2009年03月25日00時05分

新MacBook Pro 17インチは通勤マシンになるか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

20090322MBPmain.JPG

 遅ればせながら、アルミ削り出しユニボディの新MacBook Pro17インチのデモ機が到着! 1月のMacworldサンフランシスコで一足はやく実機を見ていたのはこの記事で報告したし、その後アップルストアでも何度か触ってはいた(デカい!!! とか言いながら)。

 とはいえ、やっぱり日常生活で使ってみないことには、この大きさと大画面の快適性がどれほどのものか実感できないのも正直なところ。8時間をうたうバッテリー駆動時間も気になる。そこで、デモ機の貸し出し期限1週間をフルに使って、シゴト環境一式をMBP17インチに移動して使い込んでみることにした。

毎日の通勤から原稿書き、息抜きの動画・音楽再生まで、文字通りトコトン試用し倒したレポートは以下から。

 まず、僕のシゴトPC環境を簡単に説明。いまメインで使っているPCは、2006年発売のMacBook Pro 15インチで、サブPCとしてAspire one、そのほか(ここでは直接は関係ないけれど)自宅サーバーとして、ノートPCにインストールしたWindows Home Serverという構成になっている。

 通勤時の持ち歩きPCから原稿書き、インタビュー取材まで、大半のPC作業はMBP15インチで行ない、Aspire oneは自宅のベッドサイドでちょっとした調べものをしたり、海外の巨大ショーの取材など徒歩移動が多いときの軽量マシンとして活躍させている。

 Windows誌の編集者なのにMacユーザー? というのは時々言われるのだけれど、Windowsは仮想マシン(Parallels)で常時起動していて、Macと完全に共存する形で使っている。シゴト上、Windowsはやはり手放せないし、そもそもWindowsから置き換えられない愛用ソフトが少なくない。

 過去、初代VAIO 505やdynabook SS、ThinkPad Xシリーズ、Tシリーズなどを買い換えて来るなかで、常に高解像度化が買い替え時のキーワードになっていた。
 その意味では、15インチよりさらに大きい17インチ、フルHDを上回るWUXGAの高解像度は非常に魅力的だ。

 ただ、もちろん代償もある。言うまでもなく重量だ。最初は1キロそこそこだったノートPCの重量は、いまや2.5キロになっている。17インチではさらに500グラム増えて約3キロだ。
 500ミリPET1本ぶんとはいえ、数字のインパクトは大きい……というより、ちょっと挫けそうですらある。

●MacBook Pro17インチは持ち歩ける?

 買い替えるたびに巨大になっていくノートPCの重量問題をどう解決するか。僕の場合、カバンを吟味することで対処してきた。2.5キロを楽に持ち歩けるカバンを買えばいいのだ、と。
 ガジェット好きの定番(?)のボブルビーや登山用のデイパックなどを経て、いまはアルケミーグッズというメーカーのメッセンジャーバッグに落ち着いている。クルマのシートベルトを再利用した太いストラップのおかげで肩への負担が少なく、ストラップを締め上げれば2.5キロのノートを背負って終電に全力疾走(笑)できる固定力もある。

 17インチを持ち歩くにあたっては、まずこのカバンに入るかが心配だった。とりあえず何も考えずに突っ込んでみると、奥行き、高さともに、ギリギリ問題なし。素材が柔らかいカバンなので、ちょっと四隅が角張った感じになるが、背負った感覚は15インチとさほど変わらない。
 ただし、17インチを収納すると、カバンの横幅ギリギリまで使ってしまうので、余裕はなくなる。カバンのシルエットも一回り大きく見える。

背負ったカバンの大きさの違いに注目
20090322Bag15.jpg20090322Bag17.jpg
↑左が15インチ収納時、右が17インチ収納時。背負った感覚はちょっと大きめの板が入ってるかな? という感じ。しかし、見た目ではやはり17インチ収納時のほうが、カバンがひとまわり大きく見える。

17インチでは横幅の余りがない
20090322in15.jpg20090322in17.jpg
↑左の15インチ収納時と右の17インチ収納時とで、左右の空きスペースの違いに注目。

