突然の発売延期でファンをやきもきさせたBD版『AKIRA』が、ついに本日2月20日から発売開始されました。価格は8190円。言うまでもなく大友克洋の代表作であり、20世紀のアニメ史に残る傑作ということで、BDアニメ作品としては海外での注目度も非常に高い。海外ではすでにバックオーダー状態になっていると聞きます。
発売元のバンダイビジュアルの力の入れようは、この作品の型番にも見て取れます。同社のBD作品はすでにいくつも発売されてますが、AKIRAの型番はなんと“BCXA-0001”。つまり、型番上はバンダイビジュアルのなかで、最も若いBD作品なんです。それだけ早い段階から、BD化のために動いていたということなのでしょう。
ある意味、重大な使命を帯びたといえるこの作品、DVD版とは別モノといえる仕上がりになっています。試写会で全編視聴してきた感想と、BD版シーンの高解像度画像は続きをクリック。
試写会が行なわれたのは、目黒にあるパイオニアショールーム内のスタジオ『パイオニアハイエンドAV試聴室 STUDIO HINOKI』。
ハイエンドをうたうだけあってシステムは当然高級で、AVアンプ90万円、フロントスピーカー1本50万円などなど、音モノだけで占めて数百万円というシステム。これに組み合わされるスクリーンは150インチ。プロジェクターも当然パイオニア製で、フルHD対応『KRF-9000FD』です。
2008年半ば以降、BD作品が比較的多くリリースされるようになり、作画職人が手描きでセル画を描いていた時代のアニメが複数BD化されました。
昨年中に発売されたいくつかの作品を視聴して改めて感じるのは、当時の作画職人のクオリティーと、そこにかける執念にも似たこだわりには、凄まじいものがあったということ。
DVD時代は、それらが720×480ドットという低い解像度のせいで必ずしも再現できていなかったワケですが、BDではあらゆるものが丸見えになります。
すると、これまでは見えなかった細部が判明したり、新たにリマスターすることによる発色の改善などがあるわけです。
もちろん、丸見えになるというのは、“善しにつけ悪しきにつけ”という面もあります。ただ単純にBD化するとフィルムの汚れや混入したホコリまで見えてしまうため、どの程度手間をかけて修正していくかが、ある意味発売元の腕の見せ所とも言えるでしょう。
BD版AKIRAに関しては、これまでの作品とは別のマスターポジを使っており、まず元になった映像ソースからして別モノ。さらに、フィルムの汚れやホコリを細かくレタッチする、いわゆる“ゴミ取り”を非常に丁寧にやったとのことで、150インチのスクリーンで見ていても、気になる部分は皆無でした。
BD化による解像度の向上は、見る価値大アリ! と断言しておきます。舞台となるネオ東京のビル群を描いたシーンで窓の1つ1つまで見えるかのような超精細な描き込みや、AKIRAの標本を収めたドームが鉄男によって地下から地上へ引きづり出されるシーン、暴れる巨大配管類の動きの(異常なほどの)滑らかさなど、いちいち一時停止にしてコマ送りしたくなるシーンが山ほどありました。
↑左から、バンダイビジュアルのプロデューサー武井氏、エンコードを担当したソニーPCLのエンジニア横田氏、音声を担当したドルビー・ジャパンの中山氏。
制作サイドからの説明によれば、BD化することで色の発色自体がよくなり、金田の赤い上着の色や、グリーン系の色、アンバー系の色が、より自然で鮮やかになっているとのこと。
また今作は最高のクォリティーを目指して音声フォーマットにもこだわっており、BD作品としても非常に珍しい、24bit/192KHzの超高音質5.1chサンプリング(フォーマットはドルビーTrue HD)としています。
都内でもいくつかの店舗ではPR展開をするとのことなので、まずは店頭に行って見てみるのも良いのではないでしょうか。秋葉原のヨドバシカメラあたりでも、何か展示をするのでしょうかね?
それでは最後に、作品に関連した画像集を付けておきます。この高解像度で見てもまったく破綻していないセル画が動画で見られるんだから、買うしかないでしょ!
↑BD版AKIRAのパッケージに含まれる添付物一覧。美しい特製スリーブのほか、封入特典のブックレットが付属。
↑作品のBDメニューは金田のバイクのハンドル部分を意識したデザイン。チャプターも豊富に切ってある。特典映像として、当時の予告編やBDの解像度を活かした“デジタル絵コンテ集”なども収録。
↑絵コンテはこんな感じ。拡大はできないが、描かれた絵や書き文字は十分読める。ちなみに収録される内容自体は、DVD版で付属した絵コンテとまったく同じとのこと。
(イトー)
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