2011年02月12日07時00分

iPhone People+週アスPLUS 連動企画

iPhoneゲーム開発者インタビュー 第11回 ABARS

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※このテキストは2010年10月に発売されたiPhone People誌面企画のために御回答いただいたメールインタビューの全文です。御回答の内容等は当時のものです。
※アプリの価格はAppStoreでお確かめください。
 
  
 iOS4がリリースされ、Game Centerがはじまってまだそれほど経っていないというタイミングでリリースされたアクションRPG。Game Centerを使って、簡単にマッチングすることができる。今後、iPhoneゲームのマッチングでは、Game Centerが基本となるのだろう。

 

●SELF SELECTION

メトセライズデストラクタ
メトセライズデストラクタ
App Storeはこちら→メトセライズデストラクタ
(C)2010 ABARS

 
【1】このアプリを着想されたきっかけをお聞かせください。

 メトセライズデストラクタはもともと、PC向けのブラウザゲームとして開発していまして、今回のアプリはそのiPhone移植版となります。

 PC版の一番最初のきっかけは、2005年にGoogleSudjestとGoogleMapを見て、ブラウザ上でインタラクティブなコンテンツが動くことに衝撃を受けたことです。これだけ動くのであればゲームも作れるのではないか? と思い、何か作ってみようと考えました。最初はもっとコンパクトなゲームにしようと考えていたのですが、あれよあれよという間に規模が大きくなってしまい、こんなになってしまいました。その後、2008年3月にJavaScript版リリース、2008年9月にFlash版をリリースしました。

 2010年になると、ソーシャルゲームが話題になりはじめ、アイテム課金で一攫千金を狙ってmixiアプリ版をリリースしました。しかし、mixiさんはゲームが嫌い事件というのがありまして、マイミク以外と遊べるゲーム、すなわちバーチャルグラフを使用するゲームは、おおむね“その他”カテゴリに割り当てられることになりました。“その他”カテゴリに割り当てられると、mixiアプリのトップ画面に表示されなくなり、mixiアプリの一番の魅力であった集客力のメリットが無くなってしまったので、mixiアプリで本格的にビジネスをするのは難しいだろうという結論に達しました。

 その時、平行して、iPhoneのSafari上で動くMMO RPGとして、メトセライズデストラクタをHTML5に移植していました。HTML5には、Appleによる審査がなく、迅速にバージョンアップできるという魅力があります。しかし、課金システムが使えない、音楽が使えない、という大きな欠点がありました。そんな時に、iPhone4を購入した所、iPhone4になって解像度が向上した結果、Canvasの描画速度がiPhone3GSよりも悪化してまともに遊べなくなりました。これはもうネイティブアプリ版を作るしかないかということで、移植をスタートし、今に至る感じです。

【2】このアプリを、ユーザーがどんな感じで遊ばれることをイメージされていますか?

 iPhoneではまだまだRPGが不足していると感じています。ボリュームのあるアクションRPGとしてベッドの中で、また、どこでもセーブができるようになっていますので、電車など移動の隙間時間に楽しんでいただければと思います。そうして育てたキャラクターで、友達に会った時にでも、GameCenterを通じて、友達とスキルを競ったり、マルチプレイを楽しんでいただければと考えています。

【3】同ジャンルのアプリと比較して、「ここが違う」というポイントがあればお聞かせください。

 GameCenterを通じてマルチプレイを楽しめるというのが一番のポイントだと考えています。『モンスターハンター』や『ゴッドイーター』のように、友達と一緒にダンジョンに潜る楽しさを感じていただければと思います。

【4】アプリに関する今後のアップデート予定をお聞かせください。

 現在は英語版へのローカライズを進めています。それが落ち着いた後に、ユーザの反響を見ながら、追加ダンジョンなどをリリースしていければいいなと考えています。

 

●iPhone一般に関する質問

【1】以降、一般的な質問です。まず、iPhoneアプリを作ってみようと思われたきっかけをお聞かせください。

 自分がiPhoneユーザであるというのが一番大きいです。いつも持ち歩いているので、作ったアプリをその場で紹介できるのがいいですね。また、エンジニアリング的な動機としては、HTML5で速度的な限界にぶつかったので、ネイティブアプリを作ってみようと思いました。

【2】他のプラットフォームとは違う、iPhoneアプリ開発の魅力をお聞かせください。逆に魅力ではなく、苦労される点もあれば、お聞かせください。

 課金システムが整備されており個人でも利用できることが魅力です。個人でも利用できる課金システムというのは本当に限られており、大抵の場合、多くのイニシャルコストがかかる上に、法人ユーザに限定されて提供されています。iPhoneアプリの場合は、イニシャルコストがかからず、ロイヤリティだけで使えるのが素晴らしいです。

 また、世界共通のプラットフォームであり世界に売れることも魅力です。パッケージメディアで世界に売ろうとすると、流通でどれだけのコストが発生するか考えただけで恐ろしいです。しかし、iPhoneではノーコストで世界のマーケットに商品を並べられるわけで、これは流通革命だと思います。

 開発環境も整備されており、Xcodeが素晴らしく使いやすいです。シミュレータがあり、実機をほとんど使わなくて開発できるのはよいです。家庭用ゲームや一般組み込み機器ではシミュレータは無く、メーカが自分でプラットフォーム間の差異を吸収するライブラリを書かなければ、PCで開発して最終テストだけ実機ということができません。しかし、iPhoneではそれだけの環境がデフォルトで提供されているわけで、家庭用ゲームメーカは次世代機でこの開発環境と戦うのは大変だろうなとも思います。

 苦労という面では、AppleStoreの審査時間ぐらいですね。やっぱり、二週間程度かかってしまうので、これが一週間ぐらいになると理想です。特に、この業界スピードが命なので、できるだけ時間のロスを減らしたいですね。

【3】現状のiPhone市場について感じられていることをお聞かせください。

 初期に比べて、ボリュームのあるアプリが求められるようになってきたと思います。しかし、アプリの単価は上がっていないので、ビジネスとしてやっていくとすると、「他のプラットフォームとのマルチプラットフォーム展開」「太鼓の達人やDDRのように曲やデータへの課金をする売り切りではない継続的な課金モデル」をめざすことになると思います。

 これに加えて、実はもう一つ方法論があるのではないかと考えています。それは、単価が安いことの逆説です。つまり、単価が安い分、他のプラットフォームに比べて、ユーザは新しいものに寛容ではないかと考えています。コンシューマゲームで新作を作ろうとすると、どうしても、ユーザと経営者の保守性に悩まされるわけです。しかし、iPhone市場であれば、単価と開発費が安いため、ユーザも経営者もリスクを取れるのではないかと考えています。そこで、新規IPの開発の場としてiPhoneを活用し、ヒットしたIPをコンシューマに持ってくる、というようなモデルができるのではないかと。今後はキャラクターと世界観のウエイトを上げ、新規IPを作っていくのもいいかな、っと思っています。

【4】現状のiPhoneユーザーについて、どのような層をイメージされていますか? また、それにあわせたタイトルをリリースしようとお考えですか?

 現状は、都市部の一般ユーザと、地方のアーリーアダプターを想定しています。アーリーアダプターは男性、一般ユーザは女性が多い印象を持っているため、あわせるとすると、ゲームはコアゲーマー向け、もしくは女性を意識したライトユーザ向けになると思います。

 エイバースとしては、ゲームのターゲッティングについては、当面はあまり考えず、作りたいものを作っていこうと考えています。それには、自分が好きなものじゃないと差別化していけないかなという思いがあります。ベンチャーの最大の差別化要素は情熱だと思っているためです。

【5】iPhone市場の今後は、どのようになるとお考えですか?

 iPhone単体では、次第に一般ユーザを取り込んでいき、ガラケーと拮抗する所までいくと思います。スマートフォン市場としては、コンシューマ用途としてのPCが衰退していき、iPhoneとAndroidの方が大きなシェアを持つようになると思います。

 アプリケーションプロバイダとしては、アイテム課金型など、継続的な収益源を持っている会社が、その資金を使って、収益化はできていないけれどユーザーを持っているアプリ会社を買収し、自社のアプリに誘導していくと思います。現在、mininationでDeNAがやっているようなことを、各社が追随すると思います。アプリケーションプロバイダの選別は進みますが、新規参入した場合でもユーザを獲得できた場合は、有望なイグジット先が存在するようになるため、チャンスは増していくと思いますね。

 エイバースでは、現在、メトセライズデストラクタに続く第二弾アプリを企画しています。こちらは、キャラクターと世界観を重視したものとなっており、海外ゲームには無い、つややかなアプリになる予定です。海外ゲームのマッチョなキャラがなじめないあなた(そして僕)に送る今っぽいゲームに仕上がる予定ですので、御期待いただければと思います!

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