高級携帯であるVERTU、その紹介や入手までの経緯は前回書いたとおりです。
後編の今回はVERTU端末の魅力を伝えるべく、レビューをお届けしましょう。
VERTUでは珍しい折り畳み型のAyxta |
VERTUには複数のモデルがあります。製品のラインは上位から、
- Signature
- Ascent
- Constellation
の3つ。でも各ラインの位置づけは機能ではなく、素材や仕上げの差になっています。たとえばフェラーリとのコラボレーションやカラフルなネオンカラーのゴム素材を取り入れた“遊び心”のあるモデルはAscentだけ。軽量・ライトな仕上がりで価格も50万円以下からと(富裕層の方々には)買いやすいモデルがConstellation、のように分かれているのです。そしてこのConstellationはさらに、
- Constellation Quest
- Constellation Axyta
の2つのサブラインがあります。QuestはSymbian OSを搭載している唯一のスマートフォン(2011年7月現在)で、日本では未発売でしたが海外モデルを日本語化して利用している人もいるとか。またAxyta(アクスタ)はVERTU初の折り畳みモデルで、アジア市場を狙った製品とも言われています。
正面から見るAxyta |
今回入手したのは、このConstellationシリーズのAxyta。Axytaに限らず、各ラインのモデルは本体素材とその表面仕上げ、皮やキーパッドの種類、さらにダイヤモンドの有無や数などで多数のバリエーションがあります。今回紹介するのはAyxtaのBlack Ceramicモデルです。
パッケージを守るためのパッキング |
さっそくパッケージから見てみましょう。まず店舗で購入する際はパッケージが梱包材に包まれた状態で保管されているようです。もちろんこれは販売時には取り外されます。
その梱包材を開くとようやく紙のパッケージが出てきますが、VERTU、とだけ印刷された光沢感のあるその姿はこの中に携帯電話が入っているようには思えない美しさがあります。
スリーブを抜いた箱もかっこいい |
そしてその中には革のBOX |
スリーブを抜くと、今度はVERTUと型押しされたパッケージ本体が現われます。こちらは高級な靴の箱のよう?(筆者はそういったものは買ったことないのでわかりませんけど)。これを開けると中には革の箱が2つ収められています。
高級腕時計のような革の箱をオープン |
革の箱はまるで高級腕時計の箱のように、片側のヒンジを軸に開くようになっています。この時点ですでに革の匂いがかなり漂っているのですが、箱にもかなりお金がかかっている感じです。これだけでも「いい買物をした」と思えるあたりはさすが本物です。
もうひとつの革箱にはアクセサリー |
そして横開きとなるもうひとつの革箱にはACアダプター、USBケーブル、クリーニングクロスなどが入っています。なおAyxtaはマイクロUSB端子なので、市販の一般的なケーブルを使うことができます。筆者ももったいないので付属のケーブルは使いません(笑)。
背面の独特なデザイン |
電池の開け閉めは爪を引き上げます |
さてSIMカードを入れるためにも電池カバーをはずしましょう。Ayxtaの背面はちょっと独特な形状をしていますね。カメラやフラッシュなど3つ並んだ“窓”はレトロな機器を思わせるよう。
そして真ん中は電池カバーをはずすための“爪”で、これを引き上げて回すことで背面カバーがはずれるのです。
電池の下にはSIMカードとマイクロSDカードを入れるスロットがありますが、前回お見せしたように内部にはステッカーは貼られておらず、IMEI番号などは刻印による表示になっているあたりはさすがハンドクラフト品ならでは。
本革張り+ツヤ消しのボディー |
改めてAyxta本体を見てみると、金属の質感が十分出ているボディーに革張りとなかなかほかの携帯電話にはない雰囲気を出しています。しかも持ってみるととにかく重い!
折り畳んだサイズは100×48×18ミリとコンパクトなのですが、重量は約175グラムもあるのです。
でもズシリと感じた次の瞬間、手のひらに触れる本革と金属の質感がたまらなくいい感じなんですよ。
側面のスライドボタンで本体を開きます |
キーパッドはセラミック仕上げ |
折り畳みの本体は右側面にあるスライドボタンを動かすことで開きます。このボタンは通話中は音量上下ボタンとしても働きます。開いてみると、画面の上のセラミックパーツに“V”の文字がくっきりと掘り込まれています。ダイヤのピアスをしていても傷がつかないように、ということでこの部分はセラミックだそうですが、いやはやそんなこと考えて製品を作っているんですねぇ。
またキーパッドの周りは掘り込みとボルトの植え込みがあり、機械工芸品らしい印象。キーパッドはバックライトでうしろから文字や数字が透けて照らされます。
なお10キーの下の独立した3つのキーは、左からカメラ、電源、コンシェルジェ呼び出しとなります。残念ながら日本ではVERTUのサービスも終了するため、このコンシェルジェボタンは日本のモデルでは使えなくなってしまいます(海外販売のVERTUは海外のコンシェルジェサービスを利用可能)。
オーソドックスな待ち受けとメニュー画面 |
機能はベーシック、半角もキレイなフォント |
ではAyxtaの電源を入れてみます。VERTUのロゴが浮かび上がったあとは、携帯電話としては一般的な待ち受け画面が表示されます。内部OSはJava(Nokia Series40)、メニューはシンプルに3×4個のアイコンが並びます。
なおもちろんカラー液晶ですが、アイコンはモノクロをベースとした色彩となっており落ち着きがあります。サブメニューに入ってもアイコンのカラーは控えめになっています。
Ayxtaはスマートフォンではありませんし、多機能携帯電話でもありません。そのため搭載している機能もごく普通のものになっています。またフォントはモリサワ系を利用していると聞いたことがあるのですが、半角カナも形状が崩れない美しい書体になっています。
ブラウザーではページ全体を縮小表示可能 |
ブラウザーも搭載していますが、画面サイズは2.4インチ/240×400ピクセルなので常用するには厳しいところ。VERTUは通話やメッセージ端末として割り切って使い、情報が必要ならばスマートフォンを併用するのが当然の使い方になるでしょう。
もっとも富裕層の方々ならば、なにかあれば自分のコンシェルジェなりになんでも頼めるでしょうから、VERTUだけあればなんでもできるのでしょうけどね。
通話の品質はさすがVERTU |
さて100万円という価格帯が当たり前のVERTU。やはりこれは一般の消費者が買うものではありえないでしょう。「モノとしてしっかりしていて、なおかつ携帯電話としての性能に優れている」、これがVERTUの最大の価値かもしれません。
実際、雑踏の中でもクリアーに通話できる通話品質は驚愕ものです。
「ほかに大したことはできないのでは?」
はい、そうです。でもこの質感と品質にお金をかけたい、と思える層が世の中にいるからこそ、VERTUは世界で好調なビジネスを実際に続けていられるのでしょう。
とはいえ、時代はやはりフルタッチスマートフォンが主流です。VERTUのような高級品が欲しい層の方々も、やはりタッチパネルを使いたいと考えているでしょう。
VERTUはベースにNokiaのOSを使っていますから、いずれNokiaのWindows Phone登場に合わせてVERTUからもスマートフォンが出てくるかもしれません。そうなれば日本語の利用やWebサービスも思う存分にできるようになるでしょう。
いったいお値段がいくらになるかわかりませんが、筆者としては将来の夢としていつか買いたいと思っています。
山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局
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