 少しその辺を歩いてみても、肩にかかる負担はほぼ変わらなかった。「お、これは意外とイケるんじゃないか?」と正直思った。

 が、電車やバスに乗ると、想像しなかったところで15インチとの違いを感じる。最初に気付いたのは、電車の網棚に荷物を置くときだ。
 持ち上げるカバンが露骨に重くなっている。15インチでも重量を感じるシチュエーションだが、17インチではさらに気合を入れて「ど~こらしょっ」と持ち上げる感じ。あまり頻繁な上げ下ろしはしたくないと思うレベルの負担だ。

 また都バス内では、料金箱周辺の通路が狭まった部分で、背負ったカバンがつっかえて(引っかかって)しまった。15インチのときにはもちろん、引っかかったことはなかった。スペック上は幅29ミリ、奥行き18ミリの差なのだが、メッセンジャーバッグで背中に背負うと、予想外に出っ張るらしい。人ごみの中をすり抜けるようなシチュエーションでは、取り回しに多少注意したほうが良さそうだ。

 一方で、歩いているときの肩への負荷は、やはり15インチとさほど変わらなかった。考えてみれば当然で、“2.5キロを楽に持ち歩けるカバン”を選んでいるのだから、500グラム増えたところでまったく問題ないのだ。15インチからの買い替えという点では、微妙だが「問題なし」という評価にしたい。

 もっとも、(当たり前だけれど)1.5キロくらいのノートを使っている人にとっては、17インチは異次元の重さと大きさになる。編集部の何人かに触ってもらったところ、

矢崎「画面が超広いのはイイけど、このサイズはない」(MacBook、LOOX Uユーザー)
女性編集者「デカッ!」(ThinkPad X60、VAIO type Pユーザー)
宮野編集チョ「ホントにこれで通勤すんのか?」(大きいのから小さいのまで色々ユーザー)

というもので、温度差を感じざるを得ない(苦笑)。質感や画面の広さには同意しても、僕みたいに「ノートPCがメインマシン」というわけでなければ、この広さの魅力は伝わりにくいのだろう。

●WUXGAの画面はどれくらい広い?

 今回、15インチからの環境移行にTime Machineを使った。環境移行後の初回起動時には15インチのウインドー配置が再現されるわけだが、このときにどれほど広くなったかがよくわかる。

15インチのウインドー配置だとWUXGAには広い余白ができる
20090322MBP1517.jpg
↑ブラウザーの縦の長さは15インチの縦解像度いっぱいまで伸ばしてあるが、それでも4分の1ほど縦解像度が余っている。また、横方向の領域も、半分は自由に使える状態だ。

17インチ用に再配置すると余白スペースで動画再生もできるほど
20090322MBP17win.jpg
↑Yahoo!JAPANをフルに表示できる幅までブラウザーを広げても、まだ半分は自由に使えるほど広い。

 15インチでは、表示領域の3分の2弱がブラウザーで埋まっていた。17インチの解像度なら、ブラウザーの隣に原稿書き用のエディターを開いて、さらにその右側で動画再生してもまったく問題なく作業できる(画像の動画はVGA解像度のもの。実際には若干縮小すれば、スキマにうまい具合に収まる)。

また、見た目で言うと、液晶の額縁がブラックアウトしているおかげで、シェルぎりぎりまで液晶が広がっているような気持ち良さがある(ガジェット好きなら共感してもらえると思う)

 例によって1ヵ月もしないうちにWUXGA液晶には慣れてしまうのだろうけど、いまは「解像度が足りない」なんて思うわけがない、という気分だ。iMovieでの動画編集にしろ、フォトレタッチにしろ、とにかく余裕がある。

「17インチにWUXGAという解像度が細かすぎないか」という点も気にしながら使ってみたが、まったく問題なかった。15インチに比べるとドットピッチは当然細かいのだが、もともと15インチは画面サイズに対して解像度が不足気味だ(15インチは1440×900ドットだが、もう1段上の1680×1050ドットでもいいと思う)。

●光沢液晶の反射は?

