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韓国のモバイル環境ってどうなの?

2010年12月15日 12時00分更新

 韓国は日本の各地方都市からも直行便が飛んでいるなど、日本からもっとも渡航しやすい外国と言えるでしょう。前回はその韓国の首都、ソウルでSamsung Galaxy S/Tabのアクセサリを買う方法をお届けしました(『Galaxy S/Tabのアクセサリーを本場韓国でゲット』)。では、その韓国でのモバイル環境って、どうなっているんでしょう? 例えば韓国版Galaxy Sをその場で購入できちゃったりするんでしょうか?

スマホがずらりと並ぶ韓国のキャリアショップ店頭(SKT)
韓国のモバイル環境ってどうなの?

 韓国の携帯電話の通信方式は、シェア1位キャリアのSK Telecom(SKT)と2位のKTがW-CDMA方式を主力サービスとしています。ちなみに3位のLG Telecom(LGT)はCDMA2000。そのため韓国で売っている携帯電話やスマートフォンの大半はW-CDMA対応で、物理的には日本でも使えるんです。

ハングル表記なXperia X10 miniの韓国版。残念ながらSIMロックあり
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 ところが韓国の携帯電話にはSIMロックがあります。また、携帯電話の販売方式も日本のようにキャリア売りが基本なので、端末の単体購入は困難。さらに、プリペイドSIMカードも販売されていません。このためモバイル環境の状況は日本にかなり近く、あまり自由な雰囲気ではないのが実情なのです。

IS06 Seriusαのベースモデル、SKY Vegaも売っているぞ
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 キャリアショップの店頭にはSamsungやLG、HTCやSony Ericssonなど、大手メーカーのAndroid端末がずらりと並んでいます。また、SKY(海外向けブランド名はPantech)など韓国メーカーのスマホも多数出ているのですが、観光客は気軽に買えません。まぁ、端末の単品販売やプリペイドSIMカードがないぶん、キャリアが空港でのレンタル携帯に力を入れています。おすすめはKTのレンタル携帯で、データ通信が利用可能、iPhoneのレンタルもあります。ただし、データ料金は割引パッケージがあるだけで定額ではありません。ガンガン使うならNTTドコモやソフトバンクモバイルの海外1日パケット定額を使ったほうが安かった、なんてことになる恐れも。

モバイラー“必借”なWiBroルーター、egg
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 そこで、ぜひ借りたいのが、おなじKTが提供しているWiBroサービスのWiFiルーター『egg』です。WiBroはWiMAXの韓国版という位置づけで、ソウルとその周辺都市でサービスが展開されています。通信速度も3G/HSDPAより速く快適。ハンドオーバーもするし地下鉄内でも利用できるので、ソウルに到着したらeggはぜひ借りましょう。

WiBroは仁川国際空港の専用カウンターでのみレンタル
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 ちなみにWiBroのレンタルサービスは、金浦国際空港や仁川国際空港内に多数あるKTの“携帯電話レンタルカウンター”ではなく、仁川国際空港の7番出口付近横の専用カウンターのみとなります。よく見るとカウンターには“KT WiBro”と表示されていますね。レンタル料金は8000ウォン/日、わずか約580円で定額利用できるんですから、こりゃー借りない手はありませんよ!

韓国の携帯電話の共通ACアダプター。日本のeggにも使える
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 このegg、日本のWiMAXサービス用に販売されているもののオリジナル版なんですね。日本のeggはACアダプターが特殊仕様で入手しにくいのですが、実は韓国の携帯電話の共通ACアダプターを利用しているんです。日本でeggを使っている人は韓国で韓国携帯用のACアダプターを買えば、そのまま使えちゃいます。価格も500円くらいと手軽です(ただしプラグ形状が異なるため変換コネクターが必要)。

カンビョンの家電ビルテクノマート。携帯フロアーもある
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 さて、外国人が携帯電話を気軽に買えないといっても、それは新品&契約のお話。韓国にも実はプリペイド携帯が“カードフォン”という名称で細々と売られています。基本的にはキャリアの店では売っておらず、街中の独立系携帯電話ショップで扱われています。またカードフォンにできるのは中古端末のみのため、最新スマートフォンは利用できませんが、現地気分を味わうために適当な携帯を買うのもおもしろいかも。龍山(ヨンサン)や江辺(カンビョン)の家電ビルの携帯フロアーには携帯ショップが100以上入っており、店頭を眺めてみると中古携帯もちらほらと置かれています。

筆者がよく行くテクノマートにあるカンビョン通信
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 ただし、カードフォンを買うのには大きな敷居があります。家電ビルの携帯フロアーに一歩入り込むと「安いよー」とか「社長ー!」なんて呼び声があちこちからかかり、落ち着いて携帯を見ることがでないからです。筆者は江辺のテクノマートにある江辺通信(カンビョントンシン)をよく利用するのですが、平日の昼間などは客が少ないので、フロアーを歩くだけでも呼び声がかかりまくってひと苦労。お店にたどり着くまでが大変だったりします。

地下鉄駅につながる地下街には、携帯屋が多数入っている場所も多い
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 一方、ソウルの街中の地下鉄駅につながる地下街を歩けば携帯屋さんがたいていあり、そちらのほうが気兼ねなく携帯を見てまわれるようです。エリアによってはカードフォン用の中古端末をたくさん置いている店もあります。カードフォンは中古端末の代金に1万ウォン(約730円)の利用料金を追加して購入するのですが、店によっては中古端末だけを売ってくれる場合もあります。

ずらりと並ぶカードフォン用の中古端末
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 ということで、カードフォンを買えば韓国でモバイラーデビューできる、と思いたいのですが、カードフォンは音声通話しかできません。もしも韓国版スマホの中古が買えた場合に備えて、やはりWiBroのeggはレンタルしておいたほうがいいかもしれないですね。また、KTのレンタル携帯でiPhoneをレンタルしておいて、カードフォンを買ったらiPhoneのSIMカードを抜いて入れ替えちゃえばデータ通信できる、って技もあります。まぁ、そのためにはKTのスマホを買わなくちゃならないのと、データ通信料金が結局定額じゃないのでお金かかっちゃうんですが……。

KTの携帯には『Show』のロゴが入っている
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 なお、韓国の端末にはメーカー名とキャリアのブランド名がついています。各社のブランド名はSKTが『T』、KTが『Show』、LGTが『Oz』となります。韓国では同一機種が複数キャリアからそのまま出ているので、同じSamsungの同じ端末でもTだったりShowだったりOzだったりと、違うキャリア版があるので要注意です。そこで、中古を買うときに「KTの端末が欲しい」と言えば、お店のほうもどれが対応しているか教えてくれます。

 ここまで書いたように、韓国のモバイル環境はそれほど自由ではないのですが、やりようによってはそれなりに楽しめたりするものです。おそらく1年後くらいには、スマートフォンの中古もたくさん出てきて、今よりもおもしろい状況になっているでしょう。韓国の最新モバイル事情はまた追々報告していくことにしますので、お楽しみに。


山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

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