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Mac OS X 10.8 Mountain Lionの新機能レビュー

2012年07月25日 22時34分更新

 Mac OS X“Mountain Lion”(バージョン10.8)のダウンロード販売が始まった。購入はApp Storeから、前バージョンの“Lion”(バージョン10.7)の2600円より安いたった1700円だ。
 Mountain Lionの最大の特徴は、iOSとの統合や連携を強化した点。具体的には、『リマインダー』や『メモ』に代表されるiOS用アプリをMac OS X用アプリとして移植したほか、『Mail』は『メール』、『iCal』は『カレンダー』、『iChat』は『メッセージ』とアプリケーション名もiOSと同じに名称に変更した。
 さらにiOS 5で好評だった『通知センター』や、iPhone 4Sや新iPadに備わっている音声入力、Apple TVと連携して大画面テレビに操作画面を無線接続で映し出せる“AirPlayミラーリング”といった機能も、Mac用にアレンジして搭載。
 アップル製品に初めて触れたユーザーが、Macを購入しても違和感なく使えるバージョンに仕上げている。

この機能に最も注目!!

通知センター
 iPhoneやiPadがiOS 5で搭載した通知センターが、Mountain Lionでも使えるようになる。
付属アプリでは、メール、メッセージ、カレンダー、リマインダー、Game Centerなどが対応しているほか、OSがシステムレベルで備えるTwitterでも利用可能だ。

Mountain Lion

↑通知するアプリの管理方法や表示方法もiOSに近い。

Mountain Lion
Mountain Lion

↑通知のリストはメニューバーから呼び出し、表示・非表示を切り替えられる。

Mountain Lion

↑witterは、自分宛てに送られてきたメッセージ(メンションとダイレクトメッセージ)のみを通知する。クリックするとTwitterのウェブページが開く。

Power Nap
 OSのアップデーターのダウンロードやTime Machineへのバックアップ、電子メールの受信、メモやリマインダーの同期などを、マシンのスリープ中に実行する機能。スリープから復帰したときに、メールの受信やデータのバックアップが一挙に実行されないためマシンのパフォーマンスが落ちず、すぐに作業を再開できる。
 対応機種は、'11年以降にリリースされたMacBook Airと、Retina MacBook Proに限られる。

Mountain Lion

Twitter連携
 iPhoneではiOS 5で実現したTwitterとの統合が、Mountain Lionで使えるようになった。さまざまなアプリに共有用のボタンが新設されており、そこからTwitterを選ぶことで画像やウェブページのURLを直接つぶやくことができる。位置情報を含めることも可能だ。複数のアカウントを使い分けている場合でも、Twitterの専用画面からアカウントを切り替えられる。

Mountain Lion

Documents in the Cloud
 作成したファイルをiCloudに保存できるサービス。Mountain Lionに付属するプレビューやテキストエディットはこのサービスに完全対応しており、作成中のファイルをiCloud上に保存できるほか、既存のファイルをiCloudに移動することもできる。

Mountain Lion

オートセーブ
 ユーザーが作成したファイルを自動的に保存する機能で、従来は対応アプリが少なかった。Mountain Lionでは、ウインドーのタイトルバー上で保存などの操作ができるようになり使い勝手が格段に向上するため、対応アプリの増加が期待できる。
 タイトルバー上でファイル名を変更したり、保存場所を移動する、iCloudにアップロードする、最後に開いたバージョンに戻す、などの機能がある。

Mountain Lion

内蔵された“共有”機能
 プレビュー、Safari、メモ、連絡先、Quick Time Player XといったMountain Lionの付属アプリには、共有ボタンが用意されている。
 このボタンをクリックすると、AirDropでのファイル転送、メールアプリやメッセージアプリによる送信、Twitterへの投稿などを選べる。
 Twitterなどのサービスは一度ログインしてシステムに登録すれば、各アプリからのログイン操作は必要ない。

Mountain Lion

音声入力と読み上げ
 iPhone 4Sや新iPadに搭載されたことで話題になった、音声入力機能がMacでも使えるようになった。ファンクションキーなど特定のキーの2度押しで機能を呼び出せるので手軽に扱える。文字入力を伴うほとんどのアプリで利用できる。

Mountain Lion
Mountain Lion

↑姓名などで難しい漢字や読み方があっても、連絡先に登録してあれば、優先的に認識してくれる。

Mountain Lion

↑音声読み上げも可能。初期状態では英語のキャラが設定されているが、日本語のキャラ“Kyoko”を選べば日本語での音声を読み上げが可能になる。

Finderからファイル共有
 Finderで画像などのファイルを選択した状態で“共有”ボタンを押すと、メール、メッセージ、AirDropでの送信のほか、TwitterやFlickrへも投稿できる。

Mountain Lion

付属アプリの注目機能

Safari
 アップルの純正ウェブブラウザーであるSafariの注目ポイントは、“共有”ボタンの新設、タブブラウズ機能の強化、パスワード管理機能の搭載など。
 URL入力欄と検索キーワード入力欄が統合され、使い勝手も向上した。
 履歴の検索、ピンチ&スワイプでタブを移動、通知センターとの連携といった機能も追加された。
 また、HTMLレンダリングエンジン、JavaScriptエンジンの改良によって表示スピードも上がっている。

