週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ロボット駅員がICカードをチャージ! 未来の鉄道の姿が見える『第2回鉄道技術展』

2011年11月11日 17時00分更新

 千葉県・幕張メッセで11月9日~11日まで鉄道関連メーカーの展示会『第2回鉄道技術展』が行なわれた。ほとんどは車両部品や保線関連のいわゆる”業界向け”の展示となったが、いくつかおもしろい展示があったのでリポートする。

■貨物列車に衝突しても乗員乗客が生存できる新幹線『efSET』

鉄道技術展

 注目のひとつは『efSET』。前年も展示されていたが、製作する川崎重工車両カンパニーは、旧国鉄時代からほとんどすべての新幹線車両を製造するいわば“新幹線製造の老舗”で、『efSET』は、2008年から北米市場などをターゲットに開発されていた車両だ。

 会場の説明員の話によると、開発はすでに完了しており、ゴーサインが出ればいつでもつくれる模様。外国では新幹線が貨物列車や在来線の列車と同じ線路で走る。米国の連邦鉄道局では導入の条件として、“停車中の貨物列車に時速32キロで衝突しても、乗員乗客が生存できること”などの条件を出していた。それに対し、本車両では前面にダンパーを内蔵し、この条件をクリアーできる工夫がされているとのことだ。

■Co2を削減し、都市の景観を守る新交通システム

 路面電車といえば、一時は車の増加により、全国で廃止の一途をたどった。しかし、CO2削減など環境問題の意識が高まった現在では“環境に優しい公共交通機関”として見直されている。そのため、富山のライトレールや広島の市電では、省電力で低床式の乗り降りしやすい新型車両の導入が進められている。これをさらに進化させる展示が見られた。

鉄道技術展

 川崎重工車両カンパニーでは、架線のない場所でもバッテリーで走れる次世代路面電車LRV『SWIMO』のコンセプトモデルを展示。5分の充電で10メートル走れる。都市部の景観保護などで一部架線が張れない区間での運用に適している。

鉄道技術展

 こちらは、小型発電機とバッテリーを搭載した近畿車輌株式会社のコンセプトモデル『KS SERECT』。必要なときに発電機で充電をできるため、架線など外部からのエネルギー供給は不要。また、屋根にはソーラーパネルがあり、自然エネルギーも走行のアシストに利用できる。

■財布に入れたままICカードをチャージできる自動券売機

鉄道技術展

 自動券売機やホーム扉のメーカー、高見沢サイバネティックスは、新しい券売機の提案モデルを開発。右下の青色の部分にICカード入りの財布やスマホ、ケータイを置くだけで、いちいちケースからカードを取り出さなくてもチャージできるという。一見地味ではあるが、実装されるとうれしい機能だ。本モデルはこれから鉄道会社に提案を行なっていくとしている。

■ロボットが自動改札をアシスト

鉄道技術展

 自動改札の老舗メーカー、日本信号では、自動改札と連携する駅員ロボットの試作モデルを開発。

鉄道技術展

 ロボットの頭部にはタッチパネルが搭載されており、残額不足などで改札を通れない場合には、移動してきてそれを知らせてくれたり、精算が行なえる。また、駅構内の案内や振替乗車票の発行、遅延証明の発行など駅員が行なう業務を代行できるようにするという。

■カメラ技術が鉄道の安全を守る

鉄道技術展

 JVCケンウッドは、カメラ技術を生かして鉄道向けのモニタリングシステムを展開していた。従来のカメラでは日光の照度差などで白く飛んでしまったり、黒くつぶれてしまう映像を1ドットずつ判断させることで、適切に補正してダイナミックレンジを広げる装置を開発。これにより、モニター越しでも駅構内の様子がより鮮明に見えるようになる。

鉄道技術展

 左は従来のもの、照度差で黒く沈んでいて様子がわからない部分がある。右は新カメラでの映像で、全体が明るく人の様子がよくわかる。

 ほかにも、レールの上を走れる保線トラックや車両部品、線路に使われる材料などさまざまなものが展示されており、ふだん見られない鉄道関連の製品を多く目にすることができた。このような業界向け展示会も、実におもしろいのだ!

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう