2010年02月03日01時11分

FMV LOOX Uのふるさと訪問記(by 遠藤諭)

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 富士通が、国内でノートPCを生産しているのはご存じか? 大手メーカーが、マザーボードから国内生産している珍しい例ということで、島根富士通さんにおじゃました。折しも、VHSカセットサイズともいえる超小型マシン『LOOX U』のニューモデルが発売というタイミングだ。

“島根富士通”が社名です 実用性を高めた新生U
Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited
↑富士通製ノートの基幹工場。マザーボードの製造から本体の組み立て、梱包までここで行なわれております(開発はおもに川崎工場)。 ↑好評発売中の新LOOX U。リアルポケットサイズは、某Pの宣伝に当てた売り文句のような気がしないでもないですが、あえて触れませんw

 実は、島根富士通を訪問するのは、これが2回目である。前回は2007年、初代LOOX Uが誕生する前に来て、アスキー仕様モデルの相談をさせてもらった。つまり、前回は、LOOX Uが実際に作られている現場は見られなかったわけだ。その点、今回はプラモデルみたいにバラバラな部品が、最後には完成して段ボール箱に入るまでをバッチリ見届けてきた。

Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited
↑まず、買い物に使うようなカートに、必要な部品を、必要な数だけ入れていきます。 ↑それをラインに流し、それぞれの担当員が時間内に割り当てられた作業を施します。 ↑梱包までに要するのは正味2時間程度。梱包後、直ちに日本および海外へ出荷されます。

 ちょっと楽しいなと思ったのは、LOOX Uはちっちゃいので、マザボも長方形の1枚を、途中でパッキと切って2台ぶんにする。

2台ぶんを一度に!!
Shimane Fujitsu Limited
↑基板は2枚同時に製造し、組み込む手前で分断。極小PCであるLOOX Uならではの製造法ですね。コストも時間も半分です。基板を分断する様子は、このページの下のほうにある動画でご覧ください!

 

 パソコンとしては、異常に小さいので作っている風景も、なんだか板チョコを手間をかけて作っているな妙な風景となる。

Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited

 ハーシーの大型板チョコを作っているラインのよう!?

 国内生産ということで、全品厳しいテストを経ているわけだが、エラー率ゼロを目指すため工程の途中でもチェックがバシバシ入っているのが特徴だ。

Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited
↑組み込む前に基板に不良がないかをチェックする機械。形は異なれど、丸ごとPCってわけ。 ↑各部品が正しく配置されているかなど、基板の状態を“機械の目”を用い入念にチェックします。 ↑さらに目視で確認。正しいビジュアルと比較しながら、熟練した“人間の目”で厳しくチェック。

  しつこいくらいチェック、チェック、またチェック!!

Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited Shimane Fujitsu Limited
↑OSやCPUを示すラベルが正しく貼られているかを、専用の機械を用いてチェックしていきます。 ↑完成した本体にシステムを入れ、全機能が正常かどうかチェック。起動音が鳴り響いてました。 ↑最終チェックを通過した物のみ梱包へ(ちなみにこれは海外向けなので、キーボードが違う!!)。

 

 1年前の2009年2月、NHKの『クローズアップ現代』という番組で、富士通の工場やパソコン開発の現場が取材された。テーマは「格安家電が押し寄せる 〜岐路に立つ日本企業〜」というもの。国内生産で品質にこだわるのはいいが、少しでも生産性を上げないと対抗できない。実際にラインにいる人たちが、真剣に「こうやったら工程を2秒縮められる」なんて議論をしていた。

 昨年2月といえば、ネットブックの波が押し寄せてきて、日本のモノ作りを危ぶむ声がいちばんあった頃だ。パソコンを開発する人たちが、会議で頭を抱えているようすまで放送されたのをご覧になった方もおられるでしょう。ところが、1年たったいま、富士通は国内でパソコンの生産をちゃんとやってのけている。なんと海外から持ってくるしかないとも思えるネットブックまで自社生産をはじめているのだ。

 それは、さまざまなノウハウの積み重ねで実現しているようだ。島根富士通の宇佐美隆一社長にお聞きしたお話で、なるほどと思ったのは、国内生産とすることで市場の変化に対応できる。ネットブックは、一般に大量生産によって価格を抑えているが、大量発注・大量生産のために店頭での売れ数の上下に対応できず事業自体が赤字になることも業界では起きているのだ。

Shimane Fujitsu Limited
↑出荷オーライのUを手にする宇佐美社長。「去年は冷夏で空調代が助かりました」とのこと。なるほど、これだけの規模だと、ずいぶん違うのでしょうね。

 

 日本生産の可能性を、目で見て感じることのできた工場見学だったわけなのだが、富士通が取材された番組には、私も出演させてもらっていた。日本のモノ作りはどうすればいいのかという質問に対して、「これからネットとの関係でコンピューターの形がどんどん変わる。そこに日本のチャンスはあるんではないか?」と答えたと思う。実は、LOOX Uは、まさにそんなコンピューターではないかと思うのだ。

LOOX U製造工程の一部を動画でどうぞ!

   ↑基板にプリントを施していく工程です。

   ↑ラインで担当者が手作業で組み立てます。

   ↑基板を機械で分断する場面です。

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