2011年08月30日22時59分

30時間ぶっ続けで“つながる”ゲームをつくる! 『福島GameJam in 南相馬』を開催【後編】

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100人以上のクリエイターが28本のゲームを制作!
福島Game Jam02

 8月27日(土)、28日(日)の2日間のうち30時間でゲームを開発して、被災地を元気にするプロジェクト『福島GameJam in 南相馬』。概要と1日目の様子は前編でお伝えしたとおり。引き続き、後編では2日目の様子とゲーム開発結果をお届けする。

そのときシバタ所属の南相馬チーム1は……

 筆者・シバタが所属する南相馬“チーム1”は、HTML5ベースのミニゲームを多くつくってそれらをつなげていく、という作戦をとった。これは前回も説明したとおり、30時間という時間制限のなか、ひとつの大作に取り組んで失敗することを避けるためだ。さらに、事前に提示された“Achievement”に「5分以内で遊べる」、「操作にキーボード、マウス、ゲームパッド以外を用いる」という項目が盛り込まれているため、スマホで遊べるミニゲームをつくるほうが“Achievement”を満たせると判断したためだ。

 ちなみに筆者の場合は、開発言語にユビキタスエンターテインメントがリリースしている、『enchant.js』と『アトラスX』を使った。戦略が功を奏して、23時のアルファ版リリースの段階で、チームメイトの南治さんは『とうほく★こねくしょん!』、シバタは『萌えよ★とうほく』を、ほぼ動作する段階まで開発できた。

 笠原さんの『方言でポン!』は、ほぼ骨格まではでき上がり、『アトラスX』の実装を進めている段階だった。次の発表は翌日午前8時のベータ版アップ。成果を見せるためには、寝ることはできないスケジュールだ。ベータ版発表に向けてプログラムのブラッシュアップを開始する。

 午前1時ごろに南治さんは『とうほく★こねくしょん!』の開発をほぼ終了。シバタは『萌えよ★とうほく』のゲーム終了時のご褒美画像の実装に手間取っていたが、この時点から本稿【前編】の記事執筆にとりかかった(危うく本職を忘れそうだった)。笠原さんは引き続き『アトラスX』と格闘。

 橋本さん、篠宮さんは3人のプログラマーから随時画像の発注を受けていたため、交代で1~2時間程度の仮眠を取るも、ほぼ徹夜状態。すでにこのとき、疲れはピークにきており、みんな疲労の色を隠せなくなってきていた。

チーム1の開発風景
福島Game Jam02
↑たまにイラストの発注相談をしたり、お互いに質問する以外は黙々と作業に没頭していた。

 疲れた頭で悩んだのが、“Achievement”の「福島の子供たちが作成した画像素材(ドット絵)を作品に取り入れる」という内容が、現時点では満たされてなかった点。また、メインテーマである“つながり”という要素もいまいち薄いと思われた。そのため、ベータ版までにあともう何本か制作しようということになった。このGamJamの2大テーマともいえる“子供たちの絵”と“つながり”、この点を考慮したゲームでなければ、完成とは言い難い。

 そして、8時のベータ版アップとその後のプレイアブルデモ、結果発表までに南治さんはスロットゲームの『とうほく★すろっと!』と子供たちの絵を使った『みなみそうま☆すろっと』、萌え絵の効果を最大限に活用した『まる★つなげ』と、実に3本のゲームを制作した。

 筆者も残り3時間でツイッター連携のゲーム『フォロワー東北旅行!』(http://9leap.net/games/653)を完成。笠原さんは『方言でポン!』もついに開発を終え、チームで合計7本のゲームが出そろった。

 7本をお互いに連携させるために、篠宮さんにポータルサイトを作成してもらい、7本のゲームを集約して我々の作業は終了した。


 実際に机を並べてゲームをつくっていると、とても即席とは思えないほどの一体感が出て不思議な気分だった。この福島GameJamで初めて会ったメンバーだったが、それでもチームが一体となって効率よく開発に取り組むことができた。これは筆者にとっても代えがたい貴重な体験となった。
 

南相馬市の子供たちが出来立てゲームをプレー
福島Game Jam02

 10時のプレイアブルタイムには、開発したばかりのゲームの試遊台が設置され、南相馬市の子供たちがやってきた。チーム4の『プッカリパリンパ』やチーム7の『AMIDA』などは子供に大人気。会場が歓声に包まれた。この光景を見て初めて参加者たちは「南相馬市を元気にできた!」と実感できたのではないだろうか。

