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公式伝記『スティーブ・ジョブズ』著者、アイザックソン氏インタビュー

2011年11月28日 17時11分更新

 ジョブズ前CEOの死後、世界各国で発売された伝記『スティーブ・ジョブズ』。国内では発売10日目で100万部を突破し、近年最も話題となった書籍のひとつ。ウォルター・アイザックソン氏のインタビューの一部をご紹介します。

スティーブ・ジョブズ伝記
スティーブ・ジョブズ伝記

↑世界30ヵ国以上で発売された『スティーブ・ジョブズ』(翻訳:井口耕二)。発売後10日で上下巻合わせて100万部を突破し、現在もセールスランキングの上位に入っている。同じ価格で電子書籍版も発売中。講談社、各1995円

スティーブ・ジョブズ伝記
↑『スティーブ・ジョブズ』の著者、ウォルター・アイザックソン氏。アインシュタインやキッシンジャーの伝記でも知られる。
Photograph by Patrice Gilbert.

 

─―ジョブズ氏は、アップルをどんな会社にしたかったのでしょう?

 「技術と芸術性が交錯する製品作りで、長年にわたって生き残る“長寿企業”を目指していました。彼にとって優れた製品とは、技術、芸術性の両面で優れたもののことで、この目標を実現するための企業体質づくりに心血を注いでいたようです。
 また彼は、アップルはイノベーションと想像力を育てる場所であるべきだと考えていました。そのため、不可能を可能にしたエンジニアやデザイナーを高く評価しました。多くの企業が、想像力ではなく利益を育てる場所になっているのとは対照的ですね。
 技術面でも、ボス(ジョブズ本人)に対する従業員の忠誠心という面からも、彼は米国で最高レベルのチームづくりに成功したと感じていたはず。ジョブズは厳しいボスでしたが、そのタフさがそうした優秀な人材を遠ざけることはなく、逆に部下はいい刺激と受け止めていたようです」

──後継者としてティム・クック氏を選んだ理由は?

 「ジョブズと同様に、クックはデザイナーとエンジニアの懸け橋になれる人材。ひとつの分野に精通しているだけではCEOになれません。優れたデザイナーにいい仕事ができるように働きかけたり、そのデザイナーに合うエンジニアを紹介したりする役割を求められます。リーダーシップのかたちは異なるものの、最高の技術と最高のデザインをつなげることに情熱を傾けていたクックが適任と考えたのです」

──自分の死後も、アップルは企業として生き残ると信じていましたか?

 「100年後も生き残る企業にすることを目標としていました。(2015年完成予定の)新本社ビルの設計に力を入れたのもそのため。宇宙船型のビルにしたのは、想像力を称えるデザインにするためだそうです。
 約10年前、ジョブズはアップルの戦略を大きく変更しました。それまでのパソコンは机の上に置くだけの代物でしたが、パソコンにデジタルライフのハブとしての役割を担わせることにしました。そして現在、携帯音楽プレーヤーや携帯電話、電子書籍などのデバイスはすべてパソコンに接続されています。さらに今後の10年で、このハブの役割がクラウドに移るというのが彼の考えです。所有するコンテンツはアップルのサーバーに保存され、利用者はどこにいても簡単に手持ちのデバイスで楽しむことができるわけです」

 

 このほか話題は、「ジョブズは日本企業をどう見ていたか」や「シリコンバレーで注目していた若手起業家」、「どうして日本文化が好きだったのか」などにも及びました。
 ウォルター・アイザックソン氏インタビューの全編は、29日(火)発売の『MacPeople 2012年1月号』(関連サイト)でご覧ください。

●関連サイト
MacPeople

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