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MWC2012:MSのβ版発表イベントでわかった新OS Windows8の包容力

2012年03月01日 09時46分更新

 米マイクロソフトはMWC会期半ばとなる2月29日(バルセロナ現地時間)、『Windows8 Consumer Preview』のダウンロード提供を開始した。

 コンシューマーという名称のとおり、一般ユーザーも含めた大規模なβテストとなる。対応言語は英語、独語、仏語、日本語、中国語(簡体字)の五言語。あわせて開発キットの『Visial Studio 11 ベータ版』もダウンロードできる。

 Windows8は文字どおり現行WindowsであるWindows7の後継となるOS(オペレーティングシステム)で、キーボードとマウスを使った既存の操作だけでなく、普及が急速に進むスマートフォンやタブレットのように、タッチ操作を重視した大幅なUI(ユーザーインターフェース)の変革が行なわれている。

 このUIはMetroという名称で、すでにWindows Phone7やXbox360のユーザーインターフェースとして採用されている。マイクロソフトはコンソールゲーム機やスマートフォンを含め、自社製品におけるUIをMetroに統合していく意向だ。

 メディアとパートナー企業を集めて開催されたカンファレンスで、Windowsの顔とも言える米本社のWindows and Windows Live DivisionのPresident、スティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏は、「(1995年に発売された)Windows 95以来の大規模な変革」とWindows8を紹介した。

Windows8ConsumerPreview
↑Windows8 Consumer Previewを紹介するスティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏。
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↑Windows8 Consumer Previewのフォーカスエリア。BUILDで開発者向けに配布された開発機器がタブレットだったこともあり、Consumer PreviewではOS、Windows Store、そして既存のPCと周辺機器との互換性チェックなどが重視される。

 カンファレンスは、バルセロナ市内にあるMWCの会場も含む“モンジュイックの丘”と呼ばれるエリアの頂きにあるホテルで開催。欧米を中心としたメディアと、パートナー企業が参加した。シノフスキー氏によれば、昨年9月にアトランタで開催された開発者向けのイベント“BUILD 2011”で開発者に向けて配布されたDeveloper Preview(開発者向けプレビュー)版から、10万ヵ所以上の改良を加えて、Consumer Preview(一般向けプレビュー)版に達したという。

 ほかにも、Developer Preview版では利用できなかったWindows Storeや、Windows Liveとの高度な連携を実装。Internet Explorer 10 Preview5などが追加された。なおβテスト期間にあたるConsumer PreviewではWindows Storeのアプリケーションがすべて無料で利用できるという。

タッチ操作とマウス、キーボードの双方で洗練されたUIを実現

 Windows8のConsumer Preview版のデモンストレーションは、Windows Program Management担当のJulie Larson-Green副社長と、Windows Web Services担当のAntonie Leblond副社長によって披露された。Larson-Green副社長はタブレットを使ってタッチ操作によるMetroの操作を紹介。いっぽう、Leblond副社長は既存の環境ともいえるマウスとキーボードを使った操作を紹介して、同等の操作が異なる入力方法で行なえることを示した。

Windows8ConsumerPreview
↑タブレットのタッチ操作でMetroを使うLarson-Green副社長。カテゴリ別にグループ化されたタイルの位置を並べ替える。
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↑チャット画面。スクリーンの右側に、現在起動しているアプリケーションの一覧を引き出してタスクを切り替える。
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↑タブレット上の仮想キーボードを使った文字入力。
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↑Leblond副社長はLenovo製のUltrabookを用い、トラックパッド(マウス)とキーボードを使ってWindows8を操作。
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↑タブレットとは異なり、マウスポインタがスクリーン上に表示されている。
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↑WordやPowerPointといったOfficeアプリケーションが従来のWindows7と同じインターフェースで利用できる。
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↑デスクトップ画面でも起動中のアプリケーション一覧はスクリーンの左右に表示できる。
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↑Windows7のPublic Preview(パブリック・プレビュー)で壁紙として使われていたベタ(闘魚)が、タイルふうのデザインになってWindows8 Consumer Previewに復活した。
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↑Windows Live IDを使ってSkyDriveにアクセスする。Live IDを使ったパーソナライズとクラウド機能、ソーシャル連携はWindows8における重要なポイントになる。
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↑Consumer Previewから利用できるようになったWindows Store機能。Consumer Preview期間中は無料でアプリケーションのダウンロードが行える。
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↑2011年9月のDeveloper Previewを元に、App Contestが開催された。
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↑“8”にあわせて、8つのアプリケーションを優秀アプリケーションとして選出。Windows Storeで提供される見通し。
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↑ソフトウェア側からみたWindows8のエクスペリエンス。操作感、Windows Store、クラウド機能、ソーシャル連携などにフォーカスしている。

