すでにご覧になった方も多いと思いますが、週刊アスキー748号(8/3発売)の表紙は『サマーウォーズ』の夏希ちゃんです。
仮想都市OZのCGを手がけたデジタル・フロンティアさんのインタビューをメイキング画像満載のパワーアップバージョンでお送りします。
ヒロイン夏希とご親戚一同のアバターバージョン。
子供のアバターが大きな新幹線というところにキャラの性格が出ています。
↑左からデジタル・フロンティアCG制作部の豊嶋勇作さん、堀部亮さん、下澤洋平さん。
―OZはすべてCGですか?
堀部さん(以下敬称略) 主要キャラクターは作画で、そのほかのアバターはCGです。OZの大枠は上條安里さんのデザインで、カラフルで楽しげな雰囲気は最初からありましたね。
OZの3Dワイヤーフレーム
レンダリング後
下澤 アバターのバリエーションが欲しいという監督の要望で、最初はパーツを組んでいたんですが、それだとバリエーションが出づらいので、主人公や家族のアバターの雰囲気を残しつつ、うちのデザイナー120人ぐらいがひとり2体以上デザインしてます。個性が自然と出てますね。
主要アバターのキャラクターデザインは岡崎能士さんと岡崎みなさん。
デザイナーさんたちがそれぞれデザインしたモブアバター(の一部)
―CGと手描きの作画を合わせるのは難しそうですが?
堀部 通常の3DCGよりも情報量を削ったり、コマを落としたりという処理をして、アニメの動きや色合いにCG側からあわせるように注意しています。
下澤 作画のキャラクターがでてくるときはレイアウトを描いていただいて、それにあわせて3Dキャラクターを配置するんですが、描かれているパースと3Dで配置したときの整合性がとれないことも多くて、結構レイアウトには苦労しましたね。
レイアウト
CGアバター(アウトライン)
CGアバター(ワイヤーフレーム)
CGアバター(レンダリング)
作画アバター
CG背景
CGアバターと作画アバター、CG背景を合成した完成画面。
―デジタル・フロンティアさんはモーションキャプチャーを使った作品も多いですが?
堀部 今回はモーションキャプチャーは使っていません。アバターは手付けのアニメーションで動かしています。モーションキャプチャーで人の動きを取り込むとどうしても生っぽくなってしまって、今回のようなメリハリの利いたコマ落としの動きにはあわないんです。
下澤 アバターにはヘビなんかもいて、単純に人のカタチとは限らないですし。
堀部 アバターは背景の群集的にいるんですが、手付けで動かしているんで観戦している連中とか、よく見ているといろんなリアクションをしていますよ。
ひとつひとつのアバターに手付けで動きをつける
―いちばん苦労した場面は?
下澤 技術的にいちばん難しかったのは巨大化したラブマシーンですね。基本的にはパーティクルという手法で、たくさんの粒を飛ばしているんですが、それだとどうしてもデータ量が重くなってしまうので、テクスチャーに動画を貼り付けて、うまいぐあいに重ねたりしています。思い入れがあるのは、夏希の変身ですね。
豊嶋 あの場面は『セーラームーン』を意識してるんだよね。
下澤 いい大人が集まって「セーラームーン見た?」というような打ち合わせがあって(笑)
豊嶋 細田さんが言っているのは、大人のためのマニアックなものというより、小さい女の子が見て楽しめるようにしたいと。全体的に女性にちゃんと受け入れられるアニメにしたいって。『サマーウォーズ』は、細田さんがCGをうまくとりこんで進化したアニメをつくったなと思います。
アバターの群集シミュレーションテスト
ラブマシーンのモデリング図
完成画面。ここのアバターの迫力ある動きはぜひ映画館の大画面でご確認ください
オープニングに登場するOZのショッピングモールのデザイン
家具や家電など細かいところまでデザインされています。
こちらもオープニングに登場するゲームスタジオ。
お話を伺って、デザインの美しさ、アバターの動き、ディテールの徹底した作り込みがOZのリアリティーを生み出しているんだと納得しました。
まだ映画をご覧になっていない方、すでにご覧になった方も、OZの細かいところまで注目すると、また違う発見があるかもしれませんよ。(担当:平野)
『サマーウォーズ』公式サイト
新宿バルト9ほかにて全国公開中
(c)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS
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