週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

心のiPhone5を求め…… “あのBar”へ拾いに行ってきた!

2011年06月08日 12時24分更新

  よろしい、もう認めるほかない。iPhone5はまだ手に入らない。製品発表は、やはりなかったのだ。もちろんキミもボクも、誰だって予想はしていた。けれど、キーノートスピーチで実際に発表されなかったという事実は、やはり耐え難く寂しい。昨日までの不安と焦燥は、この狂おしい落胆に比べれば、膝小僧の擦り傷程度のものだ。

 しかしである。何事も考え方次第ではないか。地球上にiPhone5が存在しないのは、宇宙に存在するすべての生命体にとっての不幸に違いないが、事実はそうではない。
 クパチーノのインフィニティループ(注:アップル本社所在地)には、LEDランプで下品にベゼルが光る中華コピーなど太刀打ちできないような、謎の流体金属や、いざというときに巨大ロボに変形する大小様々なiPhone5の試験開発が進んでいるはずだ。もちろん、その合間には、たぶんこんなiPadなんかも密かに研究開発されているに違いないのだ。

 しかし唯一にして最大の問題は、私自身の存在にある。世界有数と推測される厳重なセキュリティーをかいくぐって、実機を拝むなどということは、この職業(Press)である以上絶対にかなわないであろう。嗚呼、嘆かわしい。なんと儚い人生なのだ。

——などと、基調講演の緊張感が途切れた頭でそんなことを考えならサンフランシスコ市内を歩いていた。
 ユニオンスクウェアを横切りながら、夕暮れに向かって傾き始めたカリフォルニアの太陽を見上げたとき、ふと僕の頭に過ぎるものがあった。そう、“あのBar”なら、僕たちの心のiPhone5があるに違いない、と。(一部脚色含む)
……ということで、行ってきた。

●思わず電話を忘れてしまう魔力!? “あのBar”の全貌

  “あのBar”とは、WWDC2010の直前、iPhone4の開発実機をアップル社員が置き忘れてきてしまったバーのこと。その名は『Gourmet Haus Staudt』。サンフランシスコ郊外、シリコンバレー周辺地域にある、静かなベッドタウンRedwood Cityに位置する。
 


大きな地図で見る

 サンフランシスコ市内からの距離は30マイルほど。空いていればレンタカーでR101(地元の人はワン・オー・ワンと呼ぶ)をひた走って30分もあれば移動できるし、駅近くの立地のため市内からカルトレイン(電車)に乗ってもこれる。

アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』
アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』

  周囲はアメリカのちょっと落ち着いた下町といった感じで、なかなか暮らしやすそう。街の雰囲気も良い。もったいぶってもしょうがないのでお店の外観はこれ。

アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』

 おおー! ここかー、夢にまで見たあのBarは、と同行者と盛り上がったものの、入り口を見ると……。ク、クローズ……!?

アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』

 というのは早とちりで、土産物屋兼ビアガーデンのこの店は、どうやら夕方には土産物屋を閉じてしまうらしい。よ〜く見ると、ビアガーデンは裏にまわれ、とある。

 そしてテクテクと歩いて裏に。なんだこの観光客が入りにくそうなアットホームな雰囲気は。でもなんだかすんごい盛り上がっている。

アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』
アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』

  店内は白壁を基調にした落ち着いた下町っぽいつくり。さほど広い店内ではないものの、カウンターのほかにテーブル席もあり、店の表(というか裏)にはオープンエアの席もある。地元の人気店のようで、立ち飲み、しっかり食事の人、家族連れまで含めてひっきりなしに来客が訪れていた。

 事前に調べてきた情報によると、iPhone4の忘れ物をネタにした張り紙があるとのこと。“忘れ物注意! ノーパソや帽子や傘やジャケット、iPhoneプロトタイプとかね”というようなことが書いてあるそうで、どうしてもそれを撮りたかったのだが、見当たらない。

 食事を頼んで店内を隅々までチェックし、カウンターからトイレの待合い室、トイレの内部までチェックしたものの、それらしき張り紙はない。困った。

 食事をしながらスマホで色々と調べて見ると、カウンター脇の柱に張り紙が貼ってある写真を発見。ココか! と見に行ってみたが、その部分にも何もなかった。どうやら、iPhone4をネタにした張り紙はもうやめてしまったようだ。

アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』
アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』
アップル社員がiPhone4を忘れたバー『Gourmet Haus Staudt』

 ここまで読んで下さった皆さん、ありがとう。床や椅子やカウンターもくまなく見てみたが、どうやら今日についてはiPhone5は落ちていなかったようだ。
 ただ、わざわざ足を運んでみて思ったのは、とても賑わっていてアットホームで気分の良いバーゆえに、「おもわずiPhone4プロトを落としちゃっ」てもしょうがないかなという雰囲気は、確かにある。こんな店で、仕事仲間と盛り上がっちゃねぇ……。アップル社員も人の子ですし。

 さらにひと言申し添えるとすれば、食事はおいしかったし、気立てのいいウェイトレスのお姉さんもなかなかの美人さんでありました。
 ガジェット好きの人がレッドウッドシティにお越しの際はぜひこちらで食事をどうぞ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう