2011年09月29日19時53分

【本田雅一寄稿】ソフトバンク ハイエンド機詳説&4G版iPhoneに向けた同社の戦略

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

 みなさん。今度はソフトバンクモバイルの発表会ですよ。

 ソフトバンクと言えばiPhone、iPhoneと言えばソフトバンクですが、ワタクシの勝手な予想としましては、今回はかなりAndroid系に力を入れてくるんじゃないかな?

 なにしろau版iPhone発売の報がありましたからね。今後はAndorid端末に、より以上の注力をせざるを得ないでしょう。などと、予定原稿を書き始めていたら、孫さん、鮮やかなオレンジのジャケットで登場しました。

 さて、ここからが本題。今回のミッションは「ソフトバンクのAndroidハイエンド2機種を捕捉せよ!」というもの。

 2012年春頃に発売される『AQUOS PHONE SoftBank 104SH』と2012年1月以降に発売される『DELL STREAK PRO SoftBank 101DL』。この2つについての調査(?)に、発表会にやってきたわけです。

 まずはデルの101DL。ディスプレーはなんと(!)4.3インチ有機EL。しかも解像度はQFHD(960×540ピクセル)。液晶よりも回路が複雑で高精細化が難しい有機ELで、あまたあるハイエンド端末と同等の高解像度。

 実際の見え味も素晴らしく高コントラスト、高彩度。このサイズでQFHDの有機ELパネルなので、もしや解像感を落とさずにサブピクセルの数を減らせるPENTILE配列では?! と思ったのですが、質問しても明確な返答は得られませんでした。

 プロセッサーは噂どおりのクアルコム第3世代Snapdragon。デュアルコア1.5GHzのプロセッサーパワーもさることながら、ゲーム機さながらのGPUパワーを持つAdreno220が魅力となるでしょう。

 残念ながらこの製品だけが、今回発表の端末の中で防水ではないそうですが、男性向けの力強いデザインはバッテリーカバー部がディンプル加工など、なかなか手に馴染みやすいところもいいですね。

【本田雅一緊急寄稿】ソフトバンクハイエンド端末詳説&4G対応iPhoneに向けた同社の戦略
↑美しい高解像度の有機ELパネルを採用したデルのハイエンド端末。背面のディンプル処理は、滑りにくくいい感じ。

 ただし、動作はしていましたが、手に触れての操作はNG。さらに速度がわかるようなデモをお願い! としても、同じくNGでしたから、筐体を手に触った感覚ぐらいしかわかりませんでした。来年1月以降の発売ということですから、まだまだこれから追い込むところなのでしょう。

 次に『AQUOS PHONE SoftBank 104SH』。こちらはもっと厳しい。なにしろモックアップだけの展示で、実際に動いている姿は拝見できませんでした。Ice Cream Sandwich採用って話ですから、これはしょうがないでしょうね。

【本田雅一緊急寄稿】ソフトバンクハイエンド端末詳説&4G対応iPhoneに向けた同社の戦略
↑残念ながら動作する個体は触ることができず。

 来年春発売というアナウンスなので、実際には秋冬モデルとは言えないかもしれないですね。ソフトバンクがこのモデルの公開に踏み切ったのは、Androidスマートフォンのハイエンド機が多数登場してくる中での牽制なのかもしれません。

 いわゆるガラケー機能は持たない海外メーカーの製品と同様のAndroidスマートフォンですが、“小型パーソナルコンピューターとしてのスマートフォン”としては、しばらくの間、最強クラスの端末になることは間違いないでしょう。

 採用するプロセッサーはテキサス・インスツルメンツ(TI)のOMAP4。しかも、第2世代のOMAP4460です。CPUコアのクロック周波数は1.5GHz、もちろんデュアルコア。GPUはPowerVR GX540の384MHz動作ということで、もちろん十分に高性能ですが、さらにビデオCODEC処理用のIVA3というDSPコアもCPUとは別に統合しており、フルHDの映像(しかもインターレスも)楽に再生できてしまう。さらにはフルHDの動画撮影だって処理可能です。

 そのうえ1.5GHz帯のHSPA+エリアにも対応とのことで、1.5GHz帯を捕まえることができたら1.5GHz帯でHSPA+の最大理論値21Mbps(実際にはそこからエラー訂正コードが引かれる)の通信を行ない、1.5GHz帯の電波が捕まらない場合は2GHz帯のHSDPAへ、さらに通常のW-CDMAへといった優先順位で接続します。

 4.5インチの1280×720ピクセルという液晶画面に、3.89ミリという狭額縁、8.6ミリという薄さは未来感たっぷりですが、そのうえ防水設計というのですから、本当にこれ以上はないというフルスペックと言えるでしょう。