タブレットからエンタープライズまでスケーラブルに展開

 ハードウェアに関連するデモンストレーションは、Windows Planning and Ecosystem担当のMichael Angiulo副社長とシノフスキー氏によって次々に紹介されていった。流れとしては小さなPC(タブレット)から大きなPC(デスクトップ)へというスタイルで、SoCのタブレット型デバイス、Ultrabook、パーソナルデスクトップ、ワークステーションなど、すべてのPC環境下でWindows8のユーザーインターフェースやエクスペリエンスがスケーラブルに利用できることを紹介した。

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↑ハードウェア側から見た視点。SoC(システム・オン・チップ)デバイスでのWindowsとしての完成度、どんな場所からでもこれまで以上に快適なアクセス、そしてホームユース、ビジネスユースなど多方面への対応が求められている。
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↑今年半ばには登場するとされる、Intel製のCPU『Ivy Bridge(コードネーム)』を搭載する第二世代のUltrabookを紹介。
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↑今後はどんな機器、どんな利用シーンでもタッチ操作ができるようにハードウェアの変革も進んでゆく。
-↑International CESで発表されたLenovoのデスクトップ製品。27インチの一体型PCで、タッチパネル対応ディスプレーを搭載。チルト機能によってディスプレー面を水平にして利用できる。
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↑ステージの背後に置かれていた大型のディスプレーもタッチ入力に対応。高解像度なため、表示されるMetroのタイル数が多いことに気がついただろうか。
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↑既存のビジネス環境の延長上にあるためマルチディスプレーにも対応。デスクトップ環境やノートブック+外付けディスプレーといったハードウェア構成。
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↑各種周辺機器のサポートを紹介。速度の異なる外部記憶装置を連結してひとつのデバイスとしてマネージメントする。
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↑タブレットからワークステーションまで、環境の拡大にスケーラブルに対応する。
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↑USBメモリーにWindows8と自分の環境を用意することで、他のPCを使って自分の環境をUSBブートできる。
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↑Windows8のUSBブートと、デスクトップのWindows7の再起動時間を比較。Wiondows8はすでに起動しているが、既存PC側はまだBIOSを表示している。
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↑ハードウェアの面から見たWinodws8のまとめ。SoCのデバイスが次世代PCの主流になり、WOA(Windows on ARM)の開発も進行中。タッチ操作は小さなPCから大きなPCにまで採用されるようになる。OSの軽量化が、プロフェッショナルユースやハイエンド層のニーズを損なうことはないという。

 いずれのデモンストレーションも、2011年9月にアナハイムで行なわれた“BUILD 2011”の内容を踏襲し、またデモンストレーターも同一だったが、映し出されるスクリーンのあちらこちらに一見してわかるDeveloper Previewとの違いが見受けられ、その名称のとおりDeveloper向けからConsumer向けへと一歩進んだことを印象づけるカンファレンスとなった。

 最後にシノフスキー氏は、Windows8の今後のスケジュールを公開。来週にドイツ・ハノーバーで開催されるCeBITでエンタープライズ向けにWindows8の紹介を行なうという。そして次のマイルストーンが製品候補(Release Candidate)版になることを紹介した。ただし製品候補版の登場時期や、Windows8の出荷時期の詳細についてはまだ明らかにされていない。

●関連リンク

ニュースリリース(英文)

Consumer Previewダウンロードサイト
 

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