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3月5日運行開始!新幹線『E5系はやぶさ』の秘密とオイシイ乗り方教えます

■静かな走りの秘密
 試乗会では、大宮~仙台駅間で行なわれた。宇都宮駅を過ぎると営業運転と同じく時速300キロを突破。25キロ違うだけだが、従来の275キロ運転より風景の流れ方が速く感じた。

新幹線はやぶさ
↑iPhone用のGPSトラッキングソフト『MotionX-GPS』で測定したら、なんと最高速度は314.2キロを記録していた。列車は制限速度を超えることができないため、314キロという記録自体はオーバー気味の誤差だ。しかし、300キロオーバーで走行したのは間違いない。

 ちなみに、平成14年度末からは320キロにスピードアップが予定されており、営業速度では世界でもトップレベルの高速列車となる予定だ。

※2011年3月5日の時点では、東京~新青森駅間が2往復、東京~仙台駅間が1往復が運行となる。便数が少ない印象だ。しかし、JR東日本の担当者によると需要をみながら増便を検討するとのこと。

 余談だが、『はやぶさ』の名称を一般公募したときに、車体のカラーリングがあまりにも某ボーカロイドに似ていたため、『はつね』に応募しようというネットの活動があったようだ。ちなみに『はつね』の投票結果は2位だったとのこと。

JR東日本のプレスリリース(PDFファイル)
http://www.jreast.co.jp/press/2010/20100504.pdf

 車内は300キロで運転しているとは思えないぐらい静かで揺れも柔らかい。これは台車が完全にカバーで覆われ、車輌との間に車体の揺れを感知して動的に揺れを低減する”フルアクティブサスペンション”が装備されている効果が大きい。

 

新幹線はやぶさ
↑騒音の発生しやすい台車部分は完全にカバーで覆われている。また、車輌と車輌の間はダンパーで繋がれて揺れを抑えている。

 また、トンネルに入ったときの独特な轟音や揺れも殆ど感じられず、普通に話しても十分会話できるぐらいで、とても心地よい乗り心地だった。E5系は新幹線の車輌のなかでも特に前頭部が長いが、この形状がトンネル走行時の騒音や振動を抑える形なのだ。これはトンネルが多い東北新幹線ならではの工夫と言えるだろう。他にも遮蔽板つきのシングルアームパンタグラフなど様々な部分で低騒音の工夫がされている。

新幹線はやぶさ
↑先頭部の形状はなんと15メートルにもおよぶ。なお、青森寄りの先頭部には、秋田新幹線や山形新幹線の車輌と連結するための連結機がある。
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↑両サイドに遮蔽板を取り付け、騒音を低減したパンタグラフ。

■気になる車内設備

 既に本誌ではお伝えしたが、E5系には、新幹線では初のファーストクラス『グランクラス』が18席ある。これは青森寄りの10号車だ。また、従来からあるグリーン車が9号車、8号車~1号車は普通車となっている。
 東京~新青森駅間の乗車券と特急券を含むトータル運賃は、グランクラスで2万6360円、グリーン車で2万1360円、普通車で1万6870円だ。従来のはやて号のグリーン車が2万860円、普通車1万6370円と比べると+500円分が”はやぶさ運賃”だ。
 

 ただ、残念なのが、東海道新幹線ではUQ WiFiが使えるが、E5系にはインターネットが使えるサービスが用意されていないことだ。確かに東北新幹線はトンネルが多くて回線を安定して維持するのが難しいという側面がある。実際にイー・モバイルのWiFiルーターを持って筆者が乗車したが、郡山辺りまでは比較的トンネルも少なく安定して使えたが、それより北ではトンネルが多くなり、回線が頻繁に切断されてしまった。
 PCがクラウドサービスを多用するようになってきて、ネット回線は必須と言える現状では何らかの解決策を提示して欲しいところだ。
 