Mountain Lion
Mountain Lion

↑複数のタブを開いている場合は、トラックパッド上でピンチインすることで画面が切り替わり、2本指のスワイプでタブを切り替えられるようになる。

メール
 Mountain Lionでは、従来は『Mail』と記載されていた純正の電子メールアプリがiOSと同様に『メール』と表記されるようになった。
 注目の新機能は、VIPメールボックス、通知センターへの対応、インライン検索。特に、VIPメールボックスと通知センターの機能を組み合わせることで、重要なメールを見逃す可能性が大幅に低下するはずだ。

Mountain Lion

↑受信したメッセージの宛先の先頭に表示されている☆マークをクリックすると、VIPメールボックスに仕分けされる。

カレンダー
 従来の『iCal』から、iOSと同様の『カレンダー』という名称に変わった。Lionで搭載された“クイックイベント”機能が強化されたほか、通知センターや共有ボタンとの連動を果たしている。もちろんiCloudとの同期も可能。

Mountain Lion

↑日時を設定する際、カレンダーやポップアップメニューから選べるようになった。

連絡先
 “アドレスブック”から“連絡先”に名称変更。従来は別ページにまとめられていたグループの管理画面が廃止され、すべての編集をひとつの画面で操作できるようになった
 共有ボタンもあり、vCard形式のファイルを手軽にやり取りできる。

↑これまではアドレスの編集画面とグループの管理画面が別々だったが、Mountain Lionではいち画面に統合されている。

Mountain Lion

メッセージ
 長らくiChatという名称で親しまれていたメッセージの送受信アプリは、Mountain Lionでは『メッセージ』という名称に。iPhoneやiPadなどiOS機器と無料でメッセージのやり取りが可能だ。
 メッセージの送受信中に映像でやり取りしたくなった場合は、FaceTimeにすぐに切り替えられる。もちろん、FaceTimeでもiOS機器と通話できる。

Mountain Lion

リマインダー
 LionまではiCalのいち機能だったリマインダーが、Mountain Lionではアプリとして独立した。iCloudに完全対応しており、iOS機器との連携がかんたんだ。もちろん通知センターにも対応している。

Mountain Lion

まだまだある、その他の新機能

Launchpad
 アプリを一覧表示するLaunchpadは検索性が向上。Mountain LionではiOS同様の検
索インターフェースを備えたことで、画面を切り替えることなく目的のアプリをすぐに見つけ出せる。また、アプリを手軽にアンインストールすることも可能。

AirPlayミラーリング
 Macの画面をApple TVを経由してワイヤレスで出力できる。新iPadと同じ機能。
 メニューバーのディスプレーのアイコンから、ミラーリングをオン・オフすることも可能。

Dashboard
 ウィジェットの実行環境であるDashboardは、iOSのホーム画面やLaunchpadに似た設計になり、Dashboard上でのウィジェットのキーワード検索やフォルダー分類が可能になった。

ドライブの暗号化
 ハードディスクやUSBメモリーを選択して、コンテクストメニュー(右クリックメニュー)から暗号化できるようになった。

データのコピー
 複数のファイルをまとめてコピーした場合に、コピー中の個々のファイルの進捗状況をプログレスバーで確認できるようになった。なお、Safariのダウンロードファイルにもプログレスバーが表示される。
 また、ドラッグ&ドロップでフォルダーを上書きコピーする場合、完全な置き換えではなく差分のみのコピー(結合)も選べるようになっている。

Game Center
 iPhoneなどではすでにおなじみのGame CenterがMac OS Xに移植された。これは、対応するゲームのスコアなどを一元管理するアプリ。対戦型のゲームでは一緒にプレーする相手を見つけるためにも使える。また、iPhoneやiPadなどのiOS機器でプレーしたゲームの記録も参照できる。

Gatekeeper
 悪意あるプログラム、マルウェアを完全遮断するセキュリティー機能。App Storeで公開、もしくはアップルにデベロッパー登録している開発者のアプリだけに起動許可を与えることで、不正なプログラムの実行を防げる。ただし、強制的に起動する方法も用意している。

セキュリティー
 Gatekeeper以外のセキュリティー機能も搭載。たとえば、連絡先アプリの情報にアクセスしようとすると、ダイアログを表示してユーザーの許可を求めるのだ。アクセスの許可はアプリごとに設定できる。

Time Machine
 シームレスなバックアップを実現するTime Machine機能も、Mountain Lionで大幅に強化された。まず、バックアップ時に暗号化のオプションを選べるようになった。また、複数のハードディスクに交互にバックアップする機能も追加された。
 

Mountain Lion

※この記事は、『MacPeople 2012年9月号』(7月29日発売予定)の特別付録小冊子『OS X 10.8 Mountain Lionのキホン』から一部を抜粋したものです。

 

 

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OS X Mountain Lion
メーカー:アップル
価格:1700円
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