週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

CeBIT 2012:Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ【ななふぉ管理人寄稿】

2012年03月08日 15時30分更新

 いよいよ今年もドイツのハノーバーで始まった情報技術の見本市『CeBIT 2012』。初日となる3月6日には、マイクロソフトがWindows 8の企業ユーザー向け機能を発表した。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑Windows 8の企業向け機能を紹介するマイクロソフトのErwin Visser氏。

 Windows 8といえばライブタイルが並んだスタート画面や、メトロスタイルアプリ、タブレット端末ばかりが注目されがちで、企業ユーザーの中には、あまりに大きく違うUIに及び腰になっている方も少なくないようだ。

 今回の発表会はそんな不安を払拭する内容になっている。早速ご紹介しよう。

■従来通りのデスクトップ利用も可能

 企業ユーザーがWindowsというOSに求める機能として最も重要なのは、WordやExcel、PowerPointといったOfficeアプリ、あるいは各企業内で利用している業務用アプリではないだろうか。

 この点についてマイクロソフトのWindows担当シニア・ディレクターのErwin Visser氏は、Windows 8のデスクトップモードでWordやExcelといった既存のWindowsアプリを起動し、これまで通り利用できることをアピールした。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑従来と同じようにデスクトップアプリも利用できる。

 Windows 8が発売されれば多くのタブレット製品も登場するはずだが、当面はデスクトップPCやノートPCが主流になるはずだ。Visser氏は「キーボードとマウスを利用した場合でも、マルチタッチ操作の場合と遜色なくWindows 8の利便性を享受できる」と説明した。

■従来型のアプリとメトロスタイルアプリを併用可能

 従来のWindowsアプリとメトロスタイルの2種類のアプリを、同じ画面内で両方起動することもできる。Visser氏は、WordとExcelを表示した状態で、画面端にメトロスタイルアプリをドッキングするデモを行なった。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑サイドバーのようになっているのがメトロスタイルアプリ。その右には従来のWordやExcelのウインドーが並ぶ。

 Officeアプリの使用がメインとなるようなワークスタイルであっても、メトロスタイルアプリを活用できる。たとえば16:9のワイド画面で作業をしていると、横方向の面積を持て余してしまうことはないだろうか。この余白にメトロスタイルアプリを配置すると、画面を効率的に利用できそうだ。

■『Windows To Go』でUSBメモリからOSをブート

 企業ユーザー向けの新機能として紹介されたのが『Windows To Go』だ。この機能はUSBストレージからWindows 8を起動できるというもの。USBメモリーにOS本体やアプリ、ユーザーデータを丸ごと格納しておく。これをPCに接続し、完全にUSBメモリー内のデータのみを使ってWindowsを起動できる。

 OSごと入れるため最低でも32GB程度の容量が必要だが、自分の環境を丸ごと持ち運べるというのは魅力だ。企業利用の例としては、USBメモリーだけを持って出張したり、自宅のPCで仕事の続きをするといったケースを想定しているという。

 気になるのはセキュリティー面だろう。まず、Windows To Go利用中のPCからUSBメモリーを抜くとどうなるのか? この場合、1分後にOSが自動的にフリーズするようになっている。間違って抜いた場合、1分以内に挿し直せば問題ないとのこと。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑動画再生中にUSBメモリーを抜くデモ。1分後に動画はピタッと停止した。

 また、USBメモリーを持ち歩く場合には紛失や盗難のリスクがある。USBメモリーをWindows 8で強化されるBitLockerで暗号化することでその対策としている。

 マイクロソフトは「企業がどのように活用してくれるか、楽しみだ」と語っている。使い方次第では、ワークスタイルに大きな変化をもたらす可能性を秘めた新機能だ。

■リモートデスクトップも進化、マルチタッチにも対応

 Windows 8ではリモートデスクトップも大幅に強化される。まず、メトロスタイルアプリをリモートデスクトップ経由で快適に利用できる。加えて、マルチタッチに対応しているため、タブレットからリモートデスクトップ接続する場合も実機と同じ操作が可能とのことだ。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑『Cut the Rope』をリモートデスクトップ経由でプレー。なめらかに動く。

 描画性能が向上しており、動画の再生やゲームプレー時でも、画面のなめらかさは実機と遜色ないレベルになっている。

■悪質なウィルスへの対策『Trusted Boot』

 Windows 8を安全に起動する新機能『Trusted Boot』のデモも行なわれた。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑起動中に問題を検出すると自動的に停止する。

 『Trusted Boot』はWindows 8の起動プロセスを保護することで、マルウェアやウィルスからPCを守るという機能だ。例えば、起動中にデジタル署名のないドライバーを読み込もうとすると、エラーを表示して起動を中止する。

 悪質なマルウェアやウィルスは、Windowsの起動中に自分自身を仕込むことで、Windowsの起動後に立ち上がるアンチウィルスソフトの監視から逃れようとするものがあるという。その場合もTrusted Bootが有効なPCであれば、未然に防ぐことができるようになる。

■Windows 8は企業でも期待大

 Visser氏はConsumer Previewについて、公開から24時間で100万ダウンロードを達成するなど、非常に高い注目を集めている点を強調した。

 企業ユーザー向けには、従来のデスクトップアプリをメインに利用することもできるという安心感を与えた上で、メトロスタイルアプリとの併用を提案する形になっており、個人ユーザー向けの発表会よりは慎重な印象を受けた。

【CeBIT 2012】Windows 8がビジネスでも使えると主張するそのワケ
↑メトロスタイルのIEを紹介するときも、ウェブページとして金融情報ニュースサイト“Bloomberg”を開くなど、ビジネスユーザーを意識していた。

 また、セキュリティーに関する機能は、企業内システムで流行している在宅勤務のサポートや、私物持ち込み(BYOD=Bring Your Own Device)を意識した機能に対応している。Windows 8を導入することで、より柔軟なワークスタイルが可能になりそうだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう