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どこでも使える薄型マウス『Arc Touch Mouse』を徹底検証

2010年12月28日 19時38分更新

マイクロソフトから青色レーザーをトラッキングセンサーに使用した『Arc Mouse』の後継製品、『Arc Touch Mouse』(アークタッチマウス)を発表。発売は1月28日、実売予想価格は6930円。

 このマウスの特長は3点。

* 本体をアーチ型からストレートに伸ばすことで、厚さ1.3センチまで薄くでき、持ち運びしやすい。
* 青色レーザー”Blue Trackテクノロジー”により、光学式の弱点をほぼ克服。様々な場所で使える。
* スクロールができるホイールは、タッチセンサーにも関わらずまるで回転式のホイールを回しているような指先のリアクションが得られ、回転音がする。

それぞれ細かく見ていこう。

●”ペコペコ”と曲げる喜び!?モバイルと実用性を両立した本体設計

Arc Touch Mouse

ストレートの状態では使い勝手に難がある薄型モバイルマウスのように見えるが、本体をペコっと曲げることで、アーチ状の形状になり、5センチ近くジャッキアップされ、普通のマウスと全く同じ感覚で使うことができる。

本体の構造が、アルマジロの背中のように細かいジョイントパーツを90個重ねているため、このような”曲げ”ができる。しかも、金属疲労を起こす構造は一切ないため、4万回近くの”曲げ実験”にクリアーしているとのこと。(マイクロソフトの担当者談)

また、本体を曲げることが電源のON/OFFも兼ねているため、曲げれば自動的にONになり、ストレートに戻せばOFFになる。
実際に使ってみると、手を乗せてもうまく重さを分散しているためか、手の重みを預けても曲げた部分が潰れることもなく、ほほ普通の膨らんだマウスを使っているのと同じ感覚だった。

Arc Touch Mouse

曲げを広げて、ストレートにして持ち運ぶ状態。電源もこの状態でOFFになる。なお、本体は左右対称のデザインのため、左利きの人でも違和感なく使える。

このマウスの魅力は、ストレート状態の薄さにある。最も厚い部分でも1.3センチとちょっと太めのUSBメモリーぐらいの厚さだ。ほぼ完全なストレートになるため、鞄やPCを入れるケースのポケットなどに入れても膨らまずに邪魔にならない。タッチパッドが苦手な”マウス派”な人にとっては出張などのモバイル環境に持って行くには最適なマウスだ。重量は電池、レシーバーを含めても実測で91.5グラムと軽量。

厚さは1.3センチと、筆者が使っている他社製のマウスと比較するとその大きさは段違い。前モデルの『Arc Mouse』も折りたたむことはできたが、フットボールのようにやや膨らんでしまっていた。

Arc Touch Mouse

専用レシーバーは小型サイズでPCにつけたままでも出っ張りが5ミリしかなく邪魔にならない。

レシーバーは2.4GHz帯の独自通信のもの。できれば、ブルートゥースを採用してくれると、レシーバーを使わなくてもいいシーンや他のワイヤレスデバイスとレシーバーが共用できて便利なところなのだが。

Arc Touch Mouse

本体の裏面はマグネットになっており、専用レシーバーを貼り付けておくことができる。マグネットはそれなりに強力だが、レシーバーを無くしてしまいそうでちょっと不安。

マイクロソフトの担当者の話によると、“Blue Trackテクノロジー”を採用するマウスはどうしてもトラッキング部分の部品が大型になり、小型化が難しかったとのこと。しかし、本製品では採用部材を見直してトラッキング部の小型化に成功。それがここまでの薄型化を実現できるに至ったらしい。後述のリアクションがあるタッチセンサーを採用し、物理的なホイール機構が無いもの薄型化に貢献しているように思われる。

Arc Touch Mouse

先端部分には単四電池2本を内蔵しており、容積の半分は電池になっていることを考えると、トラッキング部分はかなりの小型化に成功したようだ。ちなみに、バッテリーは”一般的な用途で6ヶ月”使えるとのこと。

●膝の上やツルツルした机でも使える“Blue Trackテクノロジー”に惚れた!!

光学式マウスを出張に持って行ったら、使う相手先の机がツルツルした光沢のある机だったり、そもそもマウスを置く場所がなくて、膝に書類などを敷いて使った経験がある人も多いのではないだろうか?  それを克服したのが青色レーザーを使用したトラッキング技術“Blue Trackテクノロジー”だ。テクノロジーに関する説明は省略するが、一般的なレーザー式マウスに比べてその利用範囲は段違いに広い。実際に様々な場所で実験してみたのが以下の表だ。

Arc Touch Mouse

新幹線のテーブルなど、平たく均一な光の反射ができるところはレーザー式でも十分だ。しかし、ツルツルとした白い机や木製テーブルも表面に凹凸が多いとトラッキングが正確にできずカーソルが飛んでしまう。まともに反射できないジーンズなど布の上も同様だ。

本製品はこれらをすべてクリアーし、“Blue Trackテクノロジー”の底力を見せつけた。とはいえ反射できないガラステーブルの上はパッケージにも使用できないと記載されていたが、カーソルが全く動かないわけではないものの、思ったように動いてくれない。また、製品の説明会でとあるライターが指摘していたが、どうやらタタミの上は苦手らしい。試しにやってみたが、確かに本製品をもってしても、タタミの上では正確なトラッキングができず、カーソルがフラフラと定まらずに飛んでしまった。これはタタミの編み目の隙間にレーザーが入り込んで誤検出してしまっているようだ。布であれば、隙間は微細で深さもないため動作するが、タタミほどの溝では動作が難しいようだ。

●動いていないのに、指先には“動かしている感覚”

マイクロソフトのマウスと言えば「ホイールが好き」という人もいるだろう。筆者も最初にホイールのコロコロとした感触を使ったときには感動を覚えたものだ。とはいえ、ホイール機構は円盤状の回転するホイールとその回転を検出するセンサー類など大型部品の集合体であり、どうしてもマウス自体を大型化・重量化してしまう。しかし、タッチパネルではあのホイールのコロコロと回している感触が味わえず、使用感が物足りない。

そこで採用されたのが、“タッチストリップ”機構だ。スクロール操作できるホイール部は、タッチセンサーではあるものの、実際に触ってみるとコロコロコロという、まるでホイールを回しているかのような音と振動がある。何も動いていないのに感触だけあるのはやや不思議な感じだが指先を見なければ、ホイールを触っているような錯覚に捕らわれる。さらに、ホイールは回す加速度によってスクロールの早さも変わってくるがそれもきちんと再現。ホイールを弾いてコロコロコロコロ・・・と慣性で回転している音のリアクションまでそのままなのが驚き。なお、スクロールは垂直方向だけで、水平方向には動かないのが少し残念なところ。

Arc Touch Mouse

赤丸部分は“Page Up”、青丸部分で“Page Down”。中央部をダブルクリックすると、ユーザー割り当て可能なボタンとしても機能する。緑丸の部分はダブルクリックでユーザーが機能を割り当てられるボタンだ。

Arc Touch Mouse

ユーザーのボタン割り当ては、アプリケーション毎に変えることもできる。ネットに繋がっている環境であれば、レシーバーを繋ぐだけで、自動でドライバーからソフトのインストールまで最新のバージョンのものをダウンロードして行なってくれるのも嬉しい。

●まとめ

最近では1000円未満でマウスを購入することができるが、あえてこの6930円のマウスを買うとしたら、やはりこのストレートにできるモバイル性と“Blue Trackテクノロジー”により使う場所を選ばない汎用性だろう。この手の薄型マウスではスクロール機構が省略されることも多いがそれがリアクションつきで再現されているので使い心地にこだわる人も一考の価値あり。

PCを長時間使うユーザーにとっては、マウスは人生で最も長く触っている道具の一つである。それを考えると、マウスにこの額を投資するのはよりよいPC操作環境を目指すなら決して高い金額ではないと思う。

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