 グランクラスは、青森側の進行方向右側(海側)が1列シート、左側(山側)が2列シートだ。シートは革張りの電動リクライニングチェアになっており、読書灯やコンセントなどの設備も充実している。テーブルも膝上にくる広いタイプで食事をするにもPCを使うにも十分な広さだ。また、シートの背面にはバックパネルがあるので、後ろの人を気にせず最大限に倒せるのもうれしいところ。
 さらに、グランクラスには食事とドリンクのサービスが付いているのも特長だ。これも飛行機を意識したものだろう。食事は東北地方ゆかりの食材を使用するとのこと。ドリンクは10種類以上のソフトドリンクと、ビール、日本酒、ワインなどが選べる。

ほかにもブランケットやスリッパ、アイマスクなどのサービスもある。

新幹線はやぶさ
↑革張りのシートは身体を包み込むような快適な座り心地だった。シートの右側にはフレキシブルな読書灯がある。
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↑リクライニングを倒すと足の部分がもち上がり、リラックスできる。リクライニングの操作は膝掛けの左側のボタンで行なう。テーブルは15インチクラスのノートPCを置くのにも十分な広さだ。
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↑右側の肘掛けの側面にはコンセントがある。1席につきひとつ装備。PCの電源はもちろん、携帯の充電もできる。
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↑グランクラス専任のアテンダントが乗車しており、18席しかないグランクラスだけを担当してくれるため、「車内販売が巡ってくるまで待たされる」ということがない。なお、アテンダントは現職のアテンダントから特に選ばれたスタッフとのこと。この制服もグランクラス乗務員だけが着用するものらしい。(写真の女性はモデルさんです。実際のアテンダントではありません。残念。)

『はやぶさ』の場合、グリーン車は飛行機で言えば、ビジネスクラスといったところだろうか。座席は左右共に2列の配列だ。確かにグランクラスには及ばないが、十分に快適なシートだった。特にグランクラスと同じで1席につき、ひとつコンセントが用意されているのがうれしい。背もたれの角度は手動で変えられるが、足の部分はグランクラスと同じで電動でもち上がるため、楽な姿勢が取れる。

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↑シートは電動で足の部分がもち上がる。背もたれは手動で倒す。ヘッドレストは上下にスライドするので、好みに合わせ調整できる。
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↑中間部分の肘掛けにコンセントがある。1席につき1個の割り当てなのがうれしい。
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↑シートのテーブルは15インチワイドの『MacBook Pro』を乗せても十分な広さだ。

 普通車は従来の新幹線と同じ伝統的な3列+2列の座席配列だ。ただシートには上限に調整可能なヘッドレストがあるため、従来のフラットな座席タイプよりも快適。ただ、PCや携帯の充電にコンセントを使いたい場合には要注意。東海道新幹線のN700系と同じく普通車のコンセントは窓際の1席と車輌の端の席にしか装備されていない。

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↑普通車のコンセントは窓下と車輌の端の壁側にしかない。

 お手洗いは1号車、3号車、5号車、7号車、9号車にあり、車いす対応の大型トイレは5号車だ。

■オイシイ”勝ち席”はココだ!

 さて、3月5日以降に『はやぶさ』に乗るとして、どこに座れば快適だろうか?
特定の座席を取る場合には、JRの『みどりの窓口』のオペレーターにオーダーしたり、JR東日本の指定券券売機、JR東日本のウェブサイト『えきねっと』で座席の個別指定ができるぞ。

ポイント1  1号車プチグランクラス?
 青森側の先頭は10号車はグランクラスだが、東京よりの先頭1号車は普通車だ。この車輌には座席が29席しかないため、こぢんまりしており、プチグランクラスの気分を味わうことができる。

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↑先頭の1号車内。あくまで気分。

ポイント2  普通車でPCを使うなら窓側か壁際で
 上でも書いたが、PCを使うならコンセントが装備された窓際の席か、車輌の壁際の部分がオススメだ。ただし、壁際は進行方向前側の端でないと、コンセントがアクセスできないため、後ろの壁際を間違って取らないようにして欲しい。

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↑テーブル横にあるのがコンセント。

ポイント3  グリーン車にもプチグランクラス?
 グリーン車の14番D席は車イスに対応するため、1列しかない"ひとり席"だ。隣に人が居るのが気になって落ち着けない人にはオススメ。

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↑隣が車いすのスペース。
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