南相馬チームが開発したゲーム
(ゲームはこちらから遊べます)

【チーム1】

『とうほく★こねくしょん!』 『萌えよ★とうほく』 『方言でポン!』
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↑東北6県の県名を指でつないで“つながる”を文字で表わしたゲームだ。 ↑制限時間30秒で色の同じ県に萌えキャラを移動させ、東北に“萌えパワー”を注入するゲーム。東北を元気にするがテーマだ。 ↑東北で使われている方言のアドベンチャークイズゲーム。
『とうほく★すろっと!』 『みなみそうま☆すろっと』
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↑萌えキャラを3つそろえるスロットゲーム。 ↑とうほく★すろっと!の萌えキャラを子供たちの絵にしたバージョン。
『まる★つなげ』 『フォロワー東北旅行!』
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↑キャラの動いている場所に穴を空けながら絵を見るゲーム。萌え絵を最大限に活用した作品。 ↑ツイッター連携ゲーム。自分のフォロアーと旅行に行くという想定で、お勧めの観光地を表示する。なお、観光地の表示は自分と相手のフォロアー数を足した数に乱数を足したものを条件にしている。

【チーム2】

『FOLK CRAFTS』 チームメンバー
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↑民芸品を2人で同時プレーで操作するゲーム。それぞれのキャラがつながっており、動きをうまく合わせないと先に進めない。Xbox360などのコントローラーが接続されていると最大6人で遊ぶことができる。

【チーム3】

『MOCHI MOCHI corocoro』 チームメンバー
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↑プレーヤーが操るゆるキャラ“MOCHI MOCHI”で、ほかの泣いている“MOCHI MOCHI”を元気づけて出口まで誘導する。怒っている“MOCHI MOCHI”に触るとが元気づけた“MOCHI MOCHI”が再び泣いて分離していまう。

【チーム4】

『プッカリパリンパ』 チームメンバー
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↑画面内に出てくる宝石を4人のプレーヤーで取り合ってスコアーを競うゲーム。

【チーム5】

『だるまのわ』 チームメンバー
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↑だるまを操作して、ほかのだるまを取り込んでいき、だるまの輪をつくるゲーム。ステージは古代から現代、そして宇宙へ壮大に展開していく。

【チーム6】

『アングリー・アングラー』 チームメンバー
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↑南相馬の勇士あんこう君が電柱を飛び移りながら、家まで電線をつなぎ、寸断されてしまった電力網を回復するゲーム。マップ内にある子供たちの絵の破片を回収して絵を完成させるのも目的のひとつ。

【チーム7】

『AMIDA』 チームメンバー
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↑妖精“アミダのぼるちゃん”がアミダの上を移動し、東北を縦断するゲーム。プレーヤーはアミダの横棒を追加して進路をうまく操作そなければならない。アミダの上から流れてくる障害物をうまく避けて、名産品をゲットしながら、子供たちの絵を集めていく。

【チーム8】

『Join To Soma Soul』 チームメンバー
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↑南相馬市のお祭り“相馬野馬追”をテーマにしたゲーム。サイクルリングに日常の様子をつなげて、南相馬市の力をアップする。

●講評

IGDA日本代表 新清士氏
福島Game Jam02

新清士氏:今回のような道筋をたどれば、ゲームというものが社会に対して貢献できるのではないかと実感できた。今回の成果はゲームショウなどで発表して広めていくつもり。また次回も福島で開催したいと思う。

ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO 清水亮氏
福島Game Jam02

清水亮氏:南相馬市の子供が目をキラキラさせながら、お父さんの手を引っぱって、ゲームをプレーしに来てくれたのが印象的で、「やって良かった」と実感できた。被災地には後ろ向きなイメージがあるが、今回はすべての人たちが前向きに取り組めて、それは素晴らしくて凄いことだと思う。次回は自分もチームに参加したいと思った。

最後はみんなで記念撮影
福島Game Jam02
↑参加者、スタッフ、ユーストリーム配信スタッフ、南相馬市の担当者、すべてのスタッフで記念写真。どの参加者も「参加して良かった!」と語り、2日間に渡る健闘を称えあった。本当にお疲れ様でした。

●一方、東京会場(NII)では……

 続いて東京会場の様子をイッペイがレポートします! 4チーム(A~D)に分かれてゲーム制作を行なった東京会場(NII)では、9leapにゲームを投稿して成果物を発表しているので、ぜひ9leapにアクセスして遊んでみてください!!