 なお、説明員さんの話によると、WiFiがオンになっている時にソフトバンクWiFiを見つけると、自動的に接続、ログインをする機能が入っているとのことですが、特別なフリンジ処理(無線LANエリアの端で接続しづらくなった場合に、自動的に3GにIPのルーティングを変更する処理)は行なっていないとのこと。この点は残念。

【本田雅一緊急寄稿】ソフトバンクハイエンド端末詳説&4G対応iPhoneに向けた同社の戦略
↑104SHは完全なモックアップ。下部のボタン配列は、まだファイナルではないとのこと。グローバルでも通用しそうなハイエンドモデルだ。
【本田雅一緊急寄稿】ソフトバンクハイエンド端末詳説&4G対応iPhoneに向けた同社の戦略
↑薄型・軽量で心配されたバッテリーだが、1520mAhを確保。テザリングが搭載されていないことを考えれば悪くない値。はたして第2世代OMAP4との組み合わせで、どのぐらいの駆動時間となるか?

 しかし、発売までにはジックリ時間があります。中身に手を出せないiPhoneとは異なり、Androidは自分たちでチューニングできますから。ライブドアの公衆WiFiやFONの一部まで取り込んで、一気に10万局に急増させたWiFi基地局が、かえって邪魔、なんてことにならないよう対策を打ってくれることでしょう。

 といった感じで、ハンズオンなしのためミッションコンプリート! とはいきませんでしたが、可能な限りの情報を集めてみました。

 ところで最後に雑感。今回の発表会、いまひとつ歯切れが悪いように思えて、iPhoneのau版発売を危惧しているのでは? なんて声が聞かれましたが、私はまったくそうは思いません。なぜなら、今回の発表で次世代に向けたソフトバンクの戦略が明確に見えてきたからです。

 HSPA+を用いたULTRA PHONEを4機種同時発表。女性向けのHONEY BEEも含めて1.5GHz帯のHSPA+にトラフィックを逃がす戦略です。同じくHSPA+採用では? と言われている次期iPhoneですが、2GHz帯と800MHz帯しかサポートしていないため、ソフトバンクのULTRA SPEEDには対応しません。引き続き、都心で接続しにくい2GHz帯のソフトバンク3G網は混雑を極めるでしょうが、スマートフォン増加によるさらなる混雑を、今回の新機種である程度、かわすことができるでしょう。

 そうやってデータトラフィックを多く出すユーザー(iPhoneを除く)を2GHzの外に追い出すことで、2GHz帯ユーザーの満足度も多少上げられるかもしれません。

 そしてAXGP。これこそが今回の目玉でしょう。スピードのスペックだけに目を奪われてはなりません。これは本当にソフトバンクにとっての起死回生の一手になる可能性があるんですから。

 孫さんが少し口を滑らしそうになりましたが、AXGPは、そのままTD-LTEと同じものです。XGPは国産通信技術のPHSを高度化するにあたって、2.5GHzに割り当てられた帯域ですが、ソフトバンクはウィルコムを傘下におさめることで、XGPの次世代規格、Advanced XGPにTD-LTEを使うことにしたわけです。

 私はこの分野の専門家ではありませんが、2.5GHz帯はXGP向けに出された免許ですが、TD-LTEはXGPと元々の仕様が近く、XGPの次世代規格をTD-LTEと共通の技術で構成したとのことでした。TD-LTEは中国やインドといった人口の多い地域の大手携帯電話事業者が採用を決定しており、基地局の調達コストが安いのも大きな利点ですしね。

 つまり、簡単に言えばTD-LTEに対応した端末は、ソフトバンクのAXGP網を使うことも可能ということです。国産高度化PHSではなく、TD-LTEであるメリットはなにかというと、ズバリ中国向けに販売される端末をそのまま日本にも導入できること。中国でTD-LTEを展開するチャイナモバイルの契約者は、およそ5億8000万人と言われています。日本の人口の5倍近い契約者を持つ企業が、TD-LTE版のiPhoneを発売すると話していますから、さてどうなるでしょう?

 iPhoneの4G対応は来年6月と言われています。ワールドワイドではLTE対応の端末が発売されるでしょうが、日本、中国、インドではTD-LTE版が発売されるのではないでしょうか? もちろん、AXGPエリア外では2GHz帯の3Gエリアに落ちるわけですが、1.5GHz帯にトラフィックを逃がした上で、さらにAXGPを都市部の人が集まる場所に集中的に配置していけば、あるいはソフトバンクの「遅い」、「繋がらない」は大幅に改善されるかもしれません。

 au版iPhoneの報に対して、ソフトバンクが比較的冷静に対処しているように見えるのも、あながちブラフではないのかもしれないですね。

関連記事

あわせて読みたい

follow us in feedly

最新のニュース

もう読んだ!? 週アス冬の増刊号 秘密情報局

アスキーストア人気ランキング

特集

Comic

アクセスランキング

Like Ranking

BEST BUY

みんなが買っている最新アイテムはこれだ!

Amazon.co.jp