリートレイン宴
 品川駅から、ニコニコ超会議会場“幕張メッセ”の最寄り海浜幕張駅まで参加者を運ぶ宴会列車“ミステリートレイン 宴”の情報は以下のとおり。

・走行ルートはミステリー。ルート当てクイズが実施され、的中者には豪華プレゼント
・発車駅は品川駅
・到着駅は超会議会場の最寄り駅、京葉線の海浜幕張駅
・行程は4時間前後
・千葉方面から入り、京葉線の蘇我駅で方向転換して海浜幕張を目指す

向谷実インタビュー

■出発と到着時刻が判明
 8時30分~9時頃に品川駅出発、13時~14時頃に海浜幕張駅到着。

シバタ ルートを教えてもらえませんか?

向谷 これは乗ってみるまでは秘密ですよ。ルート当てクイズをしますので、ぜひ参加してください。豪華賞品を用意しますので。

シバタ 以下のルートを考えてみたんですけど、いかがでしょう?

●ライターシバタ作成の予想ルート
・品川→(横須賀線)→新鶴見信号所(方向転換)
・新鶴見信号所→(武蔵野南線)→府中本町→(南武線)→立川(方向転換)
・立川→(中央本線)→新宿→(中央総武緩行線)→錦糸町→(総武快速線)→蘇我(方向転換)
・蘇我→(京葉線)→海浜幕張
方向転換:3回

向谷 第3案として考えましたけど違います。ヒントとしては“方向転換が多い”です。

※ライターシバタの補足
 ちなみに、できるだけ“人目に付くところを走らせる”と語っていた。“我こそは!”と思う鉄道ファンはふるって予想してほしい。

■車内で宴会できる!
 お座敷列車“宴”は、その名のとおりお座敷でくつろぎながら宴会を楽しめる車輌だ。ツアー限定オリジナルパッケージのスペシャル弁当が配られるほか、飲み物などの持ち込みもオーケー。また、向谷氏が車内を巡回し検札などをして乗客と交流するとのこと。あと、こちらも公開買付ショー参加権利がある。

■485系公開解体買付ショー
 
超会議の会場では、実際の鉄道車輌を抽選で購入できるイベントも実施する。ブルートレインやミステリートレイン“宴”乗車の参加者はもちろん、会場での新規参加も予定している。

・JR九州で'11年3月まで特急“きりしま”や“にちりん”などで使われていた特急型車輌485系を解体してパーツを購入できる
・この様子はJR九州の小倉工場とライブ中継で会場を結び、会場の参加者が抽選で購入を申し込める
・パーツの価格は“送料込み”

向谷実インタビュー

■できるだけ安価に価格交渉
 購入は購入者が欲しいパーツに対して自分の番号札を箱に入れ、そこから番号を抽選して決定。値段の上がるオークション等は行なわない。また、できるだけ安く購入するため、現地スタッフが価格交渉を行なう。

シバタ 廃車車両を買付なんて、公では初めての試みですね。やろうと思ったきっかけを教えてください。

向谷 正直、ファンの方からすると、解体して部品を売るなんて、快く思わない方もいるかもしれません。ですけど、よく考えてみてください。廃車された車輌はタダの鉄くずになってしまうんですよ。それならば、少しでもその車輌の思い出を残したい! そんな想いから始めました。大切にしてくれる人が部品を持っていれば、それだけでその車輌の思い出を長く残すことができるんです。今、車輌の部品の多くは専門業者やオークションでプレミア価格付きで売られています。これでは欲しい人でも高くて手が出ない。ですけど、今回はできるだけ安く、送料も込みで販売します。実は儲けを出す気はありません。解体作業の費用と鉄くずとして売られた場合の費用、送料、運営コストを負担できればそれで良いと思ってます。なのでオークションではなく、厳正な抽選です。必ず欲しいものが買えるわけではありませんが、これならば安く購入できます。このイベントを行なうことで、今までの部品販売のあり方に一石投じたいと思います。本当は会場まで車輌を運んでやりたかったんですけど、485系は車内にアスベストが使われている関係で、解体時は工場でやらないといけないんですよ。だからライブ中継にしました。

シバタ 本当にどの部品でも買えるんですか?

向谷 基本的には買えます。防護無線とか保安系の装置や台車などの大きなものは買えません。ですけど、シートはもちろん、車内チャイム装置、方向幕(巻き取り装置含む)、トレインマーク、タイホーン、国鉄の温度計、便所知らせ灯、特急のシンボルマーク、製造銘板、ブレーキハンドルなども大丈夫です。また、運転台上のヘッドライトも買えますよ。

シバタ 車番や外板のロゴはどうでしょう?

向谷 車番は車体に直づけされているので、周囲を溶接して取り外して買えますよ。

 ちなみに、当日開催される鉄道運転シミュレータ『Train Simulator』のプレーテクニック大会で使用される東武8000系の実物の運転台を改造したコントローラーで向谷氏がお手本を披露してくれた。なんと、停止位置のメーターを見ずに運転台の速度計と画面内の停止位置だけで30センチ以内に停車するという神業をみせてくれた。筆者も体験してみたが、これが相当難しい。どれぐらいまで加速して、どこからブレーキをかけるかという感覚がつかめず、向谷氏のアドバイスがなければ、大幅オーバーランしていたところだ。

向谷実インタビュー

■関連サイト
ニコニコ超会議サイト
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