 ライトユーザーからは「写真や動画がキレイ!」と言われ、かたやヘビーユーザーからは「写り込みのせいで使いにくい」と、まるで正反対の評価を受けがちな光沢液晶。

 イトーは後者タイプなので、シゴトPCはできるだけ非光沢液晶を選びたいと思っている。17インチには5670円で非光沢液晶を選べるオプションがあるが、デモ機は通常の光沢液晶だ。

 自宅で使う限りでは、光沢液晶ならではの色のクリアーさや、締まりの良い黒発色などのメリットだけが感じられる。日中と夜中とで原稿編集から動画再生まで使って、「これはこれでイイな」と思えたほどだった。自宅ではオフィスと違って光源が少ないし、特に夜間は室内光が暗めだからだろう。

 しかし、やっぱりオフィスでは評価は一変する。特に、天井に蛍光灯がずらりと並ぶだだっぴろい場所(つまり週アス編集部)だと、目の前に蛍光灯の列がバンッと浮かび上がる。
 15インチより面積が広いぶん、視界の大半に何らかの写り込みが入って来るわけで、正直、これはまったくいただけない。

 しばらくその状態で使っていると、確かに慣れはする。けれども、15インチと交互に使うと、反射が文字にかからないよう視線を微妙にズラしたり、画面の角度を変えたりといったことを、無意識にやっていることがよくわかる。

 もし自分が購入するとすれば、非光沢をオプションで選ぶか、非光沢化するシートを液晶に貼るか、なんらかの対策をしたいところだ。

 なお、非光沢オプションを選ぶ場合は、実際の直販価格の差以上の出費になることに注意したい。
 たとえば、非光沢オプション込みのアップルストア価格は32万4470円。一方、ドノーマル仕様を大手カメラ店などで購入すれば、5パーセント程度がポイント還元される。このポイントぶんを加味すると、実質的には2万円以上の差額になる。価格.com系のショップで買う場合は、さらにその差が広がる。

●バッテリー駆動時間は?

 ある意味、17インチの最大の注目点という人もいるだろうバッテリー駆動時間。スペックシート上は8時間ということになっているが、果たしてどの程度もつのか。

 バッテリー満充電容量は、大台超えの1万3000mAh前後(このデモ機は1万2920mAh)。ノートPCの標準バッテリーとしては、“驚くほど”と言っていい大容量だ。
 既報のASCII.JPの記事によれば、DVDを連続再生するベンチでは最大207分だったそうだ。この画面サイズで3時間半も再生し続けられるのは大したものだと思う。

巨大な内蔵バッテリー
20090322MBPbattery.jpg
↑大容量の内蔵バッテリーは、このように内部の大きな位置を占める。自分でも交換できそうだが、取り外さないよう注意書きシールが貼ってある。

 一定負荷をかけ続けた際のベンチマークはこれが参考になるとして、今回はバッテリー駆動だけでシゴトをして何時間使えるかを試した。

 計測開始は16時45分。そこから、ブラウザーとメール、原稿書き用のエディターの使用という“低負荷だがほぼ常時WiFi通信を維持”という環境で使った。省電力モードは、チップセット内蔵グラフィックを使う“バッテリー優先モード”だ。
 計測中に未入力時間に輝度が自動的に落ちたり、30分ほどの離席したためスリープになったりしたが、実用ベンチではこの手の省電力機能を含めた実働時間込みで考えたほうが適切だ。

 結果、電池が切れたのが22時ごろ。ということは、実用でだいたい5時間程度はもつ計算だ。さすがは、1万mAh超という大容量を積んでるだけある。
 ただ、ビジネスアワーを丸々バッテリー駆動で過ごすのは微妙なセン。画面輝度を落として、スリープを積極的に使って節電するなど、相応の工夫と努力が必要だろう。

【追加情報】
ライター 霜田氏からtwitterでツッコミ情報提供が届いた
「バッテリーですが、輝度全開ですか?私は7割程度で、7200/320GBを使って6時間半は稼働しました。」

輝度設定は今回のテストもほぼ同じ設定。霜田氏曰く、何度か満充放電を繰り返すと稼働時間が延びていく、という体験をしたそう。ということで、今回のテスト結果は個体差か、あるいは慣らし不足か、という可能性もある。

●ノートPCの基本、サウンド、キーボード、トラックパッドは?