【Aチーム】

『神輿でGo!』 チームメンバー
福島Game Jam03 福島Game Jam03

 Aチームが開発したゲーム『神輿でGo!』は、神輿をかつぐ横スクロールアクションで、障害物をジャンプで避けるゲーム。ジャンプしたり、障害物に当たるとデフォルトで鳴っている太鼓の音に、ほかの祭ばやしの楽器やネコの鳴き声などが鳴り、音ゲーのような要素も加わっている。

 うまく障害物をよけると祭ばやしがきれいにつながり、福島の子供たちが描いた絵を元にアートワーク担当の大野さんがポップに起こしたイラストや、ツイッターのフォロワーが下部にわらわら集まってお祭りを盛り上げていくのもユニークだ。スタート画面からソロプレーやネットワーク対戦を選べる選択肢をつけるなど、完成度の高さがうかがえた。

【Bチーム】

『shake!! Make!!』 チームメンバー
福島Game Jam03 福島Game Jam03

 Bチームは今の子供たちがドット絵を知らなかったところから着想を得て、ドット絵をつくるゲームにしたという。ゲームをスタートするとドット絵の元となるピクセルがシェイカーに入り、それをひたすら振る。振った後はパワーゲージを赤線付近で止め(近いほどスコアーが高くなる)、終わると子供たちの絵を元にしたドット絵が表示される。このときにスコアーも出るのだが、スコアー表示の後、すぐに次のシェイカーが用意され、またゲームが強制的に始まる。

 実はこの仕様がBチームの狙い。何回もひとりで振っていると疲れるので、まわりの友達に「おまえもやってみろよ」とiPhoneを渡してみんなでスコアーを競ってもらうようなつくりにしたという。ゲームを通してどんな効果が生まれるかまで考え抜いたところが好評だった。

【Cチーム】

『postman』 チームメンバー
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 郵便配達ゲーム。郵便局をスタートして横スクロールアクションで子供たちの絵を入れた手紙を配達していくゲーム。配達を終えると花の種をもらえ、スタート位置の郵便局のまわりに花を植えてドレスアップしていけるという、箱庭要素も実装した。バグが多く、自動でブラーがかかったり、当たり判定が微妙になったりと、苦戦していたようだ。

 ちなみにゲームとは関係ないが、プログラマーの神田さんは非常に明るいキャラでほかのチームの人も和ませ、現場の雰囲気を明るくするムードメーカーになっていた。初対面の人どうしで30時間ぶっ通しで開発する、こういった現場では貴重な存在だったように思う。

【Dチーム】

『東北めぐり』 チームメンバー
福島Game Jam03 福島Game Jam03

 操作キャラ(ヘビ)とエリアにランダムに現われるマス(子供たちが描いた絵)をつなげてどんどん長くなっていくスネークゲーム。壁や画面の端、長くなった操作キャラのシッポ(?)に当たるとアウトになる。一定数以上のマスをつなげると東北の名産品が出現し、それを取ると外壁が1マスだけ空いて、ほかのステージ(県)に移動できる。

 宮城出身の僕としては、東北各地の名産を集めて次の県に行くという発想にグッときた。キャラは自動前進なので、うまく壁を避けながら方向転換するタイミングをつかむのにコツがいるが、1回遊べばすぐ上達する。ステージごとに壁の配置が変わり、飽きさせない工夫をしている点もうまい。

30時間の開発を終えたNII会場のメンバー
福島Game Jam03

 ゲームの最終プレゼンを終え、みんなホッとひと安心。満面の笑みはなんだか感動的ですらあった。30時間という過酷なスケジュールだったが、見事走り抜いた彼らの顔はそれほどまでに清々しかった。

NII会場メンバー記念撮影
福島Game Jam03

 NIIの長久勝氏や長久株式会社ムームーの森川幸人氏など、運営をサポートした方々も交えて記念撮影。左端のイケメン外国人の方はビデオ担当で、会場の様子をYouTubeにアップしているので興味がある方はぜひご覧ください!


●『東北ITコンセプト 福島GameJam in 南相馬』
http://fgj11.ecloud.nii.ac.jp/

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