2011年02月18日21時00分

日本のぬるま湯に村上隆が喝! - 雪ミクイベントで語られた“創造の未来”(後編)

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 前編中編に続く、3つ目のテーマはトークショーのタイトルにもなっている“創造の未来”だ。ここでは全員(村上氏、伊藤氏、佐々木氏、三原氏、片桐氏)が登壇した。

 このパートでは、コンテンツ業界が世界に出て行くために、どういったアクションを取らなければならないのかといった話が飛び出した。中でも聴衆を捕らえたのは、前編の頭でも少し触れた村上氏の本気コメントだ。

雪ミクイベントで語られた“創造の未来”(後編)

 「こうしたトークショーってオーディエンスが何を求めているのかを分かって誘導している訳じゃないですか。根本的な話を避けて、みんな安心したいんだなというのが、こういうトークショーの主眼だということがよく分かりました。

 これは本当の話ですよ。僕は身もフタもないことをやるので嫌われていますが、そうしないと現状打破なんて無理です。ある意味、その安心したいマーケットがあるんだなと今日は勉強させていただきました。

 根本から洗いざらいひっくり返さなければならない。契約という話も、アメリカや中国との契約は肉弾戦な訳ですよ。書類は二次的な問題。こうした場で言っていいのか分かりませんが、某大手車メーカーの重役が問題を起こして何十億の賠償金を支払わなけれいけないという話がありましたが、ああいうのは全部策略じゃないですか。それでもやると決めて日本の車産業は世界に出て行ったし、糾弾された人間も本社に帰ってきたら拍手で迎えられた。それぐらい肉弾戦で行かなきゃ行けないことだと思うんです、ビジネスは。そうじゃなくて、みんな気持ちよくやりましょうよってのがクリエイティブ産業の実態なんだなと勉強になりました。

 僕がなぜこんな発言をさせてもらっているのかというと、どこかで悔しかったら、突破口を見つけようとしている若者がこの会場やニコ動の向こうにいるかもしれない。たった一人でもいいから、覚醒してほしいんです。僕ら芸術家というのは革命家ですから、革命を起こすために生きている。ビジネスなんてやりたくなくて仕方がない。

 坂本龍馬も藩と取引して革命を起こすために亀山社中を始めた。そのビジネスと革命が一緒になっているのが我々芸術家のスキームなんです。でもある方面しか見なかったり、安心したかったり、革命を恐れたりするのが日本だと思う。そうした意味で、日本では芸術も不必要なものかと感じました。」

雪ミクイベントで語られた“創造の未来”(中編)

 村上氏が語り終えた後、会場からは歓声と拍手が上がった。トークショーは現状確認と“優しい”提案で進行していたが、この辛辣な一言が他の登壇者の心を震わせる。

 村上氏の言葉に触発された佐々木氏は、初音ミク以降の新しいコンテンツと、既存の企業がうまくかみ合ってない現状を吐露。「ちょっと危ない話かもしれませんが、大企業で決裁権を持っているのは、お年寄りの重役方々なんです。初音ミクを商品化するというときに、そうした方が『孫が初音ミクを好きだと言っているから契約書押してやれよ』と言われることも普通にある。30分でもニコ動を見て、自分の感受性と合うのかどうか照らし合わせて欲しい。そうした構造は変えていかなければいけない」と語った。

 さらに、自分たちの力不足にも「クリエイターさんにお金を還元しようとしてもかなり難しくて、誤解を生んだり、そもそも我々のやり方が悪いところがある。この会場でも物販で集まってくれる人数を100パーセント予見できなくて、嫌な思いをさせてしまった人もいる」と触れた上で、「今は「ごめんなさい」としか言えないけど、そのフラストレーションを軸にしてぬるま湯な社会とは違う、評価されるべき人が評価される構造を日本の中で作った上で、海外にそれを伝えていきたい」と決意を述べていた。

雪ミクイベントで語られた“創造の未来”(後編)

 このほか片桐氏は、「pixivでは週末クリエイターとか、普通の仕事をしながら空いた時間にクリエイター活動する人がもっと増えると思っている。pixivで作品を発表し、販売しつつ、それが生活のちょっとした糧になる人がいっぱい生まれるといいなと思っています」と、“兼業クリエイター”の未来像を思い描いていた。

 伊藤氏は、流通面での政策に触れる。「中国にハリウッドが進出したときには、まず政治的にスクリーンを押さえた。インフラを抑えてからコンテンツを供給したことで、アメリカ映画を見る流れが出てきた訳です。日本では、コンテンツ産業じゃなくて他の産業が優先されてしまう。流通は一企業ががんばって一軒一軒まわるドブ板な状況はなかなか大変なので、その部分は政治的なバックアップが必要だと思う」と語った。

雪ミクイベントで語られた“創造の未来”(後編)

 ちなみに村上氏は、登壇者のことを嫌っている訳ではない。イベントの最後に「日本人で図抜けたスケールを持ったと思ったのは片桐さん。“dosen't care”という感覚にグッときた。伊藤さんも二言三言だけで面白いと思った。『契約って面白いですよ、僕は』って言われて、この人で勉強しようって」と語って笑いを誘っていた。

 
前編、中編はこちら↓

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