 特にキャラが立った部分から先にチェックしてきたが、ノートPCの基本設計はどうだろうか。この点は、ほぼ文句の付けようがないほどデキがいい。ボタンレスのトラックパッドの操作感が若干癖があるが、それ以外は、いま買えるノートPCのなかでもトップクラスの仕上がりだと感じる。

20090322MBPkeyboard.jpg
↑キー成型色はボディー同色のシルバーから、新型シリーズでは黒へと変更。個人的には前モデルのボディー同色が好みだ

 キーボードは一見するとAirやMacBookと同じデザインだが、本体への取り付け剛性が非常に高く、どこを強く押しても凹む(反る)部分がない。
 構造が新型の15インチと同じだとすると、アルミ削り出しのボディー側に無数の小さなネジで固定する仕組みになっているハズ(参考はココココ)。こんなに強固で手間のかかる固定方法を採用しているノートPCは、僕が知る限りない。

 キーストロークは浅めで、しっかりした底付き感と心地よい微妙なクリック感、ストストとした静かな打鍵音など、ずっと打っていたくなる快適な操作感が印象的だ。

 出張が多い人にとっては、ホテルでジュークボックス代わりになるスピーカーの音が良いことも隠れたポイント。アップル製品は本機に限らずスピーカーの音質にこだわりがある印象だが、17インチには15インチよりさらに2つ(おそらく低音用)多く搭載している。
 低音が比較的しっかり出るので(もちろんノートPCとしては、というレベルではある)、生音の楽曲を聴いてもそこそこ満足できる音が楽しめた。

●総評 「でも、お高いんでしょ?」

 ということで最後にお約束の総評を。
 正直言って、常識的な“モバイル”という言葉からすると、大抵の人は許容度を超えたボディーサイズだと感じるに違いない。

 けれども、煽り文句だけじゃなく、実際にも4.5~5時間程度の実用バッテリー駆動が期待でき、重いけれど“持ち歩けなくはない”というあたりでまとめているあたりが、絶妙なさじ加減だと思う。
 本気で持ち歩かせようと思っていなければ、こんな巨大なバッテリーを積む必要なんてないのだ(バッテリーを小さくすれば、スペックシート上は15インチ+αの重量に収めることだってできたかもしれない)。

“クリエイティブプロ向け”という免罪符で30万円オーバーの価格に納得するのは無理があるが、とはいえ、このレベルの可搬性と処理性能を両立した製品がほかにあるかというと、思いつかない。明らかに人を選ぶ製品だが、自分の用途にばっちりハマる人は、15インチモデル+10万円のエクストラコストをいとわないだろう(なにせ、MBP17以外の選択肢がない)。

 ひとつ注文をつけるなら、国内の価格設定だ。ドル換算なら28万円を切る価格なわけだから、日本語キーボードのコストを足して29万9800円だとか、もう少し魅力的な価格付けはできたのではないか(どっちにしろ高いと言われそうだから、多少なりと利益をとって32万円で、という判断も理解はできるが)。

 孤高の存在にして、ある意味理想を追求したこの17インチ。
 実は気になってるという人は、ここで書いたメリット・デメリットを頭に浮かべつつ、最寄りのアップルストアに立ち寄ってみてほしい。
(イトー)

関連記事

あわせて読みたい

follow us in feedly

最新のニュース

アスキーストア人気ランキング

特集

Comic

アクセスランキング

Like Ranking

BEST BUY

みんなが買っている最新アイテムはこれだ!

Fire タブレット 8GB、ブラック

Fire タブレット 8GB、ブラック

Amazon

8,980円〜

56人が購入

Fire TV Stick

Fire TV Stick

Amazon

3,980円〜

39人が購入

Amazon Fire TV

Amazon Fire TV

Amazon

10,380円〜

11人が購入

Amazon.co.jp